06 【30.01.30】本を読みましょう
『いますかーどうして返事してくれないのー』
『どうした』
『ちょっと、あなたと話したくて』
【詐欺にご注意ください。資金のやり取りする前に話し相手の身元を確認してください。】
『……たかが「カード」の三文字でよく詐欺注意なんて言えるな』
『ぷす…わたしの身元、確かめて?』
『そうだな。写真送れよ、確かめるから』
『写真持っていない』
『そうか。じゃあ詐欺だな』
『じゃあ、わたしをどうするつもりなの?』
『詐欺師は押し倒す一択だ』
『へえ。詐欺師を押し倒すんだ』
『違う!お前を押し倒すと言っている!』
『へえ……』
今年の今日は詐欺なんてされていない(というかまだ一度もされたことない)けれど、あの時彼女に「詐欺師を押し倒すの」と言われた俺は、本気で焦った気がするのであった。
(27.01.30)
『そうだ、MBTIってやったことあるの?』
『ない。……いや、あるかもな。INTPだったっけ、俺は』
『わたしもINTPなの。でもレポートには……』
【INTPはごく稀(人口総数の凡そ1%位)であるが、彼らは惹かれあう傾向が強い。しかし、我らの研究によれば、INTP二人のカップルは幸せではない。その原因は二人が恋愛に同じ欠点を発揮することにあると思われる。よって、あなたがINTPであれば、相性のいいパートナーの性格タイプは以下の通りである:blablabla…………】
『って書いてある。心配ね。わたし、ルームメイトの方が相性いいみたい(おい』
『こんな性格テストなんて、気に入るものだけを読んで、気に入らないものは飛ばせばいいんだ』
『そうだね。でもわたしが一番迷っているのはこれかな』
『どれどれ』
【~INTPタイプの恋人とすばらしい性的関係を築きましょう~】
【あなたのINTP恋人のよくわからない学術本を持って、読んであげます、もしくは読んでもらいます。そして彼/彼女と本の内容について話し合い、意見をぶつけ合いましょう。blablabla…………】
『『…はあ??』』
今年の今日は本なんて読んでいないけれど、あの後のとある夜に、俺は本当に産婦人科学の教科書を持って彼女のいるベッドに潜ったなんて、あの時の俺たちにはまったく予想できないことであった。
(30.01.30)