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俺は、朝食を食べ終わり部屋に戻るために、階段を上がろうとするとシャロルとエミリが降りてきていた。
「シャロルにエミリ、おはよう」
「おはよー!」
「おはようございます」
俺が挨拶をするとエミリ、シャロルの順に返してくれた。
「朝食が出来てるみたいだよ」
俺が言うと、シャロルは不思議な顔をした。
「朝食なんて付いていましたか?」
疑問に思ってたのかシャロルが聞いてきた。
シャロルが図星を付いて聞いてきたので、驚いたが、平然とした顔でいう。
「どうやら昨日、ガーラさんが宿泊代と一緒に払ってくれたみたいだよ」
「そうでしたか。では、朝食をとりに行きますね」
俺の言ったことを信じてくれたようでシャロルは1階へと降りていく。
俺は、ガーラさんと口裏合わせのために早々に部屋へと戻る。
部屋に入ると、ガーラさんはまだ寝ており、俺はガーラさんを起こすことにした。
「ガーラさん!朝食ができてますよ!」
すると、ガーラさんは目を覚ますがまだ完全には起きてはいない様子だ。
「……アレックスか……どうしたんだ?」
「ご飯の準備が出来てるみたいですよ」
ガーラは記憶を思い出しているのか、目を斜め上に向けて考え込んでいる。
アレックスは少ししてから俺に視線をもどす。
「朝食なんて付いてたか?」
「俺が朝頼んできました。お金ははらっています。」
「そうか…………すまないな」
「いえ、自分が勝手にしただけですから……しかし、シャロル達にはガーラさんが払ったと言っていますから口裏合わせをして欲しいんです」
「わかった」
「ありがとうございます。
朝食は1階にありますから」
ガーラは、朝食をとりに行くために部屋をでていった。
『たしか昼から入学試験が始まるんだったよな…………よし!軽く寝るか……』俺は考えをまとめベットに横になって目をつむった……
「アレックス!アレックス!
起きてください!」
寝ていると誰かに呼ばれていたので目を開けて、俺を呼んでいる方に向く。そこにはシャロルが立っていた。
「やぁ、時間かな?」
俺は起きてからシャロルに言う。シャロルは、少し呆れたような顔をしていた。
「急がないと受付が終わりますよ!」
「そんなに寝てしまったか……」
「早く行きましょう!」
シャロルはそう言って部屋を出ていく。
俺も急いでシャロルを追いかける。
「月光」の宿屋を出ると既にエミリも待って居たので3人で総合技能学園を目指すことにした。
少し時間がないと言われたので俺達は、走って向かっていた。
「アレックスが二度寝しなかったら、走らなくてもよかったのに!」
そう睨みながらエミリが言ってくる。
「まぁ、落ち着いて」
シャロルはエミリをなだめている。
「……ごめん……」
俺は謝ることしか出来なかった。
3人が走って少し立つと、一際目立つ立派な門が見え、門の周りには多くの人がいた。
「あれが総合技能学園の受付かな?」
「人も多いいので多分そうだと思います」
俺が2人に確認する様に言うと、シャロルが答えてくれる。
門の前につくと、門の横に「総合技能学園 入学試験」と書かれた看板があり。受付の前には、入学試験を受けるであろう人達が行列を作っていた。
俺達は、その列の最後に並ぶ。
「間に合ってよかったな!」
俺が言うと、シャロルとエミリが何か言いたげな目を向けてくる。
俺は、それを見て笑いながら目をそらす。
「あれだな、人が多いいな。
新入生の定員数なんにんだったか?」
俺は、目の前の行列を見ながら2人に聞く。
「……はー。
定員数は各科100人ですよ。剣術科と魔術科の両方とも1クラス20人の5クラスですね」
シャロルは呆れた顔をして答えてくれる。
「そうだったのか…………
でもこの行列50人ぐらいしかいないよな?」
「ちなみに後にももう行列できてるよ。」
俺が前の行列を見ているとエミリが教えてくれたので後ろも見てみる。
俺は後の人数を見て驚く。
「……後にもう既に約20人はいないか……?」
「……確かに凄いですね」
「でも、合計200人ならこの人数少なくないか……?」
俺が、そう言うとシャロルとエミリから呆れた顔をされる。その顔を見て『俺何かおかしい事言ったか?』と思っていると。
「アレックスは何も知らないんですね…………
総合技能学園の入学試験は人が多いので4日に分けて行われるんですよ」
「そうなのか…………
今日を抜いた残りの3日いつ行われるんだ?」
俺がシャロルに質問すると横からエミリが言ってくる。
「アレックスそれ私でもわかるよ……
入学試験は、3日前から行われていて、1日目と2日目は貴族だけの受験日になっていて、3日目と4日目は私らみたいな平民の受験日となっているんだよ 」
エミリの説明を聞き俺は少し考えてある事に気づいた。
「今約70人居るってことは、それが4日として受験生は約280人いるってことじゃないか!」
そんなことを言っていると俺達の受付の番になった。
5人いる受付員の真ん中が空いたので俺はそこで受付をする事にした。
「すいません。入学試験を受けに来ました」
そう言って真ん中の受付にいくと、そこには眼鏡をかけた黄緑色の髪をした大人しそうな女性が笑顔で出向いてくれた。
「お名前と希望する科を選びください。希望の科がない場合は、剣術と魔法のテストになります」
受付の女性が優しく説明してくれた。
「アレックスと言います。希望の科はありません」
「アレックスですね……わかりました。
希望の科がない方は2回模擬戦が有りますのでご了承ください。
模擬戦の説明は戦う前に行われます。
これで受付は終わりですので、あちらに並んでお待ちください」
「わかりました」
俺は受付の女性が指した方に歩きはじめた。
歩いた先には、受付を終えた人が係員の指示に従って縦、横、綺麗に並んでいた。
それを見ていると俺も係員に声をかけられる。
「そこの君、魔術科?剣術科?」
「えっと、決めていないんですよ……」
「わかった。ならあそこに並んで」
そう言って係員は人が3人しかいない列を指す。
「……分かりました」
そう言って歩き列の1番後に座る。
すると前の男性が声をかけてきた。
「君も希望なしかい?」
「そうだけど……」
男はどこか俺を見下したように見てくる。
「なんか、パッとしない顔をしているね……
君はあれかな魔法と剣術科両方そこまで上手くないけど差が無いから決められなかった口かい?」
「まぁ似たようなもんかな?」
面倒くさそうなので適当に答えてやると。
更に見下したように言ってくる。
「やはりそうか。
俺は剣術と魔法は両方とも上手くてね。どっちとも出来るから迷ってしまうんだよね」
そう言って俺の首に腕を回してから持たれてくる。
「あのー重いんですけど……」
「あぁ、済まないね」
俺は面倒だと顔に出さないようしてに言うと意外と素直にどいてくれた。
「まぁくれぐれも頑張りたまえ」
どいた後にそう言い残して前を向いた。
すると、急に後ろを振り向いてきた
「おっと言い忘れたけど俺の名前はウィーク。
いずれはSランクの冒険者になる男だよ」
そう言ってまた前を向く。
俺はただ呆れた目でウィークを見る事しか出来なかった。
すると、ウィークの前の二人から同情の目を向けられた。
どうやら前の2人も、ウィークに俺と結は同じ目に合わされたのだろう。
俺がそんな事を思っていると、受付が終わったよで入学試験が始まろうとしていた。