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暇なんで神様やめます!  作者: 夏冬
1章 入学式編
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4

王都の街を見て回り終えると俺達3人はガーラさんが予約をとると言っていた宿に向かうことにした。


宿に着くと看板に「月光(つきひかり)」と書いてあった。

俺達3人はドアを開けて中にはいると、手に空の食器をもった。長い茶髪をツインテールにして、エプロンを着ている女性がこちらに気づき「いらっしゃいませ!」と出迎えてくれた。


「月光の店員のシルフィと言います。

今日は食事をしにきました?それとも泊まりにきました?」


「俺はアレックスで、こちらがシャロルにエミリ。俺達より前にガーラていう人が泊まりの予約をしてませんか?」


俺がシルフィに言うと横のシャロルとエミリが会釈をする。


「少々お待ちください」


シルフィは一言言って会釈をし店の奥へと行く。

シルフィが戻ってくると笑顔で質問してくる。


「1泊予定のガーラ様ですね。部屋は2部屋ですけど大丈夫でしたか?」


「はい」


「では、階段を上がって3番と4番の部屋をお使いください」


俺が返事をする。すると、シルフィは3番の部屋の鍵をシャロルに渡す。



2階に上がると俺は4番の部屋に入る。部屋にはガーラさんがベットに座り本を読んでいた。

部屋はベット2つと小さいタンスが2つ、そして夜の明かり用のロウソクが2つのシンプルなものだった。


「王都はどうでした?」


「とても賑やかで楽しかったですよ」


俺はガーラさんに答えるとガーラさんは笑顔で笑い「あの子達も楽しんでたしたか?」と聞いてきた。


「はい、2人とも楽しんでくれましたよ。

それに、2人のおかげで俺も楽しむことが出来ましたし」


「そうか……ならよかったよ」


ガーラさんは俺の返答を聞いて嬉しそうな顔をしていた。しかし、すぐにガーラは顔を切り替えて真面目な顔になり俺の方をむく。


「アレックス、折り入って頼み事がある」


ガーラの真剣な眼差しを受けて俺も真剣に聞く


「頼み事とは?」


「総合技術学園にはいったら、危険なことが多くあると思う。

出来るだけでいいから、あの2人を守ってはくれないか?」


ガーラの突然の申し出に俺は少し驚いた


「なぜ、俺に頼むんですか?」


「お前は強い、そしてなによりあの2人がお前のことを気に入っている。

それに、アレックスならしてくれると俺は信じている」


ガーラはそう言って俺の方を向き、俺と目が合うと得意気に笑う。

それを見て、俺はため息混じりに返事をする。


「……わかりました。出来るだけのことはします」


「それで充分だよ。ありがとう」


ガーラはそう言って頭を下げる。

俺はその姿をみて、またため息を吐く。

今ガーラと一緒の部屋に居ると気まずいので俺は 、ガーラに「体を拭いてくる」といって部屋をでることにした。

1階に降りてシルフィに聞く。


「体を拭く場所はありますか?」


「それなら、外を出て井戸の前に小さな小屋があるのでそこを使ってください」


俺はシルフィに言われた通りに井戸に向かうと、井戸の奥に確かに小さな小屋があった。

俺は小屋に入ろうとドアを開ける。

すると、目の前に裸で濡れた銀髪を拭いているシャロルの姿が見えた。

シャロルもこちらに気づくと目を開き、顔を赤くしている。

『叫ばれる』と思っていたが、シャロルは叫ぶよりも「ドアを閉めてください……」と一言言うだけだった。

ドアを閉めて、外でシャロルが出るのを待つ。

シャロルは、ラフな格好にで出てきた。顔は赤く下を向いている。


「……見ましたよね?」


シャロルに言われて、俺は体全体から冷や汗をかく。


「す……すこしだけみえたかな……?

すみませんでした!!」


俺は、言い訳をするのを途中で辞めてすぐに謝る。

すると、シャロルが赤くした顔を上げる


「いえ、こちらが鍵をかけ忘れていたのが悪かったです。

ただ…………初めて男性に見られたので恥ずかしく……」


そう言うと、更に顔を赤くしてまた下を向く。

それを見て俺も恥ずかしくなり、顔を赤くして下を向く。

すると、後からエミリが声をかけてきた。


「2人そんな所で何してるの?」


エミリの声が聞こえたことで、俺とシャロルは驚き苦笑いを浮かべる。


「い……いや、なんでもないよ」


「そ……そうです」


俺とシャロルは変な言い方になっていたため、エミリが怪しんでくる。


「ほんとうにー?」


俺は、背中に冷や汗をかきながら。後ろのシャロルの方をチラ見する。

するとシャロルは、顔を今までにないほど赤くしており。『これはあてにならない!』と思い1人でこの場を凌ぐことにした。


「俺が体を拭きに行くと、偶然シャロルとであっただけだよ。

それにシャロルは体を拭き終えたばかりに見えるけど、このまま外にずっと居たら風邪ひくよ?」


「……まぁ、そういう事にしといてあげる」


エミリはなぜか微笑みながら、そう言うとシャロルを連れて宿へと入っていく。


俺はそれを見届けると、大きくため息を吐き、体を拭く為の小屋に入る。


小屋に入り、水魔法と炎魔法を同時に使いお湯をつくり、それを自分の体にかける。

『明日は大事な入学試験だ。気持ちを切り替えないと……』と考えていたが。

やはり、シャロルの裸を思い出すと少し照れてしまう。

体を洗い終わると、今度は風魔法と炎魔法を同時に使い温い風をつくり体の水気を乾かす。


体を乾かし終わると俺は部屋に戻る。

部屋ではもう既にガーラは寝ていたため、俺も寝るために自分のベットに寝転がる。



朝になり目を覚ますと、いい匂いが漂って来る。

どうやら、朝食の支度ができているようだ。

俺は階段を降り、1階を見渡すとどうやらシルフィはまだ居ないようなので店の奥に向けて声をかける。


「すみませーん」


すると、店の奥から「すこしまちなっ!」と声がすると体つきの良い大柄な男が現れた。男は茶髪でどこかシルフィの面影がある。


「なんか用か?」


「あのー、朝食を食べたいんですが……」


「泊まるのとは別料金でお金を払ってもらうが大丈夫か?」


「大丈夫です」


「……ちょい待ってな」


男はそう言って店の奥へと戻って行った。

数分後に今度は少し眠たそうな顔をしているが、エプロン姿のシルフィが料理をもってきた。


「アレックスおはよう!」


そう言ってシルフィは、魚介スープとパンそして、サラダを俺の前に置く。


「ありがとう、シルフィ。

そう言えばあの大きな男は店長かい?」


疑問に思っていた事をシルフィに聞く。


「あれはね、お父さんなの。そして、この店の店長でもあるわ。この店は、お父さんと2人で切り盛りしているの。」


シルフィの説明を受けて、だから少し似ていたのかと納得した。


「スープが冷めないうちに召し上がってね」


シルフィがそう言ったので朝食を頂くことにした。食べ終わるとシルフィがこっちに来る。


「お代は大銅貨5枚になります」


笑顔で言うシルフィに対しての俺は「美味しかったよ」と言って銀貨1枚をだす。お釣りの大銅貨5枚を貰うとシルフィに質問をする。


「連れが残り3人居るのは知ってるよね?

俺が先払い出払うから3人にも朝食を出してくれないかな?」


「わかりました。合計で銀貨1枚と大銅貨5枚になります」


そう笑顔で答えるシルフィに対して、俺は銀貨1枚と大銅貨5枚を払う。

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