33 決戦
アクニスは黒く染まった自分の姿を打ち震えるように喜んだ
「あぁ、これであんたを殺せる」
「やっと、悲願が果たせる」
「あのとき、確かに殺したのに、なんで蘇ったのかはわからないけど」
「今度は確実に殺す」
「細胞の一粒も残さず消滅させてあげる」
黒く鋭い触手をイアとアルマに向け、目にもとまらぬ速さで打ち出した
アルマの力で周囲の時間の流れがゆっくりと流れ始める
その中をアルマだけが動く
今まさにイアへと刺さらんとする触手をはじき、触手をいくつか切り落とした
「あら?いつの間に斬ったの?」
余裕の笑みを浮かべるアクニス
すぐに触手は再生し、またも襲い掛かってくる
イアは盾を張って防ぐ
はじくたびに飛び散る火花
アルマはアクニスの後ろに回り込み、力を放つ
「あら、動けないじゃない」
アルマは宙をつかむように手を動かした
アクニスは身動きが取れなくなる
そこをイアの槍が、剣が、貫いた
がくりと首をたらし、アクニスはぐったりとする
「やった、の?」
アルマが手を離す
「まだ離しちゃダメ!アルマ!」
イアは叫んだ
突如動き出した触手にアルマの右手が貫かれた
「ああ!」
倒れ込むアルマ
「あら、外れちゃった」
「心臓を狙ったんだけど、後ろじゃよく狙えなかった」
痛みにうずくまるアルマにとどめを刺そうと近寄ってくる
「おちびちゃん、あなた、面白い力を持ってるのね」
だんだんと迫るアクニス
「私に、頂戴」
手からブラックホールのようなものを生み出すアクニス
「このホールに飲み込まれると死んじゃうんだけど」
「その力は私に還元されるの」
「大丈夫、一瞬だから痛くないよ」
ホールをアルマに向けて吸い込み始めた
イアはアクニスに接近し、白皮でできた真っ白な剣をアクニスに刺す
しかし、剣先は刺さることなく消えていた
いつの間に出していたのか、ホールが剣先を飲み込んで消していた
「後で嬲り殺してあげようと思ったけど」
「やめやめ、先に殺してあげるわ」
そのままホールを広げていく
剣を持っていたイアの腕ごとホールは吸い込んでいく
飲み込まれた瞬間、アルマの肘から先は消滅した
「ヒグッ!」
慌てて手を引き抜くが、両腕がなくなり、鮮血が飛び散った
「あら、きれいな血、もっといっぱい流させてあげる」
白皮で止血し、腕を作り出す
アクニスの後ろではアルマがうずくまっている
出血が激しい、何とかして助けなければアルマは死んでしまうだろう
「どこ、みてるの!?」
ホールを持った手で攻撃を仕掛けてくるアクニス
紙一重でかわすが、わずかに肩をえぐられた
そのすきをついて何とかアルマに駆け寄り、白皮で覆って治療する
あっという間に傷口はふさがった
そのとき、イアの背中をアクニスが貫いた
ホールにより上半身と下半身が真っ二つになるイア
血を吹き出し、倒れた
「ア、アハハ、やった!...やった!」
口と傷口からとめどなく血が噴き出す
「グフッ、アッグッ」
「ア、ルマ、逃げ、て!」
目の前の惨劇にアルマは叫んだ
「あ、あああ、あああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
洞窟全体が振動し始める
「な、なに、この力」
「体が、動かな、い?」
アルマはアクニスに手をかざし、握った
そのとたん、アクニスの手足がちぎれ飛ぶ
「キャァアアアア!!」
アクニスの悲鳴が洞窟内に響き渡った
手足をもぎ取られたアクニスは芋虫のように這いずって逃げる
その手足は少しずつ再生し始めていた
そこを、アルマの剣が刺し貫いた
「あああ!!」
「うそ、うそよ!」
「なんで!やっと、やっとあいつを殺せたのに!」
「なんなのこいつ!」
もはや人とは思えないほどの力を覚醒させたアルマ
アルマが手をあげるとアクニスの体がゆっくりと浮いた
「なに!?どうする気?」
「や、やめて、待って、やm!」
アルマが手を振ると、アクニスは洞窟の壁に叩きつけられた
「ガァ!!」
アクニスの顔が変形するほどの衝撃
アルマは手を振り続ける
壁に何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度も・・・
数分後にそこにあったのはただの肉塊
もはや何だったのかもわからない血の塊だった
その肉塊を地面に落とし、イアを抱き上げるアルマ
イアの目からは光が消え、息絶えていた
アルマは、その場で、泣き続ける
アクニスが死んだことで、結界が解除されたのか、仲間たちが入ってきた
そこにある、動かなくなったイアの死体
死体は、光となって、消えていく
皆一様にその死を悲しんだ
世界から、危機は去った、のだろう
彼女の偉業は、たたえられ、英雄として後世まで名を残すのだろう
一つの世界の、彼女の物語は終わる
そして、扉が、開く
天へと至る門が、開く
「ようやくだ、ようやく開いた!」
「僕たちの!終末と再誕が始まる!」
悪魔のような角をはやした切れ目の男が喜びの声をあげる
その前には、光り輝く大きな扉
扉は、ゆっくりと開き始めていた
その中に、一人の老人が立っていた
「管理者、か」
「何者だ、お前は」
「世界を、再誕させる者、かな?」
「なにを、言っている」
「ここから先は通すことはできん!早々に立ち去っ」
老人の首が突如転げ落ちた
「あんまりさぁ、面白くないこと言わないでよ」
転げ落ちた老人の頭を蹴り飛ばし、門の中へと進んだ
物語は終わり、次へとつながります
すべての物語がつながった時、生誕します




