31 エルフの国2
クパルはひたすらに耐えていた
操られていない民たちを城の中に避難させ、巨大なドーム状の盾を張った
襲い来るエルフたちももともと何の罪もない国の住人
傷つけるわけにはいかなかった
しかし、盾を壊されるのは時間の問題だろう
クパルの転移術がないため馬で駆けるイアたち
通常よりも飛ばしてはいるが、それでもエルフの国ソールーンまでは3日はかかるだろう
出立から二日目、何人かのエルフがこちらに向かってくるのが分かった
体中ボロボロで、フラフラだったが、衰弱しているだけのようだ
「国が、城が、落ちました」
「なんだと!?」
「っく、救援が来たというのに!」
「女王と民は無事なのか?」
「女王様が、民を連れて地下へと逃げ込んではいますが」
「いつ破られるか...」
「くそ、国に張り巡らされたアンチ魔法の障壁がこんな形で邪魔になるとは」
ソールーンは外からの侵入者や攻撃を防ぐため、国全体にアンチ魔法がかけられている
その障壁は通常数千人以上運べるクパルの転移魔法使用を妨げていた
「ミルファさん、その人たちの治療をお願いします」
「私は飛んで先に向かいます!」
「え?イアさん、飛ぶって..」
ミルファが聞くとイアの背中から真っ白なコウモリのような翼が飛び出した
「リージーさんの翼を見て思いついたんです」
「練習はしてあります」
「急ぎます!」
イアが羽ばたくと体が宙に浮いた
一気に上空へと飛び上がると途轍もないスピードで羽ばたき去っていった
「便利ね」
「あぁ...」
「よし、われらも急ぐぞ!」
シムカとゴシカが指揮をとり、兵はソールーンへと急いだ
数時間後、イアはソールーン上空へとたどり着いていた
森におおわれ、自然の木々や石で作られた建物は普段エメラルド色に輝き、美しいのだが
今は火の手が上がり、真っ赤に染まっていた
その中心部、ひときわ燃えている大樹にクパルや複数の生命体の気配を感じた
「今行きます、クパル様!」
イアはその猛火の中へと飛び込み、地下へと向かった
地下へと続く大きな扉が見えてくる
その扉の前には操られていると思しきエルフたちが群がり、扉を壊していた
彼らの首の後ろからは黒い水晶が生えている
「やっぱり、彼らも同じように操られてる?!」
イアは白皮を鋭い触手へと変え、首の水晶を破壊した
壊されたとたんに倒れていくエルフたち
「やっぱり、これが原因なのね」
イアは次々水晶を壊していき、扉前のエルフたちすべてが倒れた
イアは彼らに近寄り呼吸を確認した
「大丈夫、生きてるみたいね」
確認が終わると大扉を開く
中にはおびえた様子のエルフたち、そして、疲れ切った顔のクパルがいた
「イア!」
「クパル様!」
二人は再開を喜び、抱き合った




