30 双子の魔人5
追いつめられたイアは瓦礫を巻き上げて防ぐ
一瞬でその瓦礫を消し飛ばす双子
瓦礫の影から後ろに回り込む
カルマの背中はがら空きだった
その背中に向けて白皮の槍を打ち込んだ
しかしレキィに察知され、はじかれた
「そこか!」
カルマは剣を脇から後ろに差し込んだ
剣はイアの腹部を刺し貫く
「あ、ぐ」
深々と腹に突き刺さった剣をさらに押し込まれる
「あ、ああ」
「まだまだ!」
「あっがぁ!!」
二刀目がイアの胸元に刺さる
さらに、レキィの二刀の刃までも背中を貫いた
カルマの一刀、レキィの二刀が深々と心臓に突き入れられ
イアはそのまま倒れた
遠目に見ていたシムカたち
「イアさん!」
呼びかけに答えることもなく、ピクリとも動かないイア
周囲は絶望感に包まれた
「さすがに心臓をつぶされたら再生能力も発揮できないだろ」
「あたしらの勝ちね」
「後は、邪竜を守ってるあいつらだけ」
標的をシムカたちに変え、ニヤリと笑うレキィ
その足を、イアにつかまれる
「待、て」
「行かせ、な、い」
すでに脳に血液が送られていないのか、目の焦点が定まっていない
ずりずりと這い寄るイアがつかむ腕を切り落とすレキィ
「しつこいよ、君はもう死ぬんだからおとなしくしてなよ」
そのまま蹴り飛ばされる
「レキィ、構ってんなよ次が控えてるぜ」
「そうだね」
その後ろでイアは立ち上がった
「な!まだ動けんのかよ!」
しかし、意識はすでにないのか、目から光は消えている
いや、呼吸すらも
ただ傷口から血が噴き出すのみ
それでもなお立ち上がり、双子に向かう
「こいつ、死んでるのに動いてる」
「どういうことよ、こいつの、スキル?」
ぼたぼたと血をたらしながら双子へと踏み込んだ
一瞬で間合いを詰めるイア
白皮の武器を幾重にも纏い、ふるう
その速度は増し増していく
「なに!?これ」
「速すぎる、手数が!おっつかない!」
「こっちは、二人掛かりだってのに」
「く、そ、なんだよ、これ」
激しい金属音を響かせて、今度は双子が追いつめられていた
「まずいぞこれ、剣が、もうもたねぇ」
「ヒィ!ひびが」
パキィンという音とともに二人の剣が砕け散る
「くそぉおおお!!」
双子にイアの刃が食い込み、その命を吸う
イアの体は少しずつ傷がふさがっていった
双子は倒れこんだ
ほどなくイアは意識を取り戻す
「よう、目が覚めたみたいだな」
カルマが話しかけてくる
「ごめんね、ありがとう...」
レキィは泣いている
「俺たちの意識は、深く深く閉じ込められていた」
「どうしても、止められなかった」
「ハハ、英雄が聞いてあきれるよな」
「あたしたち、とんでもないことを」
「クパルちゃんまで...」
「あなたたちも、やっぱり、操られて」
「あたしたち、しばらくは二人で旅してたの」
「百年たったこの世界がどうなってるのか見たくて」
「そんな時、黒い魔人に会ったの」
レキィはつらつらと語り始めた
人には必ず悪意や劣等感があるはずです
成人君主なんて物語の中だけです
そこに付け込めば誰でも簡単に...




