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15 紫の魔人

 作戦は開始された

冒険者の兵団が廃村を取り囲む

その廃村からはただならぬ気配を感じた


 クパル、イア、アカネ、ゴシカは廃村の中心へと向かう

中心部には少し大きな廃墟があった

その中からひときわ大きな気配


ゴシカ「気を抜くなよ」

   「中を確認する」

   「ここでしばらく待て」


 ゴシカはスキル消音と気配探知を発動させた

廃墟の壊れた隙間からそっと入る


中には、フードを深々とかぶった子供がいた


ゴシカ「君!こんなところで何をしているんだ!」

   「危険だからこっちに来なさい!」


 少年はゆっくり振り向く

獣人だった


ゴシカ「さぁ!早く!」


少年はニヤッと笑った


。。。「やぁ、お姉さんはボクを倒しに来た人?」

   「意外と早くバレちゃったんだ」


ゴシカ「何を..言っているんだ?」


少年の背中から翼が開く


ゴシカ「!」

   「これは...魔人だったのか」


。。。「ボクはアトロン」

   「獣の将だよ」

   「ボクは魔物を強化して操れるんだ」

   「魔物を悪と決めつけてボクの大切な友達を奪い、ボクを処刑した奴ら」

   「そいつらをみなごろしてやるんだ」

   「魔物たちと共にね」


その目はすでに心の闇しか映し出していなかった


ゴシカ「やるぞ!突入だ!」


外で待っていた3人は一斉に廃墟に突入した


アカネ「こ、子供!?」


ゴシカ「違う!これはもう魔人だ!」

   「ためらうな!」


 クパルはすでに構えていた

それを見てアカネとイアも構える


アトロン「こんなところで、何の備えもなく突っ立っていると思う?」


 アトロンから紫の煙のようなものが広がった

それは一気に廃村を覆う


すると、目の前に突如巨大な鳥型の魔獣が現れた


アトロン「この子は神鳥シームルグ」

    「ボクの力で強化されてるから相当強いよ」


クパル「神鳥!?」

   「そんなの、どこから、連れてきたの?」


アトロン「ボクには魔物の居場所がわかるんだ」

    「普段人前に姿を見せない神獣もね」

    「さぁ、シームルグ、存分に暴れよう」


 外にも魔物が現れたのか、戦闘音がしている

シームルグが四人めがけて襲い掛かってきた

クパルは光の盾を展開し、すぐに攻撃呪文を展開し始める


クパル「テンペスト!」


 激しい風の刃がシームルグに襲いかかる

しかし、シームルグは咆哮でこれを打ち消してしまった


クパル「さすが、神獣、この程度じゃ、傷すら、つかない」

   「それなら」

   「メテオフレア!」


廃墟を覆うほど巨大な炎の塊がシームルグに降り注ぐ


シームルグ「グゲェエエ!」


悲鳴が聞こえる

ダメージはあったようだ


炎が消えるとところどころ焼け焦げたシームルグが凛と立っていた


クパル「これでも、ダメ、か」


 アカネは燃え盛るチャクラムを投げつけた

その刃は羽の一部をもぎとる


アカネ「効いてます!」

   「もう一度!」


 チャクラムを投げる

しかし、シームルグは口で受け止めた

すでにその爪はアカネに振り下ろされている

その爪をイアが白皮の盾で止めた


アトロン「へぇ~、その力」

    「君がメロルビアを倒した同胞かい?」


イアはアトロンをまっすぐ見つめた


アトロン「まぁ、メロルビアは僕らの同胞の中でも優しい方だったからね」

    「ボクが少しいじって闇を広げておいたんだ」

    「きみも同胞なら、ボクがいじってあげようか?」


アトロンは笑みを浮かべた


イア「私は、あなた達の仲間にはならない!」

  「皆を守るために、あなた達と戦うと決めたから!」


アトロン「面白くないなぁ」

    「じゃぁ、シームルグに殺されちゃいなよ」


 シームルグはアトロンの力を浴び、更に凶暴さを増した

鋭い爪で次々と攻撃を繰り出してくる

イアはなんとか盾で受け止める

そこをすかさずゴシカとアカネが斬りつけた


 瞬身のスキルを発動させたゴシカのスピードはとても目で追えるものではなかった

シームルグの傷が恐ろしいスピードで増えていく


 すると、外で悲鳴が上がり始めた

どうやら更に魔物が増えたようだ


アトロン「フフフ、いいのかな?ここばかり気にしてて」

    「外にもたくさん強い魔物を放ったからね」

    「たぶん、皆死んじゃうだろうなぁ」


ゴシカ「っく」


イア「クパル様、ゴシカさん、アカネさん」

  「援護に行ってください!」

  「この魔獣は私一人でなんとかします!」


ゴシカ「お前一人でなんとかなる魔獣ではないだろう!」


イア「信じてください!」

  「きっと、きっと倒してみせます!」


クパル「行こう、ゴシカ、アカネ」


アカネ「そんな、いくら魔人の一体を倒したからと言って」

   「一人じゃ無理です!」


クパル「大丈夫、イアなら、きっと」


アカネ「でも!」


ゴシカ「行こう」


アカネ「え!?」


ゴシカ「彼女を信じよう」

   「あの娘なら、やってくれる」


アカネ「...わかりました」

   「イアさん!死なないで!」


イアは頷くと、シームルグに対峙した


クパルたちは援護に向かう


 白皮を武器に変え、シームルグを攻撃するイア

シームルグもそれを迎え撃つ

イアの白皮剣がシームルグの首に食い込んだ

...抜けない

そこに爪が襲いかかる


イア「ッグ!」


イアの背中を爪が打った


イア「カハッ」


吐血するイア

背中には大きな傷跡ができていた

諦めず立ち上がる 


(そうだ)


 イアは白皮を大きなチャクラムに変え、炎をまとわせた

それをシームルグにむかって投げる


 意図は見事に当たった

炎のチャクラムはシームルグの腕を斬り飛ばした


シームルグ「ギャァガァアアア!」


シームルグはたじろいだ


 もう一度チャクラムを投げると次は翼を切り裂いた

もはやシームルグもイアもぼろぼろだった


アトロン「く、まさかここまでとは」

    「今はまだ、きみには勝てないね」

    「ボクは逃げるとするよ」

    「シームルグ、ありがとう」

    「帰ろう」


そう言うとシームルグはいなないて紫の煙とともに消えた


アトロン「それじゃぁ、イア、また会おうね」


アトロンは翼を開くと空高く飛んで逃げていった


 フラフラとよろけながらも外に出るイア

相当傷は深いようだった


 外ではすでに戦闘は終わっていたようで

クパルとアカネが走ってきた


アカネ「イアさん!」


二人が駆け寄ろうとしたそのとき

イアの背中の傷口を光の矢が撃ち抜いた


イア「あああ!」


その場に倒れ込むイア


クパル「イア!」


 矢はまっすぐイアの背中から胸を貫いていた

致命傷であるのは明らかだった


矢の飛んできた方を見るとアイダが弓を持って立っていた


アイダ「アハハハハ!!やった!!」

   「私が!魔人を仕留めた!」


アイダは完全に正気を失っていた


そこにゴシカが戻ってくる


ゴシカ「こ、これは!」

   「どういうことだアイダ!」


アイダ「何言ってるんですか?魔人討伐ですよ?」

   「危険な魔人を殺しただけじゃないですか」


もう一度イアに矢を射ようとするアイダをゴシカが止めた


ゴシカ「やめろ!」


アイダ「離せ!こいつが!こいつが私の大切な人たちを奪ったんだ!」


憎しみに満ちたアイダを見ていたイアはゴシカに向かって言った


イア「ゴシカ..さん...」

  「その人の..言うとおりです」

  「私..は、彼女と一緒にいた冒険者の命を」

  「奪いました...」


口から大量に吐血しながらイアは続けた


イア「その人には、私を殺す..権利が」

  「あります...」


アイダ「そうよ!だから!死ね!」


ナイフを取り出しイアに走り寄って深々と突き立てた


とっさのことで誰も止めることができなかった


クパル「イアぁああ!!」


イアの体から力が抜ける


アイダ「ハハハ!ハハ..」

   「とうとう、殺せた!アハハハハ!!」


アイダはどこかへと走り去っていった


 イアの体はどんどん死に向かっていた


クパル「そんな、イア、イア..」


ポロポロと涙を流すクパル


(あぁ。死んじゃうんだ私..)

(アルマは、どうしてるのかな?)


薄れ行く意識の中思ったのはアルマのことだった


イアは事切れたのか、まったく動かなくなった


その時


イアの傷口が青く輝き始めた

それはとても美しい光

光はみるみるイアの傷を癒やす


ゴシカ「何だ..これは」


クパル「傷が、塞がっていく」


三人は驚愕した

明らかに致命傷だった傷はもはやなかった


イアの顔には精気が戻っていた

 


 ゴシカはイアを背負うと

クパル、アカネとともにテルルーンのギルドへと戻った


魔物もいっぱい動かしたい

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