3 洞窟の吸生魔鬼その3後編
あれからまた数日経った
ここ数日は何も来ない
一人?になりたいイアにとっては願ってもないことだった
しかし、その平和も長く続くはずもなく
またしても冒険者らしき一団が来た
大剣の男「お、いたいた」
短剣の男「おお、ほんとに見たことない魔物だぜこれ」
大剣の男「こいつを倒せば俺らのランクも上がるな」
両手杖の女「鑑定できたよ」
「楽勝じゃないさ」
「何が若手有望株よ、こんな雑魚に殺られるとか」
「マスターの目も落ちぶれたもんね」
大剣の男「ハッハ、だよなー」
「さくっと倒しちまおうぜ」
「珍しい素材も手に入るかもな」
それを聞いてイアは立ち上がり、逃げようとした
両手杖の女「何よこいつ、逃げようとしてるわ~」
短剣の男「何だよ、やっぱ弱いんじゃんよ」
必死に逃げようとするイア
(逃げなきゃ!また、殺しちゃう!)
しかし、いとも簡単に追いつかれた
両手剣の男「オラ!とっとと死ねや!」
大剣が振り下ろされる
しかし、何かに阻まれた
両手剣の男「なんだよ...これ...」
驚く両手剣の男の腹を黒皮が貫き、霧が覆った
(黒皮がまた勝手に!)
霧が離れると、案の定大剣の男は死んでいた
短剣の男「う、嘘だろ!」
驚きの声を上げ、逃げようとする短剣の男の首を
黒皮が薙いだ
転がる男の首
両手杖の女は動けずにいた
足から崩れ落ち、股下を濡らすのも気にする余裕などはなかった
そのまま動けずにいると、黒い魔物はまた奥の元いた場所へと戻ろうとしている
(早く離れなきゃ!)
しかし、我に返った両手杖の女は杖を構え
両手杖の女「よ、よくも!」
「ファイアボム!」
と、攻撃魔法を放った
(ダメ!やめて!)
イアは黒皮を止めようとしたが、無駄だった
相手の明確な殺意に答えるかのように女のはなった火球を包み込むと
そのまま投げ返した
両手杖の女「う..そ..」
火球は女にあたり、その身を焦がした
両手杖の女「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!あぁぁぁあ..ぁ...」
凄まじい断末魔とともに女は焼け焦げた
-スキル重さ軽減を獲得しました-
-スキル、大剣技を獲得しました-
無機質な解析者の声が響いた
イアはまた遺体を黒皮で持ち上げると、近くの広場に埋め、墓を立てた
その日からイアは墓で祈り始めた
冥福を祈る気持ちもあったが
何かをやっていないと耐えきれなかったからだ
しばらくは冒険者たちも来ていたが
近づかない限り襲ってこないイアを放置することにしたのか
調査隊すら来なくなった
それから数年間、極稀に名を上げようとするものや
盗賊、腕試しの冒険者、魔物などが来たが
墓が増えるだけであった
そんな日々が続いていたある日
一人の少女がイアのもとを訪れた
少女「こ、こんにちは...」
なぜ挨拶などしたのかわからないが
少女が近づかないようイアは威嚇した
イア「ググ!ガガァ!!」
相変わらず話すことはできない
しかし、少女は近づいてくる
(ダメ!来ちゃ...だめ!!)
そんなイアの思いも届かず、少女はゆっくりと近づいてきた
体から霧が出始め、少女を包み込んだ
不思議なことに、彼女は霧に覆われても死ぬことがなかった
霧は薄くなっていったが、少女を覆うのをやめない
(どういう...ことなの?)
イアは解析者で少女を調べてみたが
-解析できません-
と、言われた
少女「あなたは、なあに?」
無邪気に聞いてくる少女
今までにない反応にイアは戸惑った
無邪気に微笑む少女
(魔物が怖くないの?)
反応に困っていると、また少女が語りかけてきた
少女「私、アルマ」
「あなた、名前はある?」
魔物に気さくに話しかける少女を警戒しつつも
イアは地面に文字を書いてみた
キョトンとする少女
やはり、転生前の文字は通じていないようだった
それでも、意思疎通が出来るとわかった少女は喜んだ
アルマ「あなた、女の子?よね?」
「私が名前つけたげるね」
「う~ん」
少し首をかしげながら考え込む少女
アルマ「そうだ!黒いから、クロちゃんね!」
(安直..)
イアは笑ってしまった
アルマ「あ!笑ってくれた!」
少女も嬉しそうに微笑んだ
それから少女との少し奇妙な生活が始まった
早く洞窟から出してあげたい
次はこの世界の魔法の定義です




