プロローグ
死というものは身近ではなかったが
死を自ら望んだ
悲しむものなどいない
カッターナイフを手に取り、首にあてがい一気にひいた
目の前が赤く染まっていき
私は意識を失った
死ねば楽になれると思ったが違うようだ
気づけば見知らぬ洞窟の中
自分の知っている自分の姿、それすら今はなく
あるのは真っ黒な人型の魔物の姿
この姿になる前に女神なるものに出会った
白いツインテールを揺らし
純白の魔法少女のような出で立ちの少女
彼女は言った
「ちょうどいいから君を選んだんだけど」
「死ぬにしても自殺ってのはいけないよね~」
「命を軽く見た君に罰をあげちゃうよ~」
「ほら~いまさ、いろんな神がやってんじゃん?異世界に転生~みたいな?」
「あんな感じで君をさ、転生させちゃう」
「でもこれ罰だからさ、チート能力じゃなくて~」
「ちょっと特殊なのを贈っとくね」
「一応ちょっとした案内用のスキルくらいもつけとくね~」
(何を言っているんだこの少女は・・・)
そう思っていると急に意識が薄れた
最後に聞こえたのは
「バイバイ、また会うときまでがんばってね」
という神というには幼い声だった
近づくだけで命を蝕む黒い悪魔の噂はすぐに広まったようだ
みんな私の死を望む
死ねない私の死を
そして幾年かが過ぎた
相変わらず私を殺しにやってくるものたち
名を上げようとする者、有りもしない財宝狙いの盗賊やトレジャーハンター
私を喰えば力を得れると思い襲いに来る魔物
しかし、どれほど強かろうが私を殺せるものはいなかった
当然だろう、近づくだけで命を奪ってしまうのだから
私に近づくと体力を奪われ、やがて死に至る
自分でも幾度となく死のうとしたが
そのたびに体に纏う黒い何かが妨げる
ずっと洞窟の奥で命を奪い続ける毎日が続き
私を恐れ、殺そうとするものもいなくなった頃
私を恐れない少女に出会った
そして・・・
横たわる少女の小さく華奢な体をそっと抱きしめる
明らかに魂の抜けたその体はもう動かない
虚ろなその目はもう何も映さない
小さなその唇は、他愛のない話を、語ることはなくなった・・・
体の、心の奥底から、この体になってから初めての感情が湧いた
涙が溢れ出し、少女を失った悲しさと少女を思う愛しさが体を駆け巡る
(そうだったのか、私は、この少女を・・・)
そう思ったその時
無機質な声が聞こえた
-スキル成長条件を満たしました-
-スキル、「命を喰らうもの」は「命を操作するもの」にランクアップ可能となりました-
-ランクアップしますか?
Yes or No -
(Y…es?)
-...ランクアップによりスキル、「命を喰らうもの」は「命を操作するもの」にランクアップ
しました-
-スットクされた生命エネルギーにより生命の蘇生が可能となりました-
-蘇生しますか?
Yes or No-
(Yes…)
私は奪うモノから与える者になった・・・
なんかすいません、素人です完全に
読んでいただいてありがとうございます
更新は遅いかもしれませんが
また読んでいただければ幸いです
ペパーミントアイスが好きです