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終わったなら~外伝~  作者: 朝倉新五郎
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外伝第5話 心の位置

 戦からの帰り際、オサムはまだ悩み、怒っていた。

 『攻めてこなければ誰も死ぬことはなかった。俺は戦を全て無くしてやる』


 タキトスが

 「しかし、これでまた黒騎士に箔がつきましたね。」

 オサムに言った。


 「箔などいらん、奴らの首が転がればそれでいい・・・」

 オサムには力がある、敵を圧倒するだけの力が。

 敵を倒し続ければいずれ攻めてこなくなる。十数年に渡るという戦が無くなる。


 

 「すまぬな、まだ怒りが静まっておらぬらしい、十数騎逃した。」


 「しかし敵1500のほとんどを討ち取りました。」

 ハンビィが言うと


 「そうだな、村を襲った連中はほとんど斬り伏せたということだな。」

 『恐らくだがしばらくは攻めて来れないはずだ、それでいいか』オサムは考えた。


 道中、村を見つけては納屋に泊まらせてもらった。

 

 「騎士様が納屋になど、母屋でお過ごしください」

 そう言われたが


 「お気遣いありがとうございます、我々は野宿にもなれておりますので」

 「ご迷惑をお掛けするわけには参りません」

 「それに騎士とはあなた達のような方々を守るべき存在です、身分など責任のついでのようなもの」

 そう言って3人と納屋に泊まった。


 「ご主人様は筆頭騎士でありながら私欲が全くありませんね」

 ハンビィが藁束にもたれかかりながら言うと


 「私欲?俺にも欲しいものはあるぞ?」

 「例えばだけど、そうだなぁ、剣とか鎧とか、うまい食い物とか」


 クイードとタキトスは笑った。

 「それは欲しいものではなく必要なものですね」

 そしてハンビィが

 「ご主人様の資産は銀貨でいくら位ですか?200万枚は或るはずですが?」

 「それを自分のためにお使いになりませんね?召使いですら同じテーブルで食事します」

 ハンビィに続けて

 「主と同じ食事をする召使いなど聞いたことがありません」

 クイードが言った。


 オサムは

 「そうなのか?でも楽しいだろう?」

 「召使だから粗末な食事で良いのか?それじゃ楽しくない」それだけだった。


 翌朝、オサムは4人の宿泊代と言って強引に青銅貨40枚を渡した。

 「さて、あと2日か、もうすぐエリトールの領地に入るな、見て回ろう」

 オサムは自分の領地を道すがら見て回った。


 「少し村民を集めてくれ」オサムは村長に言った。

 

 「今の税は4割だが、生活に不自由はないか?」

 オサムが尋ねると

 「十分生活は出来ます、エリトール様」

 しかし村民は貧しそうだった。


 「その内領内を整えるのでその時は頼む」

 オサムは道路整備や家屋の修繕などで領内に金を落とすつもりだった。

 繁忙期以外の日を整備に充て、先払いで支払うことにした。

 オサムの領内は土木工事や建築工事でかなり潤った。


 今回も村の納屋で寝ることにした。

 村長の家に誘われたが断った。食事もパンをマジックバッグに入れているため問題はない。


 次の日の朝出発し、伯爵の城を目指しながら領内を見て回った。

 「貧しい村や町はないけど、少し辛い生活をしているようにみえるなぁ」

 オサムが言うと

 「大体このようなものですよ?貴族や上流騎士と同じような生活は出来ません」

 そうクイードが答えた。


 しかし、庶民出身のオサムはもう少しマシな暮らしをして欲しかった。

 「税を下げたいなぁ、理由を見つけてやってみよう」

 オサムが言うと

 「ご主人様がとてつもない金額をモンスター討伐で稼ぐのでエリトール家なら問題ないでしょう」

 ハンビィが答えた。


 そう言う話をしている内にオサムから戦の記憶が薄れていった。


 最後の日に伯爵の城塞に到着した。

 これでリムルに会える。

 それに領地のことも色々と知ることが出来た。


 オサム達はやっと屋敷に帰って来れたので、風呂で疲れを落とすことにした。

 しかし、クイード達は今回でオサムの強さを知り、鍛錬に出かけた。

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