外伝第2話 幽閉の森
オサムは両手剣であるクレイモアのほうが攻撃力は高いが、
今回はバスタードソードとフランベルジュ、それに夜叉の刀を装備していた。
3本もの剣を装備するため1番重いクレイモアは置いておくことにした。
バスタードソードなら片手でも両手でも持てる。
それに今回はハーフプレートアーマーと兜も身につけている。
楯は以前のものだが、それでも全てを合わせるとかなり重くなる。
現状で戦闘可能な重量はほぼこのくらいだった。
幽閉の森は街から徒歩で約1時間、レベルで言うと20程度らしい。
しかしフィールドボスだけは避けなければならない。
今回はポーションだけではなく念のためハイポーションも持って来ている。
街道から外れ、まずはゴブリンが出る平原を通っていかなければならない。
例のボスに出くわさなければ回復ポーションの取れるいい場所だ。
恐らく初級の冒険者だと思われる剣士や魔法士が数人居た。
急いでるが、ポーションを取るためにオサムはゴブリン平原をゆっくりと進んだ。
その途中、以前見た少し大き目のゴブリンが居た。
モンスターステータスはホブゴブリン、HPは30だった。
ボスモンスターの周囲に居たのと同じだが大して強くはない。
オサムはバスタードソードを振り下ろすと一撃で倒せた。
「レベル21とこの剣のアタックならそれなりの相手は倒せるな」
そろそろオサムは幽閉の森に入っていくことになる。
平原が突然森に変わっていた。木々はまばらなので剣を振るうのに邪魔ではない。
オサムが森に入ると遠くで何かが光った。恐らく魔法士だろう。
その光とは反対の方向に行くことにした。
暫く歩くといきなりトロルに出くわした。HPは250程ある。
「いきなり強そうな敵だな。良い鍛錬になるか」
オサムは周囲に他のモンスターが居ないことを確認して斬りかかった。
「ウィンドソード!」離れた位置からトロルに斬撃を飛ばした。
命中し、トロルのHPが60程減った。
MPを確認すると35に減っていた。「8回使えるということか」
オサムはバスタードソードで斬りかかった。
トロルがどの程度の強さかわからないが、幽閉の森はLv15から25程度のはずだ。
最初の一撃はトロルの棍棒で防がれてしまった。
「やるじゃんよ」オサムは更に斬りかかると大体一撃で20程度HPを削れる。
1分も掛からずに倒すことが出来た。
しかしオサムは31ポイントのダメージを食らった。
まだ回復させるほどではない。
トロルの晶石を拾い、グランパープルの革袋に入れた。
そして前の方を確認すると緑色に光る目をした人型の集団が居た。
4匹か、ゆっくりと近づいてモンスターの種類とHPを確認した。
「コボルドか、HPは50だけど4匹・・・やってみるか」
オサムは駆け出してウィンドソードを使った。
3匹が倒れて消えた。
「残り1匹」オサムは襲い掛かってくるコボルドを躱して斬撃を叩き込んだ。
一撃で倒せた。
「ウィンドソードを使う必要は無かったな、俺のHPは500あるし」
しかしオサムは危険を最大限減らすことにしていた。
「次は?」目の前にグレートベアが現れた、HPは200。
「トロルよりは弱いのか?」と襲いかかった。
しかしHPはトロルより低いが、攻撃力は上だった。
攻撃を楯で受けるとミシッという音がして後ろに飛ばされた。
「攻撃力も防御力もわからんな、HPだけで判断しないほうがいいか」
オサムは攻撃を受けながらグレートベアとと戦い、最後は心臓を一突きして止めを刺した。
今回は晶石と共に毛皮がドロップした。
何かに使えるだろうとオサムはウエストバッグに入れた。
次に戦ったのはオークだった。しかしグレートベアやトロル程強くはない。
簡単に倒した。
その瞬間レベルが22に上がった。
フランベルジュが持てるようになるまであと3レベル。
かなりのゴブリンを倒し、トロルとグレートベア、オーガを倒してやっと1上がっただけである。
アークコーンも現れた。
オサムはユニコーンのような姿を想像していたが、大きな一角兎だった。
HPも攻撃力も低いがとにかく素早い。
角で飛んで攻撃してくるため、その瞬間を狙って叩き切った。
「結構苦労するな。流石にゴブリンとは違う、アイツは苦手だな」
オサムは岩を背にしてしばらく座っていた。
「ん?HPとMPが回復するな?休息を取ると回復するのか」
全回復するまで座り、またモンスターを探し始めた。
暗闇の中、複数の目がオサムを見ていた。
オサムは近づき確認するとダイアウルフ。HPは150だが数が多い。
戦闘態勢で近づきウィンドソードを放った。
数匹に当たったが、倒せてはいない。
8匹の群れと戦うことになった。
後ろから攻撃されないように岩を背にして戦った。
1匹ずつならそれほど強い相手ではないが、複数相手では気が抜けない。
ダメージを負ったダイアウルフから倒していった。
ハーフプレートの防御力はダイアウルフの攻撃を跳ね返す。殆どダメージを負わなかった。
「ふぅ・・・革鎧なら危なかったかな?」
まだまだ歩くとオーガに出会った。トロルよりは強い。
メレジャイアントにも会ったがオーガよりは倒しやすかった。
オークやゴブリンも数多く倒した。
「一通りの敵に会いたいな」
オサムが次に見つけたのはスケルムだった。
何かの動物のスケルトンだ。かなり強い、と言うよりHPが高い。
素早さは無いがかなりタフなモンスターだ。
攻撃力は低いが、防御に優れているのか剣が跳ね返される。
ダメージを与えられているのかどうかはHPゲージを見なければわからない。
そこそこの強敵だが、すでにオサムは剣の扱いに慣れている。
殆どダメージを負わずに倒すことが出来た。
カオスビーストは真っ赤な目をした漆黒の虎のようなモンスターだった。
素早さ、攻撃力を兼ね備え、HPも500と高い。
オサムはかなりのダメージを受けた、攻撃を受ける際に剣を振るうしか無い。
この戦い方に徐々に慣れてくると攻撃を受けずに傷を負わせることが出来た。
かなりの時間を掛けてカオスビーストを倒した。
ドーンサバイアはオーガに似ていたが、より巨大で攻撃力が高い。
知能は低そうだが一撃の重さが半端ではない。
楯で受け流していたがミシっという嫌な音がする。
オサムの楯はほとんど限界に来ていた。
距離を開け、ウィンドソードの連発で倒した。
この時にオサムはレベル25となった。
ここからは両手剣である、使い物にならなくなった楯を捨てフランベルジュに持ち替えた。
バスタードソードよりアタックが20上がる。
オサムのレベルも上がっているのでかなり強いはずだ。
暫くの間オサムは戦い続けた。
まだ0時を過ぎた程度だろう。時間はまだまだある。
ゴブリン、ホブゴブリン、コボルド、トロル、オーガ、メレジャイアント
これらが多いようだ。フランベルジュに持ち替えてからは苦労せずに倒せた。
しかしカオスビーストやドーンサバイアは強敵だ、油断できない。
戦いを優先するため休息は取らずにポーションやハイポーションで回復していった。
夜中に1度、食事のためだけ休息を取った。どれだけのモンスターを倒したのだろうか?
グランパープルの革袋はまだ満タンではない。かなり余裕がある。
強敵を倒す度にポーションを飲み回復する。
オサムのレベルは27、夜叉の刀が持てる30レベルまでにはだいぶ掛かりそうだ。
一撃で倒せる敵は増えたが、手強い相手も多い。
数時間掛けてやっと29レベルになった。
オサムは腰の夜叉の刀を見て「もう少しか、コイツが使えるまでは」
夜叉の刀が使えればスキルも使える。攻撃力も上がる。
走り回りながら弱いモンスターを見つけては薙ぎ払い、
カオスビーストに出逢えばやはり苦労して倒した。
「朝までには」オサムは幽閉の森で戦い続け、ついにレベル30になった。
フランベルジュを背中に戻し、夜叉の刀を抜いた。
刀身が怪しく光る黒い刀だ。
レベルが30となったのでオサムはフィールドを移した。
最弱の敵がトロルというかなり強いフィールドだったがスキル”闇の剣撃”はかなり使える。
ドーンサバイアやカオスビーストも簡単に倒すことが出来た。
そして再び幽閉の森に入った時、それは起きた。
フィールドボスだ。オーガナイト、HPは1500
周りを取り囲むのはオーガが10匹ほどだ。
「やれる」オサムは周りのオーガを切り払い、オーガナイトと1対1になった。
オーガと違い木の棍棒ではなく金属の鎚を持っている。
楯が無いので避けるか刀で捌くかしか無い。
一撃の重さが半端ではない。まともに戦えば負けるだろう。
オサムは闇の剣撃やウィンドソード、ソードスラッシュでHPを削っていった。
確実にオーガナイトのHPは減っていき100近くまで減らした。
時間にして5分も経っていないだろうがかなり長く感じる。
攻撃をまともに食らうと200程HPを削られてしまう。
ポーションやハイポーションをほとんど使い切る勢いだ。
最後に一撃ウィンドソードを放つとオーガナイトは倒れて光になった。
オサムはそれを見て少し休むことにした。
幽閉の森を抜けて帰るためにはMPが足りない。
全回復させた後ゆっくりと城に向かって帰っていった。
途中にオーガやトロル、メレジャイアント
それにカオスビーストやドーンサバイアが出現したが簡単に倒せるようになっていた。
帰り際にもレベルを幾つか上げて朝には城門に帰ってこれた。
あとは城に帰るだけだ。
気力がほとんど尽きようとしていたが自分の部屋へ帰り着いた。
そこにはリムルが起きて待っており、オサムを見るなり駆け出した。
「流石に疲れたよ・・・」と背中の剣を床に転がし、椅子に座って一息ついた。