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プロローグ
初投稿となります。
どうぞよろしくお願いします。
「ジイ、できた」
「ほっほ、もうできたのかい。
どれ、見せてもらおうかの」
とある森の奥にある小屋の前。少女に呼ばれ、膝の上の子犬を抱いて、老人は腰をあげる。
少女の正面には草を編んだ籠が置いてある。少々不恰好ではあるが大きな穴もなく、綺麗に作られている。
「よくできておる。さすがじゃな」
老人が子犬を下ろし、少女の頭を撫でると嬉しげに満面の笑みを浮かべる。
子犬も籠が気になるのか匂いを嗅ぎながら、籠の周りをくるくる回る。
「疲れたじゃろう。そろそろご飯にするかね?」
「うん、お腹空いた」
「今日はシチューでも作るとするか」
こくこく、と頷くのを見て、籠の側にいる子犬を抱き上げ籠を少女に渡す。
少女は逆の手で老人の手を取るとスキップしながら小屋へと向かう。
辺りは少し日が陰り、二人と一匹の影も長くなっていた。
飛び跳ねる小さな影と、それとつながった大きな影はやがて小屋の中へと消えていった。