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色付く世界  作者: 色輝
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007 同い年と私


 魔族…?誰が?両親が?…私も…?


 ポカンと口を半開きにして唖然としていたが、ひょいっと持ち上げられ我に返った。王子様に抱き上げられたらしい。王様と同じ銀色の髪に澄み切った薄いブルーの瞳の美少年だ。 何だ?と思ったら、他の子供達と続きの部屋に連れてかれた。子供部屋みたいな、マットの敷かれた部屋だ。どうやら子供は子供で遊ぶ予定らしい。


 …彼等も魔族なのだろうか…。でも人間と全然変わらないよな?人外の美貌ばかりだけど。そういえば、よく見てみるとリーリアちゃんの耳が尖ってるな。 と言うか、何故今まで気付かなかったの私。そういえば使用人も皆美形じゃね?両親がいるから気付かなかったが…。詳しい話が聞きたいので大人達のとこに行きたいです。私は戻る事を所望する!

 とは言っても、戻して貰えなさそうなので、私は同年代っぽい子達と交流を深める事にした。ハーレム王はハーレムなだけあって子沢山だ。でも、私と同じくらいの子が二人に、他は十代後半から二十歳前半くらいか。かなり差がある。 王様の子は、腹違いの姉妹のようだ。だって片方は銀髪に琥珀色の瞳、もう片方は金髪碧眼だし。髪質はどちらも王様似のふわふわした感じだけど。いや、母親が金髪金眼なら双子になるか?


 双子かどうかは兎も角、銀髪のツェリーフィアは大人しい子で、金髪のアズリアは癇癪持ちっぽい。と言うか仲悪いみたいだ、アズリアが一方的に。 同年代五人で固まり、他の人達は他の人達で固まってる。うむ、どうするかな。


 リーリアちゃんの藍色をほんのり滲ませたハワイアンブルーの髪を眺めながら、アリシアとアズリアちゃんの仁義なき戦い(アズリアちゃんは敵意剥き出しだが、アリシアは笑顔で遊び気分。敵視の原因は……多分金髪?)から目を逸らした…。 髪を引っ張り合い本格的に喧嘩し出した二人。やっぱりアズリアちゃんは髪が気になるのかな?アリシアも涙目で本気になり出した。


 そろそろ止めなきゃな、と思ってたら、お兄さん達が止めてくれた。アリシアがわんわん泣きながら抱き付いてきたので、抱き締めて頭を撫でた。よしよし、良い子良い子。

 リーリアちゃんも、私の真似してアリシアを撫でてくれた。ええ子や…。アズリアちゃんは、お兄さんにあやされながら泣き喚いている。うちじゃ喧嘩なんてしないから分からないが、普通の子はこんな感じだよな。


 苦笑していると、ふとツェリーフィアちゃんが私をジッと見てるのに気が付いた。目を丸くし、驚いたような表情は、幼児らしくない。…ん?今何か引っ掛かったような…。



「ねー」


「う?」



 話し掛けられた。琥珀色の瞳は揺れていて、本当に、子供らしく…ない。



「てーしぇーしゃ?」


「…ふぇ?」


「てー、んっ、しぇーちゃ?」



 てーしぇーしゃ…てーん、しぇーちゃ…てんせ…、っ転生者!?


 思わずカッと目を見開きツェリーフィアちゃんを凝視した。た、確かに……“私”と言う証人がいるのだから、他に転生者がいてもおかしくない。寧ろ、何故今まで気付かなかったんだろう!?


 私の表情で転生者だと確信したのだろう。ツェリーフィアちゃんは立ち上がり、私にも立つよう促してきた。私はそれに応え、しがみつくアリシアをベリッと剥がし(アリシア号泣。マジごめん埋め合わせは絶対するから!)立ち上がった。

 ちょこちょこ歩き、私達は近付いた。手を伸ばせばすぐ触れる位置で立ち止まり、ツェリーフィアちゃんは徐に手を挙げ――。



「ていっ!」


「はぶぅっ!?」



 顔面パンチを喰らわせて来やがった。


 突然の事で、私は対応出来ず後ろに倒れた。周りも突然過ぎて固まっている。私は、ツェリーフィアちゃんの顔を見上げた。

 ツェリーフィアちゃんは――…どや顔だった。


 ドヤァ、と意地の悪そうな幼児らしからぬ表情を満面に浮かべたツェリーフィアちゃんに、イラァッと来た。いきなり殴るなんて随分なご挨拶だな!売られた喧嘩は買うのが礼儀!場合によるが今回は買ったるぜ!


 つーか、その笑み!左の頬だけを上げ目を三日月型にした邪悪な笑い方、見覚えあるぞ!お前、まさか――…ッ!



 …彼奴・・の中身に関しての考察は後回しだ。それよりもまず、やる事がある。


 立ち上がり、復活したお兄さんに叱られてるツェリーフィアちゃんの前に行く。此方に気付いたツェリーフィアちゃん。私は皆の視線を感じながら、にっぱぁ!と無邪気な満面の笑みを浮かべた。

 それに呆気に取られたツェリーフィアちゃんの隙を付き、私は抉るようなアッパーを繰り出した。



「ハッ!」



 腰を入れて打ったそれにより、仰向けに倒れたツェリーフィア――呼び捨てで十分だろ――を、鼻で笑う私。空気が固まった。


 ツェリーフィアは顎を押さえながら立ち上がり、ニヤリと笑う。私もニヤリと獣のような笑みを返した。

 何でいきなりこんな事をしたのかは分からないが、それを聞き出すのは後だ。まずは、此奴をぶっ飛ばすッ!



 カーン!と、バチバチと火花を散らせる私とツェリーフィアの間にゴングの鐘が鳴り響いた。


 今、負けられない戦いが幕を開けた――。




一応言っときます。主人公は真面目だお!真面目に決闘と思ってます。アホの子です。

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