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色付く世界  作者: 色輝
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006 お城と私


 今日は、母の懐妊の報せに王城に来た。王城……王都の中心にある城で、王族が住んでいる。今から会いに行くのは、当然王族だ……。

 うちの両親は、王族とどういう繋がりがあるのだろうか。だって、国で一番偉い人にわざわざ妊娠を報告するなんて、親しくなきゃしないだろう。


 気になるが、行けば分かるだろうと思い、私は初めて家の敷地から出るのを楽しみにしていた。…楽しみに、してたのに…。



「…あぶぅ…」



 転移ポータルですぐに着いてしまった。父の書斎にあるこれは、他のポータルに移動出来るらしい。勿論誰でも使える訳じゃなく、登録した人だけ。これはかなり貴重なアイテムなのだろうと言う事は、容易に想像出来た。 魔法のアイテムも凄いし興奮したけど、やっぱり外見てみたかったな〜。残念だ。


 着いた城の一室は、煌びやかながら上品なレイアウトだった。我が家は装飾品はあまりないシンプルな纏まりで私の好みなのだが、この部屋も負けず劣らず惚れ惚れするような下品にならない華美さである。

 そこにいた侍女……いやメイドさんに案内され、私達は部屋を出た。廊下もまた豪華だ。まさにお城って感じだな。

 父に抱えられながら、キョロキョロ周りを見る。同じく父に抱っこされ反対側にいるアリシアもキョロキョロして、おーっ、とパチパチ手を打っている。レオンも似たようなものだが、アイリスは私達程物珍しそうにはしていない。来た事があるのだろうか。

 暫く進むと、騎士が脇に備えた特に細かい装飾のされた大きい扉に辿り着いた。謁見の間とか、そういう部屋かな?


 騎士が此方を確認し、扉をノックし「ローゼンクロス辺境伯とそのご家族がお見えになられました!」と声を掛けた。すると、内側から扉が開き、父と母はそのまま足を踏み入れた。ローゼンクロスって家名か?と言うか、辺境伯ってやっぱり貴族だったのか!?

 ポカンとしている内に、王様の前に進み止まった。…気のせいだろうか、王妃様が軽く十人はいるように見える。…目を擦る。…やっぱり沢山…え?何で?まさかあの中の一人が王妃様で他は子供?マジで?


 混乱していると、父が私達を下ろし、跪いた。隣では母もレオンを下ろしアイリスの手を離して跪いている。アイリスも見様見真似で跪いているが、私達はどうすればいいのか分からず、座ってるだけだ。まあ、戸惑ってるのは私だけで、レオンとアリシアはキョトンとしていたが。



「ローゼンクロス辺境伯、陛下の命により馳せ参じました」


「面を上げよ」


「はっ」



 おお、父格好いい。いつもの優しい口調ではなく、キリッとしてる。王様も父くらいの年齢で男前だが、やっぱり父が一番格好いいな。で、王妃様達も美女揃いだが母が一番綺麗だな。

 失礼になるので、出来るだけ王様達は見ないようにしつつ、父の陰に隠れた。と言うか、王様の威厳、と言うのか……威圧感が凄くてちょっと怖い。空気が張り詰めてる感じがする。…私ってば気まずい空気を読んだりは出来たが(誰でも出来る)、こんなはっきり読めたんだね…。


 王様すげぇ、と唾を飲み――突然の変化に付いていけなかった。



「つーかこれ公じゃないし普段通りにしていいぜ。レンリもアイリーンも」


「そうかい?じゃ、お言葉に甘えて」


「ふふ、相変わらずね、ジーク君は」



 あっさり立った父と母は、私達も立たせた。父に至っては「汚れるし公の場以外で彼奴に頭下げなくていいよ」とまで言っている。完璧不敬罪である。王様も王妃様も笑ってるし、周りの騎士さん達は苦笑している。…え、いいの?


 何が何だか分からずあたふたしてると、父に抱き上げられた。あれ、私がおかしいのか?どう考えても誰が聞いても今のは明らかに侮辱だよな?国一番偉い人貶したら拙いんじゃないの?何で誰も気にしないの?…いつもの、事なの?



「取り敢えず、堅っ苦しいの抜きにして茶でも飲むか。サリー、用意してくれ」


「畏まりました」



 王様は気さくな感じで、中年のメイドさんに言った。メイドさんは全く淀みなく答え部屋を出た。慣れた様子なのは、毎回こうだから…何だろうなぁ。 年も同じくらいに見えるし、もしかしたら友達なのかな?それならこの態度も、わざわざ妊娠を報告するのも、理解出来る。但し、父と母が何者かはイマイチ分からなくなるが。


 部屋を移動した私達。大きい部屋に沢山テーブルやソファーがあり、そこには誰かがいた。高校生くらいの美青年と、多分夫婦な男女が赤ちゃんを抱いて立っていた。



「久し振りだな、レンリ。アイリーンさんも」


「ハァイ、アイリ!レンリさんも久し振りね」



 生真面目そうな男性に赤ちゃんを抱いた快活そうな女性、爽やかそうな美青年。これまた美男美女だが、やっぱりうちの両し(強制終了)。

 カラフルな頭の皆々様は、椅子に座り私達に自己紹介してくれた。

 王様はジークフリートさん、周りの美女は全員奥さんらしい。一夫多妻制度でもあるのか、はたまた王様だからなのかは計り知れない。部屋にいた美男美女はバウルさんとリーシアさん、美青年がハルヒさんで私くらいの子供はリーリアと言うらしい。

 更にその後、王様の子供らしい子達が部屋にやってきた。もう二十歳は越えてそうな青年から、私くらいの赤ちゃんまで計十人。…因みに、父と母と王様の見た目年齢は二十代半ばで、王妃様は十代後半から二十代半ば……おかしくね?


 究極の若作りか…!?と慄いていると、とんでもない単語が耳に入ってきた。



「いや〜それにしても、子供が出来ないと嘆いていたお前等が、こうも立て続けに四回も妊娠するとはな!」


「奇跡だな。我々は妖精族以上に子が出来にくい魔族だと言うのに」


「アイリは子宝の神なのよきっと!拝んでおきましょぶへっ!」


「やぁね。拝まないでよリーシア!」



 は、母が殴った、だと…!?…ってそうじゃない!


 …え、私等魔族なの?




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