031 お祝いする私
話がー、すーすまーないー。
起承転結がない、と言うか起伏のない話にしかならんのは何故じゃ!
今日はしぃの誕生日。アズリアちゃんとシル兄ちゃんの誕生日は大盛況のち終わった。プレゼントも凄く喜んで貰えてよかった。
ただ、お城で盛大にやったからかな、色んな貴族の人達がいて、ちょっと疲れた。今回もそうなるのだろう。
私は、ふわっふわの白とピンクのグラデーションの甘ロリ風ドレスに、アリシアから貰ったリボンと赤薔薇飾りでの毛先をクルンと巻いたツインテール、ピンクの薔薇の付いた白いレースのヘッドドレス。
アリシアは、最近ハマってるらしい黒と白と赤のゴスロリ風ドレスに、色違いのリボンと黒薔薇飾りでのお揃いツインテール、白薔薇の付いた黒いレースのヘッドドレス。
まさに双子。ホントは完全に同じ服にしたかった。だってアリシアの色合いは誕生日パーティー向きじゃないしさ。まあ、叔父様もいいって言ってたからこれに決まったけど。
アイ姉とレオ兄、レイアも正装に着替えている。当然父と母もだ。皆目の保養でござる。因みに、レイアは淫魔としてすでに覚醒している。早いよねー。
転移装置でお城に移動し、私達はパーティー会場へと案内された。顔パス!
ザワザワと上品な人達の声がホールに満ちている。遅れてきたわけではないが、すでに結構な数がいてそこかしこで囀りあっている。腹の探り合いこえー。
大体が魔族なので、同じ年代の子はいない。と言うか、身内に同い年が五人もいる方がおかしいのだ。どうやら、母達女性陣が示し合わせたらしいんだけどね……。
にこやかに見えて、腹の中では何考えてるか分からない人達が、両親に挨拶しに次々来る。この国は恋愛結婚推奨で、身分差に物を言わせ娶るのは不可能なのだが、恋愛結婚による身分差婚はアリだ。
……辺境伯、と言いながら王族の次に偉いらしい我が家の子供達と、自分の息子娘を恋愛させよう(・・・・)と考える者は、結構いるのだ。
人と接するのが実は苦手な私は、お世辞にも社交的とは言えない。大分年上(それでも長寿の魔族にとって、数十歳程度の差は寧ろ年が近い方だとか)の青年と引き合わされ、辟易していた。
身内以外の男は苦手なのだ。前世から男性恐怖症の気がある。普段の私の様子じゃそう見えないだろうけどね。
「やあ、ようこそいらっしゃいました、ローゼンクロス卿」
「おや、リーズベルハルト殿下にマリアンヌ姫。本日はお招きいただきありがとうございます」
おお、救世主!
リズ兄ちゃんとマリ姉ちゃんがにこやかにやってきた。身内なので、挨拶は結構お座なりだ。普通だったら、長々とへり下った感謝やら何やらの口上がいるのだが、物凄く簡略化されてる。
取り敢えず、アリシアを猛禽類みたいな目で見るハァハァしてるマリ姉ちゃんは置いておいて。 主役のしぃとしぃママがいないが、叔父様はいる。王様だから最初に挨拶しなきゃならないんだけど、うちはそれをしない(形だけでもしなきゃいけないんじゃないかとも思うが、免除されてるらしい。理由は不明)。でも後でちゃんと行くので、リズ兄ちゃん達に連れられて叔父様に挨拶した。
いつもと違い、他の貴族がいるからか威厳たっぷりの叔父様と挨拶し、私達は話しながらしぃを待った。
「ツェリーフィア姫様のご入場です!」
と、騎士の声が響き、勿体振ったように開いた扉から、雪の妖精みたいなしぃが登場した。
キラキラと光輝く銀糸の髪は結い上げられ、ゆったりとウェーブしながら肩から滑り落ちる。白と水色のドレスは、胸元がラメ入りシースルーで腰までは体のラインに沿い、そこからはヒラヒラと動く度に可憐に舞うレースを重ね、雪の結晶の飾りが散りばめられている。頭には大粒のルビーが付いた金色のティアラ。
……きらんきらんの美幼女やぁ……。眩しいっ!
皆、見事なリトルレディに見惚れ、優雅に歩く妖精を目で追う。
「お父様」
「最高に可愛いよ、私のお姫様」
しぃは叔父様の隣まで行き、ギュッと抱き締められキスされた。
愛らしく微笑んだしぃは、そのまま此方を向き、淑女の礼をした。
「――本日は、わたくしのためにお集まりいただき、誠に感謝いたします。どうぞ、ごゆるりとお楽しみください」
最後にニコッと笑ったしぃに、会場から盛大な拍手と感嘆の声が響いた。
……流石元接客業経験者の指名No.1。恐ろしいくらい完璧にゃ……。あれ、あの店って指名制だったっけ……?
プレゼントは予め贈ってあるので、わざわざこの場で渡したりはしない。直接受け渡しが出来るのは、身内だけとか信頼出来る人だけの場合だけだ。だって何が入ってるか分からないしね。
料理食べて、しぃと話して、ダンスをリズ兄ちゃんと一度踊って、誘いを全部断って父とレオ兄と踊って、ご飯食べた。その身長差で踊れるのかとかのツッコミは控えてください。
まあ、主役のしぃを独占する訳にはいかないからね。夜念話で話そう。明日遊ぶ約束してるしね。
やっぱり大々的なパーティーとか、公の場は苦手だなあ……。