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色付く世界  作者: 色輝
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028 《理不尽の権化》だった私

 白く塗装された木箱は、青いリボンが掛けられている。大きさは、横20cm、縦60cmくらいかな。アリシアのは、横幅はないが縦に長い。

 ……叔父様のプレゼント。叔父様からってだけで不安を煽るのは何故だろう。…日頃の行いか。



「じ、じゃあ開けるか…」


「最後なのー」



 パカッ、と簡単に開く箱。そーっと蓋をズラすと、そこにあったのは――白い綿に包まれた、純白の弓。

 思い掛けない中身に、私はポカンと固まった。



「わー、綺麗な弓だね〜」


「アリシアのは杖か」



 弓、と……杖?え、武器?思ったよりマトモなんですけど!?


 混乱していると、クスクスとリーズベルハルト――ああもう長い!リズ兄ちゃんでいいか――が私の耳元で笑った。

 くすぐったくて身を捩るが、ギュッと抱き締められ余計密着した。まるで内緒話をするように、耳に唇が触れ小声で真相が告げられた。吐息が当たってピクンと体が跳ねる。



「実はね、父上は五歳になると必ず武器を贈るんだ。五歳になったら護身のためにある程度の武術を習い始めるからね」


「ン…、っと……リズ兄ちゃん達も?」


「ああ、そうだよ。ふふ、ツェリ達には内緒ね?驚かせたいから」



 なるほど、だから小声なのか、と納得しコクコク頷いた。さっきからゾワゾワするから耳元で囁くの止めてくださいいいい…!

 何とか解放され、頭に顎を乗せられた体勢に戻ったところでアリシアをチラ見した。どうやら同様に教えられたらしく、目をキラキラさせている。アリシア、驚かせるのとか大好きだからなあ…。

 改めて、プレゼントの弓を見る。つるりとした表面は滑らかで、とても美しく光を受けて七色に艶めいている。凄く軽いし、洋弓っぽいが、弦も引きやすい。弓とかリアルでは全くだったが、CWOでは主要武器メインウェポンだった。

 ……弓とか割と才能で左右されるだろうし、私は扱えると言った覚えがないから……まさか。



「しぃ……」


「うふっ、お父様にみぃはどんな戦闘スタイルか聞かれたから、超遠距離からの広範囲惨滅、絨毯攻撃による一方的な蹂躙よ、って答えといたわ。主な武器は弓ってね」


「にゃあああああっ」



 なんつー説明をしてくれとんじゃおにょれはぁっ!間違っちゃいないけど!間違っちゃいないけど、ダメだろその説明!

 ほら見ろお前、皆すげー引いた目で見てんじゃん!何やってんだお前、みたいな目で見てんじゃん!――うああああっ、止めろそんな目で見るなあああああっ!


 顔を両手で覆い身悶えていると、リズ兄ちゃんによしよしと宥められた。うぅ、しぃのばかぁ…。



「……弓で一方的な蹂躙って……魔矢を使った戦法か?かなりの高コストだが…」



 フォード兄ちゃんがぽつりと呟いたそれに、アル兄ちゃん達も同意した様子だった。まや……魔法の矢で魔矢か。確かCWOにもあったな。

 弓を抱き締めリズ兄ちゃんにぐでー、と寄りかかりながら答えた。むっすりしてるのは気にすんな。



「……確かに弓はコスパ最悪だけど、私は生産メインで活動してたから。矢は全部自給自足だし、スキルのお陰で魔法染みた攻撃も出来たから」


「ああなるほど」


「因みに、魔矢ってどんなの?」


「様々な属性を宿せる矢の事だ。矢を炎の塊に変えたりして広い範囲攻撃出来る。ただ、やじりが魔石で矢は使い捨てだから、強力だが金が掛かる」


「あー……似たようなもんか」



 魔力を矢にする魔弓もあるらしいが、それはかなり貴重で超高価、魔力も多くなきゃ使えないんだとか。私、それメインだった……いや、まあいいか。

 そうそう、皆はスキルを魔法の一種だと思っている。独自に発展した魔法なら何でもありだと思っている節があり、詳しくは訊ねてこない。



「にしても……まさかレイってすげー強いの?」


「みぃは強いわよ。大規模討伐で1000人規模の討伐隊を編成した時は、討伐隊副隊長兼遠距離攻撃隊隊長として、もっとも活躍したし」


「はっ…!?」


「待て待て待てっ!それじゃまるで私が強いみたいじゃんか!誤解を生むような言い方すんなよう!」



 事実だけど!事実だけど、隊長とかは所詮肩書きで、ワンマンプレイが基本の私は指示とか一切しなかったしな!押し付けられただけの名ばかりの副隊長なの!


 目を剥いて驚き固まる皆にそう告げ、私はしぃを指差した。



「大体!あん時私に副隊長兼遠距離隊長押し付けたのしぃじゃん!討伐隊隊長に推薦されて自分は特攻隊長だーっ、とか言い張って勝手に突っ込むし……何でぶん殴ってドラゴンが空に打ち上がるのさ」


「突っ込んだ私のフォローはみぃしか出来ないと思って。大まかな指示は出して統率してくれたじゃない」


「あほうか。大まかにも程があるよあれは。突撃と攻撃と回り込め、くらいしか言ってなかったし」



 私はしぃと違って、魔法とスキルと武器による恩恵で強く見えるが、しぃの場合は身一つでドラゴンに格闘戦挑むじゃん。次元が違います。



「いや、どっちもどっちだと思うが」



 シル兄ちゃんの呟きに皆が頷いた。待て、マジで私は強くないんだって。勘違いしないでっ!?



「うぷぷ、みぃアンタ陰では敵に回せばまず助からないって恐れられてて、一番有名な二つ名は《理不尽の権化》じゃない。世界すら蹂躙する無敵の理不尽魔女。ルール無用ならまず負けないってね」


「それを言うなし。しぃだって対人戦では負けなしの《破壊神》とか《最強の戦乙女》とか言われてた癖に。国一つ拳で単独相手にして圧勝したしぃには言われたくないです」



 ……あれ、どっちもどっちじゃね?言いながら気付いたが、これ不毛な言い争いだよな。うん止めよ止めよ。

 取り敢えず、固まってドン引きしてる皆を正気に戻そうか……。




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