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色付く世界  作者: 色輝
25/42

024 パーティーと私

主人公がはっちゃける回。主人公スゲーな話になりそう……かもしれない?


 普段は私達の遊び場になってる大広間は、パーティー会場に変貌していた。

 至る所に美しい花々が飾られ、白いテーブルクロスが掛かった丸テーブルには中央に花を挿した花瓶、そして銀の皿に盛られた料理がたくさん並び、落ち着いて食べれるようソファーとテーブルも端に設置してある。

 その大広間の前のステージっぽい所に、今日の主役であるアリシアと私は豪華な椅子に座りニコニコしていた。


 大広間は広いが、これだけ人がいるとちょっと狭く感じる。大人組はニヤニヤしている気がするが無視。誕生日席で恥ずかしがって悪いか!



「ふふ、レイハナにアリシア。五歳の誕生日おめでとう!」


「ありがとーう」

「ありがとーなの!」



 やんややんやと、どう考えても居酒屋のノリである。私は苦笑を堪えながら、アリシアは満面の笑みでお礼を言った。そこかしこからおめでとう、と言う声が掛かる。嬉しいが、これだけ盛大だと恥ずかしいっす。


 それから、皆でお酒やジュースを手に取り、私とアリシアの音頭で乾杯。大好きなリンゴジュースにほっこりした。ウマー。



「よっし、んじゃ早速プレゼントだな!」


「えー、叔父様〜料理冷めちゃうし手が空いた時で良いですよー」


「バカヤロウ!料理に夢中になって忘れちまうだろ!」


「忘れないでっ!?」



 コントみたいな私と王様……叔父様のやり取りに笑いが起きた。意外と叔父様とはウマが合い、今では軽口を叩く仲だ。

 結局、プレゼントタイムになるらしい。


 まずは家族が、綺麗にラッピングされた箱や袋を渡してくれた。



「おめでとう二人とも。僕からは新しい服と靴のセットだよ」


「ありがと父!」


「ととさまありがとーなの!」



 包みはパーティー後に開けるのだが、父は意外と乙女な服を選ぶのでちょっと楽しみ。どうせ将来も男っぽくなるなら、まだ小さいうちに可愛い服着てみたいじゃん。



「母様からは、ぬいぐるみよ〜。レイちゃんがバルスチアゴゴトフで、アーちゃんがヤグミジエンビよ」


「あ、ありがとう母」


「ありがとなのかかさま!」



 相変わらず凄い名前だよな。姿の想像が付かない。確か、バルスチアゴゴトフがウサギと猫を足したような二股の尻尾のピンクの生き物で、ヤグミジエンビが日本でも売ってたデフォルメされた羽のある二等身の緑の恐竜みたいなの。どっちも可愛らしい。



「私達からは、写真立てだ。中には家族写真が入っているよ」


「色はねぇ、ボク達で塗ったんだよぅ」


「あいっ!」


「わっ、ありがと!アイ姉、レオ兄、レイア!」


「ねねさま、ににさま、レイア、ありがとーなの!」



 姉弟からは、三人の共同作品が贈られた。部屋に飾ろっと!


 ニコニコ笑いながら、次はいきなり問題の叔父様。この人が期待してろって言ってたから、凄く不安です。だって叔父様だし。

 空間魔法で仕舞っていたらしいプレゼント二つを出し、それぞれ渡してくれた。結構大きく、木箱に入っているらしい。



「叔父様、これ何?」


「ん?それは見てからのお楽しみだ。まあ、後で開けてみな」


「はいなの!ありがとーなの、おじさま!」


「うん、ありがと叔父様」



 中身が何だか怖いが、嬉しいのには変わりないので素直にお礼を言った。 その後のたくさんの王妃様、つまり叔母様達からはアクセサリーやドレスが贈られ、従兄弟達からも小物やぬいぐるみ等が贈られた。

 そして、しぃにはこんな物が。



「ぶーーッ!?こっ、ここここれっ!!?」


「おほほほほっ、嬉しかろう!崇め奉ればいいわよ!」


「ハハーッ!!」



 アリシアには花の形のカットストーンがペンダントトップのネックレス、そして私には、半ば手に入らないと諦めていたとある素材が。

 ドヤ顔でない胸を張るしぃに、場所を弁えず土下座するくらいには、嬉しかった。



「レイ!?ツェリちゃん、一体何を贈ったんだい?」


「うふふ、レイが諦めかけてた物ですわ。伯父様達にはその価値が分からないかもしれませんわよ」



 にぃっこりと問い掛ける父に笑ったしぃ。うん、確かにこれ(・・)の価値なんて生産に携わる者にしか分からないだろうね〜。もしかしたら私だけの可能性もあるけどね。

 袋の中には、ぎっしりと色とりどりの鉱石が入っている。宝石の原石でもなければ、既存の金属でもない。私の固有スキルだけが加工を可能にする超特殊鉱石だ。それまではCWOでもただの意味のない、超レアドロップのゴミアイテムだと思われていた。



「やったやった!しぃありがと!」


「ふふん、私の誕生日プレゼント期待してるわよ」


「任せろ!」



 ニカッと笑い、腕をぶつけ合った。男みたいなノリだが、これが私達だ。

 皆疑問符を飛ばしていたが、説明がめんど……ややこしいのでスルーさせて貰う。リーリアちゃん一家にもプレゼントを貰った。伯父様一家もだが、皆お金持ちだから結構高価な魔法具を普通にプレゼントしてくれる。凄いな〜。

 リーリアちゃんからは花束で、凄く嬉しかった。手作りらしく、ちょっと恥ずかしそうだったが笑顔で受け取るとリーリアちゃんは真っ赤になった。高価な物も良いが、心の籠もったプレゼントは一番嬉しい。


 椅子の後ろには大量のプレゼントの山。小さい子からはキスを貰ったりして、楽しい。プレゼントを用意した姉弟やしぃが特別なだけで、普通は子供は用意しません。てか出来ません。何あげればいいかなんて分からないし、お金もないからね。…しぃは特別なんだよ。


 そして最後は、アリシアとのプレゼント交換。アリシアからは、なんとリボンを貰った。いつもアリシアが着けてるお気に入りのピンクのレース編みのリボンと色違いの、真っ赤な薔薇色。去年は花冠をくれて、今は押し花にして保存してある。

 不格好で、お世辞にも綺麗とは言い難いそれは、どう見ても売り物ではなく……手作りだった。



「あのね、かかさまに教えて貰って、アリシアが作ったの!あんまり上手に出来なかったけど……」


「…………」


「……レイ?―っきゃ!」



 無言で見ている私に不安になったのか、眉を八の字にし顔を覗き込んできたアリシアを、ぎゅーっと抱き締めた。

 嬉しい嬉しい嬉しいっ!アリシアが私の為に頑張って作ってくれたんだから!



「ありがとうアリシア!一生大事にするよ!宝物にするから!」


「レイ…!嬉しい?喜んでくれた?」


「当然だよ!えへへ、今の私はきっと世界一幸せだ」



 満面の笑みでそう言えば、アリシアもパァッと笑いぎゅーっと抱き合った。早速着けて良いかな?ああでも母が折角髪結ってくれたし崩すのもな。特別な日用にして貰おうかな。

 ほのぼのした私達を微笑ましそうに見守っていた父達。両親が私達の頭を撫で、私達は離れた。



「じゃあ、次はレイだね」


「うん……」


「どうしたの?もしかしてまだ完成してないのかしら?」



 両親は私がプレゼントを作成していたのを知っている。だから躊躇う私にそう聞いたのだが、そうじゃない。



「いや、その……後で部屋で渡そうかなって思ってさ。私が作ったの、おもちゃなんだ」



 だから出すのが恥ずかしいと、言外にそう告げたつもりだが、周りの興味の籠もった目に負けて出す事になった。特にアリシアの期待に籠もったキラキラの眼差しと、叔父様の興味津々な眼差しに負けました。

 くっ、先に私が出せばよかった。アリシア達のプレゼントに勝る物なんてないわ!



「じゃあ……フローラ」


<はい、マスター>



 基本、他に人がいると無口なフローラに声を掛け出して貰った。うぅ、恥ずかしい……いや、品物がと言うより、これを選んだ理由が、暫くのプレゼントはこれに付属した奴に出来そうとか打算的な考えをした自分が一番恥ずかしい。穴があったら埋まりたいくらいだ。


 父の胸辺りまである大きな箱にざわめいた。確かにおもちゃにしてはデカいよな〜。でも個人的な趣味で、こういうのは大きいほど良いと思う。



「ふわぁ……レイ、これ何?」


「説明が大変だから後にしようと思ったんだよね。まあ開けてみ?」


 ポカンと口を開いて見上げるアリシアマジ可愛い。

 父に抱っこされリボンを解いたアリシア。木箱はコントであるような、開けると勝手に側面も開く奴だ。

 現れたのは、レンガ造りの可愛い豪邸。庭付きで、赤い屋根とチョコレート色の煙突が特徴的。バルコニーは白で、細かいデザインが一々凝っている。うむ、力作である。



「って、まさかドールハウス?」


「いえーっす!しぃたん正解ー!」



 唯一これが何か分かるしぃが呟いた。にゃはは、まあこっちにゃないからね。ドールハウスなんて。

 ドールハウス?と首を傾げる皆に分かるように、家を開いた。縦に割れて中の様子が見え、皆驚きの声を上げた。中までかなり細かく作り込んだからなぁ。熱しやすく冷めやすい癖に、妙に凝り性なんだよね。

 ドールハウスは皆に見易いような向きにフローラが出してくれたらしく、皆近寄って見ている。中には、簡素な服を着た木製のデッサン人形っぽいのが三つ椅子に座っている。

 私は人形を手に取り、アリシアに渡した。



「この人形だけど、見た目は自分の好きなようにカスタマイズ出来るから。魔力を込めて人形の鼻を押しながら、好きな形を思い浮かべて。例えば……」


<マスターが作った此方の人形を参考にしてください>



 フローラはそう言って、私が作成中試した人形を出した。ふわふわの金髪のフランス人形、大和撫子人形、ウィーン合唱団にいそうな金髪美少年人形、可愛い二足歩行のテディベア。一応服も着せてある。


「すごーい!かわいーの!」


「でしょ?さ、やってみ」


「うん!」



 因みに、アリシアは天才である。まだ教えて貰ってない魔力操作を、私が体内の不思議エネルギーを操作するんだよ、とか言ったら出来ちゃうくらい天才である。

 なので、アリシアは簡単に人形の姿を変えた。想像は自動で良い感じに補完されるし、やり直しも利くので好きにさせる。


 ……で、何で私?



「……アリシア?」


「えへへっ、レイのお人形なのー!」


「うわー、瓜二つだなぁ」



 腰まである白い髪に白い肌、漆黒と色んな色に煌めくオッドアイ。因みに、身内だけの今なら兎も角、外では眼帯着けて虹眼は隠してる。

 一応、クローゼットには大量の服がある。人形の性別や年齢に合わせ、入れた服から選び出されたのが出て……あ。



「忘れてた!アリシア、ここの穴に人差し指入れて魔力流して自分の名前言って」


「ふぇ?うん、分かったの!」



 これ忘れたらダメだろ私。




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