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色付く世界  作者: 色輝
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022 準備完了な私


 精霊眼と言う新たな厨二能力が覚醒(笑)しちゃった私。全て忘れようと泥のように眠り、起きてやっぱり視える精霊に遠い目になったのは、仕方ないと思う。


 まああまりぶつかったりしないようにしてくれてるお陰で、目で追ったりはするモノのそれほど気にせずいられた。

 と言うか、気にする暇がない。朝っぱらから母達が私とアリシアに着せるドレスを嬉々として選んでいるからだ。



「こっちもいいわねぇ」


「レイは真っ白な髪だから、黒いドレスもいいかもしれませんね」


「アリシアはやっぱり若草色のドレスが良いと思うな」


「レイはブルー、アリシアはレッドが良いと思う〜」


「あい!」



 母、姉、父、兄、弟が好き勝手言っている。弟は私とアリシアと遊んでいるが。

 大量のドレスを手に言い合う家族を眺め、ふよふよ浮かんでる精霊の笑い声に首をブンブン振った。うむむ、害はないが鬱陶しいな。いや可愛いけどさ。



「父ー母ー、時間掛かるなら私パーティー料理作りに行くからね〜」


「アリシアも行くー!」


「あい!れーあも!」



 返事は待たず、二人と厨房に向かった。朝ご飯食べてすぐこれだからね、もう飽きた。

 朝ご飯とお昼ご飯はラグさんが作っていて(レシピは私提供)夕飯と時々お昼ご飯は私が作っている。ので、厨房はよく知っている。


 私が改造した厨房は、使い易く現代的だ。生活水準は高く技術力も前世並か一部それ以上だが、料理関連は微妙だ。まあ、食材がとても美味なのであまり調理法が生まれなかったのかもしれない……と、思いたい。



「さて、アリシア隊員!レイア隊員!これより我等はご馳走を作る!」


「はいっ、たいちょー!」


「あいっ、たいにょー!」



 ビシッと敬礼して満面の笑みでノった二人はマジ天使。超かわゆい。

 鼻の下伸ばしてデレデレしつつ、レシピ一覧を出した。

 誕生日は身内だけでやるのがうちの方針だ。王様にはパーティーやれってせっつかれてるみたいだけどね。王様達を招待したら収まったらしいけど。結局は騒ぎたいだけらしい。


 なので、沢山作らないと足りない。うちが七人にラグさんとギン爺ちゃん(因みに、ラグさんはエルフの執事でギン爺ちゃんはドワーフの庭師)の九人。王様一家が、23人だっけ?で、リーリアちゃん一家が四人。計36人……修羅場だぜ。


 厨房は戦場だ!修羅場だ!焼き肉定食だ!

 ……いや、焼き肉は王様のリクエストなんだよね。あの人は私の料理目当てだから。まあプレゼントには期待しとけ!とドヤ顔してたから、まあいいかなとリクエストを承った。

 王様だけじゃないけどね。家族のもだし、特にアリシアの好きな物は全部作る予定だ。あ、ならアリシアの前では作らない方がいいかな?後でのお楽しみって事で。


「レイア隊員!アリシア隊員とお外で遊ぶと言う重要な任務を下す!」


「う?」


「えー!アリシアもお手伝いするのー!」



 任務とか言ってもレイアには分からなかったようだ。そりゃそうか、まだ二歳だもんな。

 アリシアが駄々をこねるので、レイアではなくアリシアに言う事にした。



「アリシア、ここじゃ包丁とか火とか使って危ないから、レイアがここに来ないように見張っててくれる?」


「え〜……」


「お願いっ!とっても大切な事だから、アリシアにお願いしたいなぁ〜」



 ぱち、と手を合わせて拝むようにお願いすると、アリシアがパッと顔を輝かせた。



「分かったの!アリシア、レイアといるの!」


「おおっ!じゃあお外でいっぱい遊んで、お腹を目一杯空かせてきな。出来るかにゃ?」


「うんっ!レイア行こ!」


「あい!あしょぶ!」



 手を繋いで出て行く二人を見送り、私は腕捲りをした。よっし、やるかぁー。 材料は空間圧縮の魔法が掛かった冷蔵庫にたっぷり入ってる。立食パーティーだから、出来るだけ片手で簡単に食べれる方がいいね。まあ、座れるようにもなってるから、そこまで拘らなくてもいいけど。

 格式張ったものじゃないし礼儀作法を気にしなくていいから、見た目より美味しさ優先だな。この世界じゃ、料理に芸術性はあまり求めてないみたいだけどさ。



「じゃあやりますか。ディーダさん、ハリスさん、マリアナさん、よろしくお願いします」


「此方こそ、ご指導のほどよろしくお願いします」

「お手伝いさせていただきます」

「よろしくお願いします、師匠!」



 金髪ゴリマッチョな竜人のディーダさん、長身緑髪のエルフのハリスさん、くるくる金髪の小柄な羊人のマリアナさんに声を掛けた。ずっといましたよ?

 彼等は王様が手伝いにって寄越したお城の料理人達だ。最初こそ、ちびっ子の私のレシピなんて、と嘲笑っていたが、今は認めてくれて和解している。マリアナさんに至っては師匠呼ばわりである。



「さて、じゃあディーダさんはローストビーフの準備を、ハリスさんはご飯を炊いて、マリアナさんはからあげ作るのでお肉切っといてください」


「了解!」



 ハモった三人に頷き、私は肉じゃがと角煮を作る。まずは肉料理から。


 私は、スキルと称号によりとんでもない料理の腕を持っている。最初は練習が必要だったけどね。

 前世より遥かに美味しく作れるが、自分の癖はあって……急激に料理上手になった感じだ。あまりにもご都合主義で自分でもちょっと引いた。


 からあげのタレも作ってマリアナさんに任し、ふわふわ浮きながら肉を切り野菜を切っていく。からあげはアリシアの好みの味にする予定なので私がタレを作った。



「レイ様、今日は何を作るんです?」


「今日?えっと、予定はローストビーフ、からあげ、肉じゃが、角煮、ハンバーグ、フライドチキン、温野菜、バーニャカウダ、フライドポテト、冷やしトマト、エビフライ、トンカツ、野菜炒め、エビチリ、手鞠寿司、カナッペ、各種パスタ……あとは作りながら決めるつもりでーす」



 肉料理がメインだが、まあ仕方ない。リクエストの結果だもん。意外と皆肉食だぜ?

 生魚には、最初は抵抗があったみたいだが、一度食べれば平気になったようだ。寧ろ好物らしい。生食は海の魚だけって言ったのに川魚持ってきて刺身!と言われた時には驚いた。 お米はしぃがどこからか見つけてきたが、日本米のようにモチモチしていて、慣れ親しんだ味に感激した。パンが主流に変わりないが、うちは最近お米派とパン派で論争が繰り広げられている。


 スキルで醤油や味噌を作り、調理時間を短縮し、続々と料理が出来上がり、またもやスキルを活用し出来立てのまま保存。マジでスキル様々だ。

 着々と出来上がり、デザートも完璧。最後に、誕生日に欠かせないアレを作り、昼間っからのパーティーの準備は大体整った。

 あとは、着替えてお客さん迎えて、始めるだけだ!


 この後、着せ替え人形にされるとは知るはずもなかった私は、出来上がった料理の数々に満足げに鼻を鳴らした。




グダグダ誕生会が数話続きます。

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