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色付く世界  作者: 色輝
19/42

018 成長した私

お色気(笑)の回。ちょっと成長した主人公の説明回です。


 あの色々大変だった事件から約二年半。来月に五歳の誕生日を控えているレイハナさんです。今日も元気に引き籠もってたよ!



 最近の私は、スキルの確認と称して色々素材を持ち込んではシコシコ生産活動に勤しんでいる。

 ほら、私って元々生産職だし、リアルでは人と関わりたくないが為にイラストレーター――基、萌え絵師になったのだから。当時はVRMMORPGの普及に伴い、萌え絵師の需要も何故か鰻登りだった。お陰で、一人超質素なら食いつなぐくらいは出来るくらい仕事はあった。


 まあ、漸くこの作業を許されたのは、私の種族が発覚したってのもある。身体能力が大幅に上がるので、体力がいる生産にも手を出せるようになった。

 種族が発覚したのは半年前。アリシアの二ヶ月後に分かった。




 ***


 その日、私は朝から背中がムズムズしていた。痒い訳でもなく、ただ何かがもぞもぞしてるような感覚。気持ち悪いから、壁に背中を押し当て掻いていた。我ながら猫みたいだな…。

 それが功を奏したのか何なのか、背中のムズムズは消えた。……真っ黒い翼が生える事によって。


 私は咄嗟に、それが種族が目覚めたからだと分かり、自分は吸血鬼なのだと思った。アリシアが先に淫魔だと発覚し、歯痒い思いをしていたのだ。

 服を押し上げているので、ワンピースだった私はパンツ丸出しで飛び跳ねて喜んだ。そのまま父の執務室に駆け込み、生温かい目で見られた時は穴があったら入りたくなった。


 翼が生えたと言ったら、父はパッと喜びの笑みを浮かべ、見せてくれと言った。当然見せるためにワンピースを脱ごうとしたが、翼が引っ掛かって四苦八苦し、結局父の膝の上で脱がせて貰った。羞恥心?そんなもんありません。

 私は見えないが、恐らく小さな蝙蝠みたいな羽があるのだろう。不思議と手足と同じように自由に動かせるそれをパタパタさせ、父の反応を待った。

 でも、思った反応とは違った。



「…これは……」


「う?父、どしたの?」



 驚愕したような声を上げる父に、首を傾げた。予想では、同じ吸血鬼だね、と笑いかけてくれるはずだったのに。


 ちょっと不安になってると、父が私の翼を撫でた。その気持ち良さに、うっとりした。



「ふにゅう……」


「ん?気持ち良いのかい?レイ」


「ん……気持ちぃよぅ……ふぁ、んっ」



 まるでマッサージとかエステをされてる気分だ。性的な快楽、もあるが、相手が父だからか嫌悪感はない。寧ろもっともっと撫でて〜って感じだ。

 目を閉じそれを堪能していると、扉がノックされ母の声が聞こえた。父がどうぞ、と入室を許可すると、母が入ってきて私と目が合うと、中途半端な体勢で止まった。

 何だ?と思ったが、今の状況を見ると当然だった。今の私は、翼を見せるためにパンツ一丁で、父の膝の上に座り立派な机の上に手と顔を乗せてるのだ。快感で上気した顔を。

 いくら、快感がマッサージとかの快感が強いとは言え、端から見たら確実にアレな光景だろう。父も気付いたのか、翼を撫でる手が止まり母に説明しだした。いや、そんな慌てたら逆に怪しいよ。


 ジト目な母は、ツカツカ近寄り私を抱き上げた。



「もう、こんな所で服を脱がせるなんてデリカシーのない父様ねぇ〜?」


「にゃ?」



 いや、私が自ら脱ぎだしたのだが……今の母には何も言えん。すまぬ、父よ。今の母マジ怖いから!


 惚けたふりをしていると、母も私の翼に触った。あっ、気持ち良い……母ぁ、もっとぉ〜。

 猫のようにゴロゴロと母に懐いていると、母が面白そうにクスクスと笑った。



「これ、気持ち良いのね」


「ん〜……はにゃ、ひゃうっ!?やっ、ぁ…!」


「根本は敏感なのね。あ、性的な気持ちで触るとそういう風に感じるみたいだわ」



 いやいやっ、あーた人の翼で遊ばないでくれませんかねっ!?ちょっそんなグリグリされたら、あっやっアーーーッ!

 ……うう、母、酷しゅぎるぅぅ……っ!


 母の好奇心に息も絶え絶えになった私は、いつの間にか談話室にいた。姉弟達も勢揃いで、私はいつの間にか背中がパックリ開いた服を着ていた。…どんだけ呆然としていたんだ、私。 どうしたんだ、と思っていたら、アリシア達が私の背中を見て目を丸くし首を傾げていた。



「あれ?レイの羽、おとさま達と違うー」


「真っ黒だけど、フリードお祖父様のにそっくりだな」


「ふわふわぁ」


「ふわふわー!」



 アリシア、アイ姉、レオ兄、レイアが話す。神人のフリードお祖父様の翼は、純白の天使の翼だぞ?それの真っ黒って……堕天使的な?ちゅ、厨二臭い…。

 え、て言うかそれマジ?だってさ、父達の羽とは全く違うよ?…おかしくないか?



「ふぅ……多分ね、レイちゃんは多種持ちなのよ」


「それも、珍しい三種以上持ちのね」


「た、たしゅもち?」



 たしゅもち……多種持ち?話の流れからして、複数の種族の特性を持ってるって事かな?確か、両親のどちらかの種族になるんだよね、普通は。あ、ただ稀に両方持ってる人もいるって聞いたけど。



「知っての通り、普通はアイちゃん達のように一種族だけになるはずなの。副種族として、もう片方の種族の特徴も少しだけ出るけど」


「多種持ちって言うのは、複数の種族がそれぞれ主種族並に表に出てるのを言う。恐らくレイは、最低でも吸血鬼と淫魔と神人の特性があるよ」



 マジでか……、ん?ちょっと待って、確かに翼の形や色で吸血鬼と神人の特徴が出てるのは理解出来るよ?でも、淫魔は何で?特徴出てる?

 えっと、アリシアが淫魔だと分かったのは、アリシアが無自覚で魅了の魔眼を発動させちゃったからだよな。魔眼か……。


 魔眼について考えると、それ(・・)が発動されたのが分かった。偶々目を合わせたレオ兄が、目をとろんとさせ普段じゃ考えられないくらい俊敏な動きで抱きついてきた。そして、キスをしてきたが……歯が当たって痛かった。

 慌てて母が引き剥がしてくれたが、歯が当たったからか唇が切れて血が出た。鉄の味に顔をしかめると、今度はアイ姉にキスされた。と言うより、血を舐められた。

 吸血鬼の唾液には、牙を突き立てた時痛みを感じないよう、催淫効果がある。だから痛みはないが、夢中になりすぎじゃないかな、アイ姉さんや。



「ほらほら、アイ落ち着いて」


「ぷぁっ!やぁ、もっと欲しい!レイの血、今までで一番美味しい…」


「へぇ…?」



 アイ姉を離してくれたのは嬉しいが、だからって父が引き継いで舐めるのは違うと思う。

 いや、別に家族だしキスするのは構わないよ?気を許した相手とはスキンシップしたい派だし。でも、ベロちゅーはいくら何でもダメじゃないかな?こっちでは普通なのか?まあ、口内の血を吸ってるんだろうし、父のキスは凄く美味くて(・・・・)気持ち良いからいいけど。


 うっとりと享受していると、父が口を離した。そして、母にやってみて、と言い母ともベロちゅー。父とは全然違うがとても美味しい(・・・・)。…確かに私は、淫魔でもあるようだ。



「ヤバいな……レイの血も唾液も唇も、そして体も……全てが超強力な中毒性を秘めているね。魔眼もかなり強力だ。こんなにも美味なモノは初めてだ」


「っはぁ……そうね、確かに。通常淫魔は異性の体液や精気が最も効率良く接種出来るし、何より同性より異性のモノの方が美味しいと感じる。……でも、レイの場合は同性であっても極上よ」



 息も絶え絶えな私は、頭上で真剣に交わされる会話をぼんやり聞いていた。嫉妬したアリシアにもキスされ、私はぐったりした。むぅ、今日はキスデーか。



 ――で、纏めると、私は現れる可能性が高い吸血鬼と淫魔と言う両親の種族、圧倒的に現れる可能性が低い先祖(と、言っていいのかな?うちの家系は、どうも祖父母から始まっていて、四神英雄の祖父母四人はいつの間にか(・・・・・・)世界に存在していたらしい。こんな重要な事をさらっと言われた)の神人と言う種族も出ていたからと、ハイエストエルフもないか調べ、耳が尖ってるのに気付いた。

 四神英雄それぞれの血が色濃く受け継がれた私は、言い方は悪いが利用価値は高い。それも、全てが中毒性の高い麻薬みたいな存在だから、魔眼使用も性的接触も流血も絶対にしないようにと口を酸っぱくして言われた。

 吸血鬼と言えば牙で血を飲むイメージがあり、実際にそれも出来るが……淫魔の血も色濃く出ているからか、催淫効果がハンパなく、耐性がないと色んな意味でヤバいので、牙で飲むのは禁止された。


 まあ、致命的な欠点が後々見付かり余計落ち込む事になるのだが、色々大変な自分の体質に辟易しつつ私も体を鍛える事に参加させて貰う事になった。

 ああ、淫魔があるだろうって思ったのは、出にくい祖父の種族が出ていたから、母の種族も出ているだろう、と思ったらしいよ。




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