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色付く世界  作者: 色輝
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016 目覚める私

いつの間にかお気に入り100件突破!ありがとうございます!!


 重たい瞼を持ち上げ、暫くボーッと天井を見上げる私。

 そして、ハッと我に返り体を確認した。怪我は大分治っている。ちょっとダルいが、軽い倦怠感程度で支障はない。



<おはようございます、マスター>



 そう声が聞こえ、ビクッと辺りを見回した。キョロキョロ見回し、それがあの指輪――フローラだと思い出し、左手を目の前に翳した。ぷくぷくした幼子の指に嵌る、不釣り合いな豪奢な指輪。



「……ふ、ぁっげほっ!」


<マスターは約一週間床に伏していました。無理に喋らず、枕元のベルを鳴らして下さい>


 フローラに言われ、水晶で出来てるような綺麗なハンドベルを鳴らした。リィン、と澄んだ音色が響いた。

 と言うか、言われるままにしちゃったけど、フローラって結局の所何?何故か、名前を初めから知ってたし……一緒に生まれたから?むぅ、分からん。

 フローラを見ていると、母を筆頭に家族全員雪崩れ込んできた。ビビった。

 目を見開いて固まっていると、アリシアが泣きながら飛び付いてきた。いっだああああっ!?



「うわあああああんっ!」


「ぐっ、はぁ…!」


「ちょっアーちゃんダメよ!まだレイちゃん怪我してるんだから」



 今のはマジでヤバかった。一瞬意識が遠退いたもん。母がアリシアを抱き上げてくれたから、なんとか解放された。た、助かった……。アリシアが心配してくれたのは分かってるし、嬉しいんだけどね。


 落ち着いた私は、父に水を飲ませて貰い、人心地着いた。父の膝の上に抱えられていたので、そのまま父に寄りかかった。……説明、しなきゃなぁ。


 アレを見てもこうして心配してくれている辺り、そこまで回避されていると言う訳ではないだろう。…転生者だと言って、自分の子じゃないって言われたら私死ぬよ。割とガチで。

 ……この優しい人達がそんな事言う訳がない、とは思ってるんだけど、やっぱりそういう不安は拭えない。


 私が葛藤してるのに気付いたのだろう。父が私を抱き締めて、にっこり微笑んだ。



「心配しなくても、レイが転生者で特殊な力を持ってる事はフローラに聞いたよ」



 心臓が止まるかと思った。呼吸は止まり、ガチッと体が固まった。 …………え?っえ、ちょ、どういう意味?いや、意味は分かるけど、何?え、フローラ言っちゃったの?

 ……ぇぇええええぇぇぇぇ…………。普通さ、こういう場合さ、自分で言うもんじゃねぇの?え、言っちゃったの?……何でぇっ!!?



<マスターは一週間寝込んでいましたので、その間に勝手ながら説明させて頂きました。理由としては、後の話し合いをスムーズに行かせるためと、肉体的に限界を迎え倒れたマスターが目覚めた際、情緒不安定になったりとお心を不用意に乱さないためと言ったモノが挙げられます。出過ぎた真似をしてしまい申し訳ありません>



 ……いや、いいけどさ…。つーか私、一週間も寝てたの!?寝過ぎだろ!

 皆曰く、私は手足の筋がぶち切れて内出血し、顔の穴からも出血して結構ヤバかったらしい。そりゃ、一週間も寝ちゃうか。因みに、自然治癒力を向上させる治癒魔法も、幼い内から使いすぎるのはいけないらしく、薬を使って少しずつ治してるから未だ怪我が残ってるらしい。

 でもさぁ、こういう大事な事は、ちゃんと自分の口で言わなきゃダメだと思うんだよね。先に謝られちゃったし、理由ももっともっちゃもっともだから頭ごなしに怒る事は出来ないけどさ。



「まあ、いーよ。うと、いちおう言うね。わたしは、ぜんせのきおく、があって、えと、ちょっと変わったちからがあるの。えっと、あの…」


「ふふ、大丈夫。不思議な力があろうと記憶があろうと、レイが僕達の愛する家族なのは変わらないから」


「そうよ。だからそんな不安そうな顔しないで?家族なのに変わりはないわ」



 優しく微笑み頭を撫でてくれた両親に、自然と口元が緩んだ。なんて言うか、凄くホッとした。やっぱり最高の自慢の家族だよ。


 ところで、フローラがどう説明したのか気になる。聞いてみると、フローラは自分の事をサポートで相棒と言ったようだ。うん、フローラについては、生物が呼吸方法を本能で知ってるように、しっかり分かってる。不思議とね。大体、名前を知ってる(・・・・・・・)ってのがおかしい。

 あの時の状態は、私が暴走した形になるそうだ。確かに、今思うと思考がおかしかった。普通に殺そうとしてたし…。

 覚醒とか解放とか、所謂チューニ状態になった私は、右目の色がフローラの花みたいな色になったらしい。色んな色や景色に移り変わる人とは思えない瞳。いや、今の私は魔族だが、魔族にもこんな瞳の色いないっしょ。

 フローラは自分がどこから生まれてどうして私といるかは、ブロックが掛かってて言えないらしい。――知らないのではなく、言えない(・・・・)。いずれ教えて貰える日が来るならば、その日まで待とう。

 今は、家族と話がしたいな。問題事は後回しにしてしまえ!



 ――ま、ぶっちゃけ私に害はないみたいだし、考えるのが面倒なだけなんだけどね。考えても分からないもんは分からん!




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