011 種族と私
再投稿です。
しぃと再会して、すでに数ヶ月が経った。念話で色々と話し、能力の差異が見付かったり、王妃様の一人に妊娠が発覚したり、と色々あった。それと、しぃの情報収集の才能はかなりのモノで、無駄に貴族のスキャンダルを知っちゃったと言っていた。何やってんだかね、彼奴。
さて、まあそれらについては追々明かすとして、今は母だ。母のお腹が、大きくなってきた!そしてアイリスの背中に羽が生えた!レオンの背中にも羽が生えた!父の背中に羽があった!
…うん、魔族だって改めて認識させられたよ。羽は羽でも、蝙蝠のような悪魔のような形で、真っ黒の奴だ。二人とも吸血鬼、らしい。父が言っていた。父も吸血鬼のようだ。
ええと、両親曰く、父は吸血鬼で母は淫魔らしく、魔族や妖精族(ぶっちゃけどっちも同じようなモノらしい。魔力と美形が多く皆長寿)は両親どちらかの種族になり、二種が混じり合う事はほぼないらしい。で、兄姉はどちらも吸血鬼で、私達は母に淫魔と期待されている。どうも淫魔として色々教えたいらしい。と言うか種族ってあれか、白人とか黒人とかみたいな扱いか。差別もなさそうだけど。
閑話休題。
魔族だと実感し、母のお腹も大きくなり、予定日を来月に控えた。最近は種族について聞いたり、姉兄の飛ぶ練習を見学したりして過ごしている。どうも、両親の種族が違う場合は三歳から五歳位になって初めてどんな種族か分かるらしい。だから最近いきなり羽が生えたようだ。個人差があるらしく、二人はほぼ同時期に羽が生えた。 つい先日二歳になったばかりの私とアリシアにはまだ関係無……くは無いが、それより母のお腹が気になる。耳を当てていると、偶にお腹を蹴ったりする音とかが聞こえて面白い。待ち遠しいな、早く生まれないかな〜。
最近はアリシアと一緒に母にベッタリで、出来るだけ迷惑を掛けないよう、歩き回るのは控えてる。まあ控えた程度だけど。
うちの使用人は、数が少ない。大きい屋敷なのにこれだけで足りるのかって心配になるくらいだ。十人もいないんじゃないかな?だから、見つからず自由に出来るのだが……だからこそ母も探し回る事も結構あるので、母が転んだら大変だもんね。世話してもらっててこう言うのもどうかと思うが、ぶっちゃけ一部を除き使用人達もあまり好きじゃないし…。
アリシアは転生者じゃないはずなのに、伝えればちゃんと理解してくれる。精神面の発達が著しい。まだまだ子供には変わりないけどさ、私も。
そろそろ生まれるだろう新しい兄弟に、発覚した種族としぃとの能力の差異。色々と楽しみがいっぱいだ。
私は、今の日常がお気に入りだ。平凡な人間だった私が、こんな非日常な日常を送ってるなんてちょっと不思議だけどね。ま、生活に関しては平凡とは言い難かったけどさ。ゲームの廃人プレイヤーだったしそれなりに色々あったし。
さて、種族に関して、ちょっと掘り下げておこうかな。兄姉が種族発覚から異常に身体能力上がったからね〜。
吸血鬼は、血でエネルギーを効率良く摂取出来るようだ。人だけでなく、動物の血でもよく、人一人が干からびるほど吸ったりはしないようだ。血もそれぞれ味が違うらしく、まだ小さいからダメって言われたが、大きくなったら提供して味の感想聞こうっと。気分は献血である。私、美味しそうって言われたしね。ああ、花の精気とかでもエネルギー摂取は可能らしい。 身体能力だが、膂力と敏捷が凄いらしい。五感も優れていて、夜は特に力を発揮するようだ。だからと言って太陽や十字架等がダメな訳でなく、昼間も動ける。下位の吸血鬼は昼間だと力が落ちるらしいけど。
淫魔は、当然えっちぃ事でエネルギーを摂取する。精気とか淫気って呼ばれてるらしく、異性からが特に効率良く摂取出来るようだ。抱き締めるだけとか、えっちぃ事を考えるだけでも淫気が発生するらしい。それに、漏れた感情とかも摂取対象らしい。感情を奪う訳ではないらしいので、幸せな人のおこぼれを貰うとか、そんな感じだと思う。負の感情は不味いらしい。
淫魔は、当然魅力が高い。ずば抜けて高く、防御力や魔防も高いらしい。後は、器用さとか?母が簡単に説明しただけなので詳しくは分からない。ああ、吸血鬼が飛べるように淫魔は魔眼とか持ってるらしいよ。所謂種族スキルだね。
ゲーム風に説明したのは、CWOでは種族はないが種族特性(スキルみたいに取得出来る。その種族の特性を得られる。例えば、吸血鬼なら吸血により回復したりとか)ってのがあり、それを思い出したからだ。ウィンドウに無いんだけどね。何故だ…。
二人は吸血鬼なので力が強くなったのだが、徐々に上がってるからか振り回されたりはしていない。ので、最近はレオンにも抱っこされるようになった。最初は痛かったけど、今は平気だ。
私達はどちらになるのだろうか。凄く楽しみだ。アリシアは可愛いし、淫魔かもな。えっちぃ事はさせたくないけども。…吸血鬼の方がいいかな?
自分は何になるのかワクワクしつつ、私はのほほんと日常を送っていた。
ああ、早く大きくなりたいな。