マッチの正体
「明日、クリスマスイヴだからイルミネーション見にいこーよ。」
ちゅるっとうどんを食べ終え、まったりしていると篠原さんに言われた。
おー、こんなかわいい娘とデート…っておい。
今日は27日じゃないのか!?
「もー、ゆーくんぼけちゃったの?明日は24日だよ。」
カレンダーを確認すると今日は2011年12月23日となっていた。
あの黄色マッチは黄リンマッチじゃなく時間を少し戻せるのか?
でも1本で4日ってキリ悪いような。
うーん…。
「ゆーくんっ! 悩みごと?」
「うん、なんつーか…。いや、なんでもない。」
篠原さんは心配そうにしていたので、なるだけいつも通り振る舞ってベッドに入った。
そう言えばあのちびっ子は何処に行ったのだろう。
…でだ。
「ゆーくん…。ぬへへ~。」
篠原さんは何故ここで寝ているのか。
いや、嬉しいよ?正直ね。
でも色々やばいでしょう。
あぁ。
よし悟りを開こう。
皆、平等なのだ。
そう、男も女も関係無く。
隣に誰が寝ていようと関係無い。
だったら、ちょっと位胸触っても大丈夫なんじゃ…。
あかんっ!あかんよ!!それは!
どうやら邪な考
この後結局寝たのはお天道様がおはようございますする時間だったという。
夜。
「えへへ、ゆーくんあったかーい。」
「ちょっ、くっつき過ぎっ…恥ずかしいから!」
一日デートの帰り道。
篠原さんに振り回されて、色々な所をまわって買い物やらなにやらをした。
女性はこんな時に限って体力凄いな、とか思ったり。
楽しかったがやっぱり頭の中の引っかかりが気になって仕方がなかった。
あのちびっ子とマッチ。
あのマッチでやっぱり気絶して、頭を打って記憶喪失したのだろうか。
「今日ずっと上の空だったけどつまんなかったかな?」
見ると寂しそうにしている篠原さんがいた。
もちろんそんな事はない。
全力で否定。
「…そう? ならよかったよ。」
あれ?俺また泣かすパターンか?
あたふたしてるのとしょんぼりコンビがしばらく歩いていたら。
居た。
マッチ売りのちびっ子。
無事だったのか。
いや、まだおじいさん見つからないとか。
「おにたん、おにたん。どうだった?たのしかった?」
デートの事か?
まさかずっとつけられてたのか?
「あ、その子…。」
篠原さん知ってるの!?
2人を見ていたら篠原さんは寂しそうにちびっ子にお辞儀した。
ちびっ子はコクンと頷いた。
「あのね、今日はねお別れ良いに来たの!」
お別れ?
「うん、おじいちゃんがお迎えに来たの。」
それは良かった。
これで1つつっかえが取れた。
後1つあのマッチはなんなんだ?
「私からのプレゼント!おにたん寂しそうだったから…。」
ん?どういう意味だ?
寂しそうだったからあのマッチくれたのか?
「あ、そろそろ行かなきゃ。バイバイおにたん。」
「あ、おーい。あのマッチはなんなんだー、ってもう行っちゃった。」
「ゆーくん…そろそろ時間だよ。」
え?
あぁぁぁぁ!!!
そういう意味かこんちきしょー!!!
目が覚めるとそこはいつもの自室で何かの燃え殻を片手に持ちながら床に倒れていた。
その日は泣き寝入りした。
窓の外には空を走る不思議な乗り物に乗った少女と髭を蓄えた老人が見えたと言う。