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あゞ無情(適当)  作者: ママキラーA
7/7

恐らく六話だろう


いつもと違ってジャージでは無いためあまり服を汚したくはな無いのか結城はゆっくりとジャングルの中を歩いていた。


(誰かさっさとやってくんねーかな?早めに帰りたいんだが…)


歩きだしてから数分は経過しているが結城の視界には鬼は入ってこない


普通ならリストバントの力で鬼が人間達をすぐに見つけるのだが結城の前には出てこない


なぜ姿を現さないのか?


考えられるのはだいたい二つ


一つは、鬼が別の近くにいる人間の所へ行った


二つ目は、誰かがすでに鬼と戦闘している



(…すでに他の人間が鬼と戦闘しているほうが楽なんだけどな~)


言うまでも無いかも知れないがリストバントはあくまで鬼を引き寄せるだけであって引っ張って来るものでは無い。鬼だって何匹もいるわけではないので(時と場合とランクによる)目の前に人間がいた場合その人間を喰おうとする。ランクの低い単体もしくは小数の鬼はわざわざ遠いところにいる餌を取りにいくより目の前の餌を狙うということだ。


(それならそれで早めに狩って欲しいもんだ…

さっさと家に帰りたい…)


結城は草木をわけ歩き続ける。他人任せにしたいものだがこれは勝負では無い。自分の生死をわける殺し合いである。必ず一対一で戦わなければならないことも無いので鬼と戦っている人物に会えば加勢するつもりで歩いていた




(…それに、鬼を狩ったら早く帰れるし)


そんなことを思いながら結城が歩き続けているとそんなに遠く無い場所からメキメキと木が倒れるような音が聞こえてきた。


(そっちか!?)


音の聞こえた方向に結城が走っていくと、そこには、パッと見た感じハエのような体で体中から毒々しい体液を流す全長150㎝ほどの鬼がいた。そしてその鬼が視界にとらえている人間は、先程結城に映画の券を渡してくれたメガネの女の子だった。メガネの女の子は上手く木々に隠れながらハエから逃げ、時々ハエの動きを観察していた。


(現代でリストバントをつけていたと言うことはこの世界に最低でも一回以上はこの世界に来たことがあるということ…

それにちゃんと木々に隠れながら敵の観察をしていることから生きる術を身に付けてるだろうな…

少し様子を見よう)


結城は鬼の視界に入らないギリギリの所で木に隠れながらハエとメガネの女の子の様子を見ることにした。結城が割り込み鬼を瞬殺することは勿論可能であるが結城はそれをしない。何故か?それはあのメガネの女の子に経験を積んでほしいからだ。この世界で生きていくには勿論生きる術を学ばなければならない。だが生きる術を人に教えてもらうことは簡単だ。ただ学び訓練をすればいいだけの話だ。でもそこには生きるか死ぬかという文字は存在しない、あるのはどれだけ行っても勝つか負けるかである。それだけでは人は成長しない。ある一定のラインまでは成長するがそれ以上は勝負などではそのラインは越えられない。生きるか死ぬかという実戦の中で生きたいという意思を持つものだけがラインを飛び越え成長しこの世界で生きていくことができるのだ。だからこそ結城は手を出さずに見守ることにする



「やぁぁああ!!」


木の側から女の子は出てくるとポケットから銃を取り出しその銃口をハエに向けた。女の子が引き金を引くと銃口から目には見えない何かが飛び出しハエに直撃する。


「ブフォォオオオ!!」


メガネの女の子は両手で銃を持ちひたすらハエに向け撃ち続けるが、当のハエは効いていないのか防御も避けようともせずゆっくり獲物の女の子に近づいていく


「くっ!!」


どうすればいいのかわからないのか女の子は徐々に近付いてくるハエに対して撃ち続けている


ハエは自分の手の届く範囲まで近づくと、その毒々しい体液を体からメガネの女の子に向かって噴射した




「!?」


修業や訓練をしていたのだろう。何か身の危険を感じた女の子は体液から逃れるため咄嗟に横に跳んだ


ジューーー


ハエの体液が地面に落ちる。さっきまで女の子がいた場所はおよそ10㎝は溶けていた

それを見た女の子は目を見開き、すぐにハエから逃げようと木から木へ上手く身を隠す


「ブフォォオオオホホホ!!!」


ハエは獲物が逃げないようにと自分を中心に半径20メートルほどの距離に体液を周囲に噴射した。その体液が触れた木や土、草など全てボロボロに溶けていく

女の子は辛うじてその体液に当たっていなかったのか半分ほど溶けた木の後ろで外傷も無く立っていた


「えっ?えっ?」


何が起こったのかが理解出来無いのだろう。いきなり周りの植物や土が溶けたのだから……

しかし女の子はハエから垂れている体液を見て何が起こったのかをすぐに気付きこれからどうすればいいのかを瞬時に判断しようとした時、まるでそんな隙を与えないとでも言うように再びハエから体液が放出された。今度の体液は先程とは違い獲物を確実に仕止めたいのか見るからに量が増えていた。

その毒々しい体液が降り注ぐのはおよそ半径40メートルはくだらないだろう。


(ここまで体液を飛ばしてくるとは……

俺には意味は無いがあの女の子はヤバいかも知れん

……仕方ない)


ハエをぎりぎり見えるか見えないかと言う場所の木に隠れている結城はそのハエの攻撃を見て少し動きだした

まず自分の周囲に手をかざす。

その後、女の子がいる場所に目を向け両手の親指と人差し指を繋げわっかを作ると女の子に向ける。それからとくに何かするわけでも無く指を離しそのまま結城は突っ立っている

そしてその後その突っ立っている結城に向かってぼとぼととハエの体液が結城を溶かそうと降り注ぐが体液は結城に触れられなかった。大量の体液は結城のすぐ近くまで来るとまるで空気の壁があるように結城を避け体液は地面に落ちていく


そして一方女の子のほうでも同じ現象が起きていた。女の子の近くに体液が来ると体液は女の子を避けて地面にに落ちていく。女の子はどうなってるの?とでも言うように戸惑っていた

だがそれは自分にとっては勝機、有利だと気付くとポケットから二個目の銃を取りだし二丁の拳銃で何かをハエの腹部に向かって連射する。


「ブフオォブブブ」


先程よりは効いているのかハエは多少仰け反る。そしてメガネの女の子は休む暇を与えず更に撃ち続けた結果、




「ブフオォォォォ」


ハエの腹部に小さくヒビが入る。それを視認した女の子は更に腹部に向かって撃ち続けた


「オオオオォォオオォ!!」


だがハエもそのまま撃たれ続けているだけでは無い。ハエは再び周囲に体液を撒き散らす

が、女の子には当たらず女の子に当たりそうになる体液は全部女の子を避けて地面に落ちていく


「これで…

終わり!!」


女の子は一呼吸置き二丁の拳銃からレーザーのような物ハエの腹部に放った

そのレーザーはハエの腹部を貫通してから姿が消えた


「ギギギギ…」


ハエは地面に倒れしばらくは手足が動いていたが徐々に動かなくなると完全に絶命したのかハエの体が砂になって崩れていった


「ハァ…ハァ…

私一人で…」


女の子はほっとしたのか地面にペタリと座り込んだ



(やっと帰れる…

って、ハァ~)


結城は帰れると思った矢先、ふと自分のリストバンドを見て溜め息をついた

結城の視線の先には、先程まで黄色だったリストバンドが黄緑色に変化していた


それに気づいてから数秒後、近くからブゥゥ~ンと羽音が聞こえてきた


(エェ~

マジか…)


音の先、それはハエの砂の中からだった






「えっ?」


もぞもぞと動く砂をじっと見つめる。両手に持っている拳銃を再び強く握り締めその砂に向かって撃とうとした時


ブゥゥゥゥゥウウウゥゥゥゥゥゥウウウンンン


先程のとは比べると小さく普通のハエとは変わり無いサイズであるが数百はくだらないほどのハエが砂の中から出てきた


「い、い…やぁぁあ!!」


女の子はハエに向かって二丁の拳銃を乱射する。

ハエが何百もいるおかげで二発に一発はどこに撃ってもハエに当たるが数が多すぎるせいでハエはいっこうに減る気配が無い。


ブゥゥゥゥゥンン


自分達の餌であり敵でもある女の子に目をつけるといっせいに何百ものハエが女の子に向かって物凄いスピードで飛んでいく


「いや、いやぁぁあああ!!!」


女の子は拳銃を手から離し自分の体に手を当てるとこれから起こるであろう出来事を想像しながらうずくまった




「これが限界か…」



声が聞こえると同時に突如ハエが半分以上消し飛んだ


女の子は人の声が聴こえた方を見る


「よくやったほうだな」


「し、師匠!!」


女の子の視線の先には煙草を吸いながら手には拳銃を持ち短髪の20代前半であろう女性が木の後ろからゆっくりと歩いてきた




「待ってな。すぐ終わらせるから」


「はい!」


短髪の女性は拳銃を構えると引き金を引いた

すると、女の子が放ったレーザーのような物とは比べ物にならない大きさのレーザーのような物が銃口から放たれた。


残りの半分のハエは逃げる暇も無く消滅した



「ありがとうございます。師匠!」


「んー?気にすんな

大変だったなお前も」


「はい…。

ハエがトラウマになりそうです…」


「アッハッハ!!

まぁ、あんなでかいハエと大群のハエを見たらね」


「そうそう、でかいハエと大群のハエを…

って、師匠

もしかして最初からいました?」


「おう。勿論

お前の後ろをずっとつけてたからな」


「師匠…

ならもっと早く助けて下さいよ

危うく死にそうだったんですから……」


「いや~、実戦が一番経験積めるしな


それに死ぬはずが無いし」


「えっ?何でですか?」


「気付か無いのも無理無いかもな。私でもギリギリ見えるぐらいだし」


「何がですか?」




「簡単に言えば結界かな?」


「結界?」


「そっ。恐らく黄色程度の鬼が何匹集まっても壊せないほどの強度の結界」


「なんで私にそんなものが…」


「誰かがつけてくれたんだろ?心当たりは無いのか?」


「…少しも無いです」


「そりゃ残念。これぐらいの結界を作れる奴を一目見たかったんだけどなー


ま、でもいつか会うでしょ」


「そうでしょうね」




女の子達が話し合ってる頃結城は…


(凄いな~

あの女の人、一瞬だったな


ん?ってか俺何でこんなにこそこそしてるんだっけ?


まぁ、どうでもいいや

帰ろう…)


数秒後、結城の視界が一瞬暗くなる




「あー、しんど

俺、何もしてないけどな」


結城の視界はジャングルからトイレの個室に変わっていた


時刻は14時40分


「中途半端な時間…

めんどくさー

漫画適当に買って帰るか」


トイレの個室から出て再び本屋に戻ると週刊紙を買い結城は家に帰っていった




―翌日―


「昨日何があったんだ?」


結城は務の顔を見るなり聞いてみた。


「いやー、スマン

実は隠してたテストが見つかってさ

怒 ら れ て た」




「どこの漫画の話だよ…」


「ほんまにごめんなー

御詫びにいいこと教えたる」


「いいこと?」


「そう

極秘情報」


「聞こうじゃないか」


「ここだけの話なんだが…」


「うん」


「俺の物理のテスト27点」


「………で極秘情報は?」


「スルーすんな」


「だってクラスの全員知ってるから


で、極秘情報は?」


「さらっととてつもないこと言ったな今!?」


「いや、言ってない」


「はぁ…もういいわ


極秘情報だけど、明日新しい若い女先生が来るってさ

保健室の」


「保健室の先生だと!?」


「いい響だよな~」


「ご報告ありがとう親友よ」


「へへっ、よせやい」


「あ、無理。やっぱキモいわ」


「俺もそう思う…

とにかく明日は保健室にいかないとな」


「勿論。お礼と言ってはなんだがそういや俺も極秘情報がある」


「何?」


「この前お前は授業中寝てたから知らないだろうが、今日物理の小テスト」


「なん…だと!?」


「しかも一時間目物理」


「………………親友よ」


「なんだ親友?」


「くたばれ」


「だが断る」


一時間目の授業が始まるまでの少しの間、ひたすら物理の参考書とにらめっこする務がいた






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