世界の終わり
掲載日:2026/02/03
「ねぇ、世界の終わりが待ってるよ」
きみが笑いだす。
そうだね。そうかもしれない。
いつものことだ。変わらない。
「狂っているのはあなただよ」
なにかつぶやいている。
聴こえていないふり。空を眺めまわした。
悪いのは全部きみなんだ。そう思っていた。
ぼんやりと。
静かだ。
紅茶を飲みほしてきみが笑いだす。
「世界の終わりが待ってるよ」
分かってた。わかってたんだ。
緩やかに。柔らかに。
崩れていく。わかってたんだ。
明日が来ないこと。
雨が降りやんだ。
あの鳥たちはどこに行くんだろう。
どこに行きたいのだろう。
「世界の終わりが見てるよ」
パンを焼きながら言う。
待ち焦がれているようだ。その時を。
赤みのかかった空だ。もうじきに月が昇るだろう。
紅茶飲みほしたきみが笑いだす。
「それが最後だよ」
焦げたパンのにおいがする。
「ありがとう」
ありがとう
静かだ。赤みのかかった月が昇っている。
これが最後なんだ。
焦げたパンに手を伸ばした。




