表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

4話 怪談が常識である理由

4話 怪談が常識である理由


依頼人のシズカの母親が事務所を去った後、

モドリックは慌ただしく箱を漁っていた。

何をしているんだ…?

今すぐ調査すべきじゃないのか?

目撃者を探し、シズカの行動経路から調査すべきじゃないのか?

まだ誘拐か事故による行方不明か特定できていないのに。


「見つけた!」

「久しぶりに出したけど、うまくいくかな~?」


「それ何ですか??」

「血? 蝋燭? なぜそれを探すの…?」

「今外に出て調査が先だろ。」


私の質問に、モドリックは得意げに笑いながらろうそくを床に置き始めた。

ちょっと待て、呪文を唱えてるのか!詐欺だろ!

私は好奇心いっぱいの目でモドリックを見つめていたが、

モドリックは床に血の模様を作り、ろうそくに火を灯し始めた。


「パノ、電気を消してくれ。」


「これでシズカさんを探すの?」


「両目を見開いて見ろ、人間。」

「お前の助けは不要だということを見せよう。」

「この悪魔モドリック様の力!!」


ほお… これじゃ追い出されるんじゃないか?

ダメだ…

パノは首を左右に振ってスイッチを切り、明かりを消した。

周囲は暗くなり、ろうそくの灯りだけが揺れ始めた。モドリックはシズカの写真を中央に置き、

聞き取れない言葉を呟き始めた。

その瞬間、ろうそくが全て消え、完全に暗闇に包まれ、前が見えなくなった。


「パノ、またつけてくれ!」

「成功だ、うむ~。」


「見てみろ、人間。これが悪魔の力だ、これだ。」


「え…?」

「方向?」


モドリックが嬉しそうに私に見せたのはシズカの写真をで、

写真の中のシズカが動いて手で方向を指さしていた。

すごい!!

でも方向だけで見つけることができるの??


「それが…」

「本来は生存の有無から位置まで全て分かるんだけど…」

「モドリックは力が弱くて…方向くらいしか…」


「パノ!」

「それをなぜ教えてくれるんだ!」

「さっきこの人間が驚いて完全に倒れたのに。」


「ああ…」


モドリック、この野郎、もし俺が推理で契約したら自尊心が傷つくから…

こんな能力まで見せつけるのか…

自信がなくなってきたな…

次から次へと想像を超えることが起こるばかりだ。正式なルートはないのか…

小説と全然違う!


「さあ、行こう。探そう。」

「方向だけだけど、これくらいなら十分見つかるはずだ。」

「写真の中にシズカさんがリアルタイムで方向を教えてくれるから。」


「こんなに簡単だと言ってるの?」

「信じられない…」


モドリックは何度も私に勝利の笑みを送りながら出て行こうとし、

パノも後を追う様子だった。

私も早く追いかけるぞ..

とりあえず何かしなきゃ。

このままでは記憶や寿命で契約することになるぞ!

そうして私たちは写真の中のシズカさんが教えてくれる方向に従って進み、

私は帽子を深く被り、二人の後を追った。

外は依然として見たことのない存在たちが生活していた。

私はできるだけ目立たないように努めた。


「え…走らなきゃ…」

「呪いの時間が終わろうとしている!!」

「パム、助けて!!」


「え??」


騙された。悪魔の呪術がこんなに凄いなんて、恥ずかしいほどに…

自信満々だった時から気づくべきだった…

この奴、解決できないから依頼が来ない悪魔だったんだ…

その瞬間、パムは私とモドリックの腰を抱き、全速力で走り始めた。


「あそこ!?」

「ちょっと待って!!!」

「うあああああ!!!」


「くあああああ!!!」


ファムは私たち二人を抱えて、驚異的な跳躍力で建物の屋根まで飛び上がった。

あまりにも速すぎて、目が自然と閉じ、顔が歪むのしか感じられなかった。

わ…意識が遠のいていく…


遊園地の乗り物に乗ってるのか…?

頭を上げ、左のモドリックを見ると、彼は洗濯物のように

はためきながら気を失っているようだった。


「うわあああ…」

「ううわああ…」


八尺鬼、すごい…絶対にパノには優しくしないと…

パノはどの工場の前で止まり、私たちを下ろしてくれた。

私とモドリックは同時に地面に吐いた。

推理…できない…めまいがする。


「ううっ…!」

「ふう…ありがとう、パノ。」

「人間、気を付けろ。着いたぞ。」


「ナオ君、大丈夫か?」

「配慮してできるだけゆっくり走ったのに…」


「大丈夫です…」

「ゆっくり走ってくれたんだ…」


モドリックは唾を拭きながら私を心配してくれたが、パノは…

ここに最強の奴が…?

怪談の八尺鬼が走る車に似ていると聞いたことはあった。

しかし、この程度なら電車は楽勝で勝てるはずなのに…

気を引き締め、私たちは工場内部に入り、

周囲を観察し始めた。


「変なものがあればすぐに言え、人間。」

「危険そうなら。」

「さっきの私みたいに『パノ、助けて!』って叫べばいいだろ?」


「ああ… はい…」


チート呪文を手に入れたような気分だった。

何かが起こっても『パノ、助けて!』と叫べば全て解決できるような感覚で、

パノを見ると、照れくさそうに微笑み返していた。

工場内は暗く、不気味な空気が漂っていた。

工場だからか、鉄の臭いが漂い、

不安感が脳裏を駆け巡った。


「人間!!パノ!こっちだ。」

「シズカを見つけた!」


「え!?本当に?」

「無事ですか?」


私はモドリックの声に急いで駆け寄り、

最初に目に入ったのは床に広がった血の跡だった。

モドリックは私を気遣い、シズカさんの顔の半分を服で覆ってくれた。

シズカさんは胸に刃物が刺さったまま、冷たくなっていた。


「殺人事件ですね…」

「まずお母様に連絡を…」

「現場も保存して…」


「え?何の殺人事件?」


モドリックはシズカさんの胸に刺さった刀を引き抜き、私の方を向いた。

え…?現場を損壊した!

手がかりも少ないのに、この悪魔野郎、感情なんてないのか…?

モドリックの表情には、真剣さは微塵も感じられなかった。


「落ち着け、ナオグン…」

「九尾の狐の伝説は少し知ってるか?」

「命は九つある… すぐ起き上がるさ…」


「え…?」


そうか…九尾の狐なら命が九つ…私だけ知らなかったんだ…

足に力が抜け、地面に崩れ落ちた。

安堵と緊張が解け、

何かが分かったような気がした。

ここは怪談が常識で、推理、事件、トリック、その全ては怪談から理解しなければならないんだ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ