6歳になる悪役令嬢
「おかえりなさい、お母様。」
「ただいま。」
「今日は早かったのね?」
「ふふふ、お茶会でメイに婚約させてほしいってしつこい方がいたから途中で帰って来てしまったわ。」
「そうなのね。私よりもお兄様やお姉様が先でしょうに(笑)」
「そうなのよね…でも下心のある令嬢が多すぎて。」
「同じ年齢くらいの方々ですか?」
「そうよ?」
「では、少し年上か他国の方しかありませんわね。」
「困ったわ。」
「そういえば、今日可愛らしいお客様が来たのよ。ね、マリーカ(笑)」
「はい、とても可愛らしかったですね。」
「まぁ、先触れもないなんて失礼な方ね?」
「ふふふ。違うの、小鳥さんが遊びに来てくれたのよ。」
「びっくりさせないで。でも素敵ね、お友達になりたいのかしら?(笑)」
「どうかしら?また遊びに来てくれたらお友達になるわ。」
これからは、晴れた日は窓を開けておこうかしら?
可愛らしいお客様がたくさん来てくれるかも。
お母様と楽しくお話をした。
普通のお友達がいなくても楽しみを見つけよう。
次の日は朝からお勉強をしていた。
今日は歴史とピアノとマナーのお勉強。
14時くらいまで。
今日も良い天気だわ。
「マリーカ、また可愛いお客様がくるかもしれないから窓を開けておいてね。」
「かしこまりました。」
楽しみだわ。
昨日と同じくらいの時間になっても今日は来なかった。
「残念ね。せっかくだからお庭に行くわ。」
「ではご準備いたします。」
上着やブランケット、お茶も用意してくれた。
私はバイオリンを持ってお庭に出た。
庭でバイオリンを弾いていたら別の可愛いお客様がやってきた。
「メイリン様、とても可愛らしいお客様が来てますよ。」
「本当だわ。どこから来たのかしら?」
リスがこの辺りにいるなんて知らなかったわ。
「可愛いお客様。あなたは音楽が好きなのかしら。」
昨日の小鳥さんといい、
今日のリスさんといい遊びに来てくれて嬉しい。
「ではリスさん。もう少し私のお気に入りの曲を聴いてくれるかしら?(笑)」
リスは私の隣で大人しく聴いてくれていた。
曲を弾き終わってバイオリンを置くと、
リスが私の肩に乗ってきた。
「気に入ってくれて嬉しいわ。」
リスは頬ずりしてくれた。
なんて可愛らしい。
「お嬢様、そろそろお部屋に戻りませんか?少し風が出てきました。」
「そうね。リスさん、また遊びに来てね!」
部屋に入り、お茶を淹れてもらった。
「メイリン様は動物に好かれるのですね?」
「今まではそんなことなかったのに驚きだわ(笑)」
家族と夕食の時にリスのお話をしていたら、
「メイのお友達に立候補してくれるなんて。素敵だわ。」
「そうでしょう?リスさんはバイオリンを聴きに来たのよ。」
家族は動物のお友達の話をとても楽しそうに聞いてくれた。
また来てくれたらいいな。
動物のお友達なんて本当に素敵。
これもチートかしら。
あれから動物のお友達がたくさん来てくれるようになった。
遊べない雨の日は、
窓辺にお花や木の実を置いてくれていた。
でもどうして動物が来るのかはわからない。
不思議。
今日は雨だから部屋で読書をしている。
地理や歴史もほぼマスターしてしまったので、
地理や歴史は学院のと変わらない勉強になり、
読書で学ぶことが増えてきた。
国語なども勉強することがなくなってきてしまったので、
他国の言語や古代語を学ぶようになった。
まだまだなのは剣術と魔法。
マナーやダンスは問題なかった。
剣術はなかなか難しい。
素早さや、身の軽さなど普段気にしない所が重要だから。
それでも私…まだ5歳だったわ(笑)
もうすぐ6歳になるけれど。
またパーティをするのかしら?
でも、すぐにお部屋に戻るのよね。
動物さん達はお祝いしてくれるかしら?
お祝いしてくれたら素敵ね。
それからしばらくして私の誕生日がやってきた。
パーティにたくさんの人がやってきた。
お兄様やお姉様のお友達も来てくれた。
挨拶が一通り済むと部屋に戻るように言われてしまった。
素直に一度戻ったものの、
やる事がないので、
庭に向かった。
「メイリン様、たくさんお客様がいらっしゃるのでお部屋に戻りませんか?」
「もう少しだけいいかしら。あとお茶をお願いできる?」
ベンチに座ってお茶を飲んでいると、
いつものお友達がお花を持ってきてくれた。
「ふふふ、ありがとう。今日は私のお誕生日なの。とても嬉しいわ。」
小鳥やリスが仲間を連れてお花を持ってきてくれた。
「メイリン様をお祝いしてくれているのですね。」
「えぇ、とても嬉しいわ。ねぇ、このお花をお部屋に飾ってくれるかしら?」
「もちろんです。」
動物のお友達をひと撫でして部屋に戻った。
お開きになると、
家族に呼ばれて居間へ向かう。
「お父様、お母様。どうかなさったのですか?」
みんなが揃って難しい顔をしている。
何かあったのだろうか?
「メイ、今後お客様がいる時はお庭にも出ないでもらってもいいかしら?」
「なぜですか?」
「今日来たお客様の中で庭にいるメイを見た者が婚約者にってうるさくてな。」
「そうなのですか?」
「しかも、今日動物のお友達と一緒にいたのを見たらしくて。」
「メイはきっと聖女に違いないって吹聴していたんだ。」
「聖女だなんて…」
「私達ももちろん話は出ていたけれど、メイの話題が多すぎるのよ。」
「そうそう、私の友人もメイへの紹介を頼まれたとか言っていたし。」
「なんだか怖いわ…」
「だから、来客があったらすぐに部屋に戻っておくれ。」
「わかりました。」
「メイは必ず守るからね。」
なんだか恐ろしい話だ。
怖くなったので今日はもう寝ることにした。
だって6歳の女児に対して婚約だなんて異常だわ。
前世の記憶があるだけに変態にしか思えないのよ。
この世界では10歳の年齢差も多いらしい。
考えられない。
それに恋愛もしたことがないのよ?
なかなか寝つけなかった。