早期解決の為に。
【第二王子 ラルフ】
ようやく噂の真相がわかった。
やはり、私達の婚約の印象を悪くしてメイリンを王家から離すつもりだったらしい。
王家の信用を無くせばコールマン公爵家は間違いなく嫁がせない。
メイリンへの溺愛は誰もが知っているからだ。
そこに息子がメイリンを射止めれば、
縁戚となるのだから援助してもらえる。
それが狙いだったようだ。
もちろん、必ず成功するわけではない。
失敗だったとしても、噂だけなら問題にはならない。
『メイリンが王家に婚約者として離宮に捕らえられている』、
そう聞こえたと言えばそれまでだ。
今回は息子がそう聞いたと。
息子が言っていたのだから、その話をパーティで話してしまったと言っているらしい。
確実に悪意はあっただろうが。
今回は私の失態が原因だ。
噂を払拭する手っ取り早い対応は本当のことを周知させることだ。
ただ、本当のことを話すということは、
まだ婚約者が決まっていない事が広まってしまう。
以前とは違って、随分と前に離宮に居を移しているのだ。
メイリンが2人を天秤にかけているということになってしまう。
もしくは、私達がメイリンを婚約者として…
それだと噂と大して変わりない。
結果、メイリンの婚約式を近い内に行う、と。
すぐにでも決めてしまえという者もいたが、
コールマン公爵が異議をとなえた。
そもそも私達が同時に婚約の申出をしてしまったから。
父上…陛下の命令で決められていたら、
そのまま婚約していたはずだ。
そして、メイリンもコールマン公爵家も悩む必要はなかった。
メイリンは恋愛に疎い。
私も兄上も疎いほうだが、
年齢差があるとだいぶ違う。
メイリンの環境も恋愛や他意に疎い原因だ。
小さい内から、王家に迎えたいという父上の意向もある。
彼女の才能は素晴らしく、
他家に奪われるわけにはいかない、と。
最初に出会った2歳のメイリンに将来を考えられなくて、
その場は流れた。
兄上も同じだ。
年齢差は埋まらないが、
成長してから会うと感情は変わる。
私が変わった時に兄上もまた変わったのだ。
コールマン公爵はどちらかを選べというなら、
時間が必要だと。
それが学院の入学だ。
入学すればメイリンの環境も大きく変わる。
そこからが私達がアプローチするスタートになる。
メイリンは2歳から私達を上回るほどの婚約の申出があった。
学院に入学してからは更に増えたと聞いた。
だから、離宮に迎えることになった。
はぁ…会議で半年後に婚約式が行われる事が決まってから、思考がぐちゃぐちゃだ。
私も兄上も成人なのに。
…メイリンは婚約式の件を了承するだろう。
言われたことに意を唱えたりしないからな。
アークもジャンも苦々しい顔をしていたな。
婚約が確定するまで5か月。
毎週公務の間にメイリンと過ごす時間が設けられる事になった。
週に1回か2回。
メイリンと過ごすにあたって、街以外の場所なら護衛と近衛を充分に配置して出かける許可が出た。
毎週、メイリンに1着ドレスやアクセサリーを贈る事になった。
王家からも毎週1着ドレスとアクセサリーを贈るという。
メイリンはこの話を聞いているだろうか…?
兄上には伝わっただろうか…?
コールマン公爵はメイリンにどんな話をしたのだろうか?
公務は週に1度か2度。
それ以外は兄上と分担して机上の書類仕事だ。
その間にメイリンと出かける。
デートか?
デートになるのか。
アークも会議に参加していたが相談をしてみよう。
【第一王子 アダム】
会議に呼ばれた。
どうやら卒業パーティにメイリン嬢も参加して、
あまりの美しさにトラブルになったという。
美しかったのか…
見たかったな。
しかし、美しすぎてトラブルになるなんて。
その時にラルフがうっかり、
メイリン嬢が国内で唯一、
私とラルフの婚約者候補だと言ってしまったらしい。
婚約者がどちらかに決まるまでは公表しないはずだったのだ。
その時にいた男達の中で諦めきれない男が、
親に『ラルフ王子とアダム王子の国内で唯一の婚約者候補だ』と言ったらしい。
その親は『アダム王子とラルフ王子が無理に離宮に閉じ込めている』というという噂を流布していたそうだ。
その噂のことに関してはラルフが汚名返上の為に調査をして、
真相はわかった。
だが、噂を早く終息させるには真実を公表する。
もしくは、新しい噂で塗り替える。
それ以外の早期解決にはならない。
会議で噂を早期解決させる為に
婚約を早めることになってしまった。
約束の成人までまだ時間が充分にあるはずだったが、
半年後に婚約式を行うことに。
だからメイリン嬢は半年後までに私かラルフを選ばなければならない。
少しラルフが優勢だが、
ラルフも私も選ぶ為の努力が足りないと言われていた。
判断材料が少なくて選べないとメイリン嬢が言っていたらしい。
そのため、私達2人は毎週1度か2度メイリン嬢と過ごす時間を作ることになった。
毎週1着のドレスとアクセサリーを贈り、
メイリン嬢の気を引けと。
もちろん、メイリン嬢はそんなことで判断はしないだろう。
だが、少しでも意識してもらう為に必要かもしれない。
彼女と時間を過ごす為には離宮から連れ出すことになる。
街以外なら護衛と近衛を今までの倍以上を配置すれば出かけることが出来るという。
しかし、メイリン嬢は納得してくれるだろうか…?
コールマン公爵が言えば納得するか…
彼女は今まで意を唱えたことはないと聞いている。
確かにメイリン嬢は我が国としては必要な人だろう。
人柄と才能が素晴らしい。
そして、羨望を受けるであろう容姿。
王家にとって是非とも迎え入れたい。
それに、王家じゃなくても私が迎え入れたい。
私が迎え入れたいと考えたのは2年ほど前、
メイリン嬢が10歳だった。
私はもう20歳になっていた。
私が結婚の事を言われていなかったのは、
メイリン嬢を妃に迎えたいと父上が言ったからだ。
それは、ラルフも同じだった。
彼女との婚約を意識したのはラルフと同じタイミング。
年齢差があったから意識するまでに時間が必要だった。
さて、どうしたものか。
ジャンに相談するか…。
まずはメイリン嬢と話をしよう。
私としては彼女の意向を知りたい。
彼女に贈る物を選ぶ為の判断材料も知りたい。
好きなものや嫌いなもの。
彼女を知りながら、私のことも知ってもらおう。
まずはお茶に誘おうか。
自室に戻りながら、今後の予定を考えた。
はぁ…疲れました。
次は新しい章に入ろうかな。




