初めてデートに誘われた悪役令嬢
「メイリン様、アダム殿下からこちらを。」
「ありがとう。」
アダム殿下からお手紙?
ーメイリン嬢、明後日に出かけないか?
これは…デート?
「…これはデートというものでしょうか?」
「メイリン様?」
「あ、ごめんなさい。これはデートというもののお誘いなのかしら?」
「私が見ても?」
「お願い。」
侍女達が慌てだした。
「え、何?どういうことですの?」
「明後日のデートの準備をしなくてはなりません。」
「本当にデートでしたの?」
「メイリン様、これはデートのお誘いです!殿下にお返事とどこに行くかを聞いてくださいませ!」
「あ、はい…」
勢いに負けて、
殿下にお返事を書きました。
少しすると返事が来て、
バイオリンを持って湖までピクニックに行かないかということだった。
バイオリン…湖で弾いたら、
どんな動物に会えるのかしら?
「バイオリンを持って湖にピクニックですって。」
「まあ!」
「湖、初めて見るわ!」
「初めてですか?」
「はい。私は家と王城と教会以外は行ったことありませんの。」
「そうなのですか?」
「えぇ、一度だけ洗礼式の後に少し街に行ったのですが誘拐されてしまって。」
「大変っ、無事で良かったですね。」
「誘拐されて他国に売り飛ばされる前に逃げたのです。」
「売り飛ばすなんて…」
「その時は街中を歩きましたが、どこにいたのかもわからなかったのです。」
「お可哀想に。」
「ですから、家と王城以外に行ったことがないのです。」
「そうでしたの…」
「デートやピクニックも小説で読みましたわ。」
「それなら楽しみですわね。」
「えぇ!」
デート…
ピクニック…
私の人生で初めてのイベントだわ!
「メイリン様、少し寒い時期ですから羽織るものも用意しましょうか。」
「それなら、昨年作ったショールがあるわ。」
赤のショールと水色のショールを昨年編んだ。
「素敵なショールですね!暖かそうですし。」
「ふふふ、私が作ったから一点物よ。」
「作ったのですか…だから見たことがないのですね。」
「そうよ、お母様とお姉様と私だけなの。」
「では、ショールと合わせて準備しましょう。」
デート当日、
「メイリン様、とても可愛らしいですわ…」
侍女がうっとりしている。
「本当に?ありがとう!」
今日はオレンジ色のドレスに帽子にブーツ。
ショールと薄めのコートを用意してもらいました。
「メイリン様、アダム殿下がお迎えに来ております。」
「今、行くわ。」
侍女2人と護衛を3人、念の為短剣も用意してあるので万全ですわ。
これで怖いものなんてないわね。
「メイリン嬢!」
「ごきげんよう、アダム殿下。」
「おはよう。今日も…美しい…」
「あ、ありがとうございます。」
「さぁ、行きましょう。」
エスコートされて馬車に乗りこんだ。
前後に馬車が1台ずつ。
「今日はお誘いありがとうございます。」
「いえ、天気も良くて良かったですね。」
「ふふふ。ピクニックもそうですけれど、お出かけするのも初めてです!」
「初めてですか…?」
「はい、だから楽しみでした。」
「そうでしたか。」
「お誘いされるのも初めてです!」
「初めて…」
殿下が顔を赤くしているのですが…
「殿下、どうされましたか?」
「いえ…メイリン嬢の初めてのお出かけが私とだなんて光栄です。」
見つめられて言われると、
「…あ、ありがとうございます。」
恥ずかしくて外の景色を見る。
景色を眺めるのも初めてで…
なんとなく気まずい空気です…
しばらくすると、
急に馬車が止まる。
「殿下、野盗です!」
「メイリン様をお願いします。」
「わかった!」
「野盗…」
小説で読んだ野盗かしら?
『公爵令嬢を渡せ!』
「私…ですか?」
「そんな…」
「私が狙われているのですか?」
「大丈夫です。護衛がおりますので安心して!」
「はい…なぜ私が?」
「殿下!絶対に外に出てはなりません!」
数が多いわ…
大丈夫かしら?
「殿下…」
殿下が守るように抱きしめてくれた。
「大丈夫、メイリン嬢は必ず守ります!」
馬車の扉が壊されました。
怖くなって身体が震える。
殿下が抱きしめていた腕を外して野盗を蹴り飛ばす。
「きゃっ!?」
私…きゃって、言えるのね?
「メイリン嬢、私が守ります!」
殿下が外に出て剣を構える。
「なぜ彼女を狙う?」
『うるせぇ!早く渡せっ!』
「殿下っ!」
殿下が剣を交えて少し離れた時に腕をとられた。
「メイリン様っ!」
「メイリン嬢!」
あぁ…私、引きずり降ろされそうだわ?
近くにあった短剣を持つ。
「離して!」
馬車を降ろされたので、
とっさに短剣の柄を肘に打ち付けた。
『いってぇな!』
少し手が緩んだので、
一気に踏み込んで腕を捻り上げた。
『うわっ!?』
「私…自衛のために訓練してますのっ!」
そのまま背負投げに。
手に持っていた剣を蹴り飛ばす。
「メイリン嬢!」
もう一人、こちらに向かって来た。
走って来たので、
懐に飛び込んで体当たりをした。
もちろん、倒れなかった。
短剣では太刀打ち出来ないので、
先ほどの野盗の剣をとり、
相手を睨みつけた。
『うっ…』
相手が怯んだので、
剣を弾き飛ばして腕を捻り上げた。
周囲も片づいたようで、
こちらに走って来てくれました。
「皆様お怪我は…」
「私よりもメイリン嬢は大丈夫なのかっ!?」
捻り上げた野盗を護衛の方がロープで括り上げた。
「はい、お出かけは危険なのですね…」
「メイリン嬢、血が出ているぞ?」
自分の身体を確認すると…
「あっ…血が…」
「殿下達もお怪我をされて…野盗達は?」
「全員捕らえましたよ。馬車に今押しこんだ所です。」
「では、そちらの馬車に順番に来てくださいませ。」
後ろの無事だった馬車に乗り込みました。
自分の怪我を治癒をかけて、殿下の怪我に治癒をかけた。
殿下達の怪我は思ったよりも深くて、
私が痛くなってしまって涙が出てしまいました…
全員に治癒をかけて、
「メイリン嬢、無理は良くない。休みなさい。」
目眩がして、倒れ込んでしまった。
「メイリン嬢!」




