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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
転生してスタート
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人攫いにあう悪役令嬢

 仕立て屋の裏口から店を出る。


裏口の扉を開けて両親が店主に挨拶をした瞬間、


目の前が暗くなった。


え?


急に脇をしめられて移動しているようだ。


護衛かしら?


「「メイ!」」


両親が叫んでいる。


「「「「「メイリン様っ!!」」」」」


ん?護衛の声も後ろから聞こえる。


どうやら、誘拐されているようだ。


『お父様!お母様!』


声を出すものの、何かにくるまっているようであまり声が外に届いていない。


『すまないな、お嬢さん。俺達も仕事なんだ。』


うーん、仕事なんだ。


移動する際に右に曲がったり、左に曲がったり。


私、売られちゃうのかしら?


どうしたら帰れるかしら?






【父 ダニエル】


「メイ!」


ほんの一瞬だった。


護衛すら間に合わなかった。


護衛と一緒に追いかける。


シエルは護衛を1人つけて仕立て屋に置いてきた。


くそっ。


心配していたのに。


薄暗い道に入られてしまった。


護衛に手分けして捜索の指示を出した。


近くに衛兵が巡回してたはずだな。


衛兵を呼びつけて王城に連絡をさせて捜索隊を派遣させる。


連れ去られて、だいたい20分くらい経過した。


「宰相殿、お待たせしました!」


メイの特徴と攫っていった者の特徴を伝えた。


私達の天使を攫っていった者を何としても探し出さねば。


【母 シエル】

裏口から店を出る時のほんの一瞬だった。


メイが攫われてしまった。


ダニエルと護衛達が追って行った。


私は護衛と一緒に店で待つことにした。


ダニエルの言う通り最悪を想定するべきだったわ。


どうしましょう…


メイ…私達の可愛い天使。


何としても返してもらわなければ…


『奥様。お気持ちは察しますが…中で待ちましょう。』


護衛と店主に言われて店の中へ。


メイに何かあったら…


神様、


どうかメイリンを…


メイリンを助けてくださいませ。


攫われた理由は何だったのかしら?


「奥様…我々のせいで申し訳ありません…」


「いいえ…」


どうしましょう…


とりあえず、ダニエル達が追って行ったし、


衛兵が通りすぎたから捜索隊ね。


とりあえず、我が家へ帰って待ちましょう。


「急いで馬車を回して。家に戻るわ。店主さん、ダニエルが戻ったら家に帰ったと伝言をお願い!」


私は無力ね…


何もできないなんて…


ダニエル、メイをどうか…


どうか、連れ帰ってきてね。


馬車に乗り込み、家に戻りながらメイの無事を願った。


そういえば、婚約は来年の予定だったから誘拐なんて書かれてなかったわ。


それはそうよね。


だいぶ、大きくなってからしか書かれてなかったもの。


とりあえず、できるだけ大きな声を出した。


『お願い!助けて!誰か助けてくださいませ!』


『お嬢さん、静かにしてくれ。あまり大きな声を出されると怪我をさせなくてはならねー。』


『可愛いっていうのは罪だな。』


『いやよ!私は家に帰りたい!』


気づくと潮の香りがした。


大きな音が聞こえて、


高く持ち上げられた。


どうやら、箱の中に押し込まれたようだ。


動いた気配はない。


縛られていなかった為、


被された袋から抜け出た。


木の箱?


中からふたを押し上げてみた。


隙間から光がさす。


何かでおさえているのね。


身体を揺らして音をたててみる。


すると、先ほど見えていた光がなくなり暗くなった。


何か被せられたようね。


こういう時はどうしたらいいのかしら。


まだ魔法の勉強をしていないし。


チート能力も使いこなせなければ意味がないわね。


お父様…


お母様…


もう会えないのかしら…


前世の家族のように会えなくなってしまったら…


神様…


ラノベには書かれてないことには対応できないわ…


あ、箱が浮いてすぐ降ろされたわ。


運ばれているのね。


声が近づいてくるわ。


隙間から何か臭うわ?


潮の香りじゃないわね…


危険な気がする。


慌てて口と鼻を押さえる。


また動かなくなった。


だんだん眠くなってきた。




あれからどのくらい時間が経ったかしら?


ーメイリン、目を覚まして。


あら?


聞き覚えがある声が響く。


ーもうすぐ船に乗せられてしまうわ。


そんな、それは困るわ!


ー今、近くまで衛兵が来てるようだわ。


本当?


どうしたらいいのかしら?


ーメイリンが攫われてから時間が経って、今は夕方よ。


随分時間が経っているのね。


ーえぇ、このままでは遠くまで連れ去られてしまうわ。


いやよ、私は家族のところに帰りたいの。


ーそうね、まだあなたには生きて欲しい。


何か、ここにいると知らせる方法はないの?


ー魔法を使うのはどうかしら?


魔法なんてまだ覚えていないわ。


ーそうよね…


見張りはいるのかしら?


ー今いなくなったわね。


そうね、足音が遠くなってきた。


せめてこの蓋を動かせることが出来たら走って逃げるのに…


ーそうだわ!メイ、魔法を使ってみましょう。


え?


どうやって?


ーあなたのイメージをしてくれたら私がフォローするわ。


イメージ?


うーん、押さえられているようだし、


カッターのような刃物で抜け出せる穴を開けられる?


ー刃物…そうね。手刀をイメージしてくれる?


あ、漫画で見た手刀ね。


イメージをして…


こんな感じ?


ーそうそう。準備はいい?


えぇ、いいわ。


上は難しそうだったから目の前を十字に切り込んでみた。


ー十字では出られないわ。


わかっている。


大きく端から90度切り込んだ。


どうやらチェーンで十字に押さえられているようね。


ここが切れれば抜けられる…


チェーンを少し持ち上げて繋がっているところを切った。


出来たわ!


ーこれで抜けられるわね。ここを出たら左に壁伝いに行ってね。端のほうに扉があるわ。


わかった、左ね。


ーこれで


神様?


神様?


もう声が聞こえることはなかった。


そうよね、神様の声は本来なら聞こえるはずがないもの。


ありがとう、神様。


言われた通りに左へ。


とても狭い隙間なのね。


あった!


扉だわ。


ここは倉庫だったのね。


たくさんの荷物があるもの。


周囲を警戒しながら、そうっと扉を開けた。







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