天才の3歳になった悪役令嬢
私は3歳になった。
今日は私の誕生日を祝うパーティが行われる。
家族は大袈裟なことはしたくなかったらしいが、
婚約の打診が兄や姉達にも多く、
せめて茶会を開けということになったらしい。
私の父や兄は赤い髪に金色の瞳。
母や姉は薄紫の髪に青い瞳。
家族が全て美しい容姿をしているので、
私がモテるのは家族のDNAを受け継いでいるからだと思っている。
今、茶会がスタートしたものの周囲をぐるっと囲まれている状況だ。
家族全員が美しいと言われているが、
私の周囲にいる人達は私を見てキラキラした瞳で近寄ってくる。
両親とジャンお兄様とミリムお姉様は挨拶まわりをしていて、
私はアークお兄様と一緒だ。
アークお兄様もたくさんの女性に囲まれていると思うのだが、
とにかく私に近づいてくる人達から守ってくれている。
「メイリン嬢はまるで天使のように可愛らしい。」
「ありがとうございます。」
「申し訳ありません。メイリンに触らないでいただきたい。」
お兄様、なんだか紳士のように守ってくれているのが照れくさいのですが。
「そなたがメイリン嬢か。」
「殿下。」
あ~、この方が今後婚約することになる王子様か。
アークお兄様に続けて、ご挨拶をした。
「メイリン嬢は3歳なのに随分と美しい挨拶が出来るのだな。」
「ありがとうございます。」
「3歳でこの美しさ。将来が楽しみだな、アーク。」
「当たり前ですよ、殿下。なんせ、私の妹ですから。」
アークお兄様…シスコンが過ぎる。
殿下とアークお兄様に挟まれていると、
慌てて家族が集まってきた。
「殿下。」
「ダニエル、メイリン嬢は美しいではないか(笑)」
「所作も美しいな。」
「陛下!?なぜ来ちゃったんですか。」
「いや、そなたの娘に会わせてくれないからこっそりとな。」
周囲が王様と王子様に挨拶にくる。
「アーク、大丈夫だった?」
「母上、駄目です。メイを見て近づいてくる者達が多すぎてここから動けませんでした。」
「まぁ。どうしましょう?」
「お母様、屋敷に連れ帰りましょう?」
「そうですよ、母上。メイを見て吸い寄せられるように近寄ってくる者達があまりにも多すぎます。」
「なんだ、メイリン嬢は屋敷に戻るのか?」
「殿下!?」
「コールマン公爵夫人、メイリン嬢は随分と賢そうだな。」
「ありがとうございます。兄姉を見て育っておりますので。」
「でんか。わたしはおにいさまやおねえさまのようになりたいのです。」
「「「「可愛すぎる!」」」」
家族が私を囲んだ。
「溺愛しているというのは本当のようだな(笑)」
「だから会わせたくなかったんですよ。」
「おうさまもおうじさまもたくさんほめてくださってありがとうございます。」
「ふむ、聡明な娘だな。」
「私達の娘ですから。」
「たくさんのかたがたにおいわいしていただけてうれしかったのですが、ねむくなってしまったのでおへやにもどりますね。」
「そうだね、今日は疲れちゃったのかもしれないね。」
「じゃあ、メイ。部屋に戻ろうか。」
「はい、ジャンおにいさま。」
ご挨拶をしてジャンお兄様に抱きかかえられて眠りについた。
あとで聞いたが、王様がぜひ婚約をと言ってきたらしい。
もちろん、全力で断ってくれたらしい。