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刺繍する妹を自慢するアークお兄様

入学してからひと月が経過して

お友達とは名前で呼び合うようになった。


「メイリン様、すごく優秀なのですね。授業の内容の理解力に驚きました。」


「そうですよね?余裕を感じますわ。」


「ありがとう(笑)小さい頃から時間が有り余っていたのでたくさんお勉強しましたの。」


「まあ!小さい頃ですか?」


「はい。年の離れた兄や姉がいましたので、一緒にお勉強がしたくてたくさんお勉強をしていましたの。」


「そうなのですか?お兄様ってメイリン様といくつ離れてますの?」


「一番上の兄と10歳離れていますわ。」


「そんなに!?」


まぁ、そうよね。


驚くわよね。


家庭教師の先生も驚いていたわ。


「お茶会も参加させていただけなかったし、街にも連れて行ってもらえずにいたから。」


「そうですの…」


「やっぱり美しすぎて外に出してもらえなかったのですね?」


「うふふ、過保護なのです。」


「確かに今までお茶会でお会いしたことがありませんでしたわ。」


「お会いしたのは王城と公爵家のお誕生日パーティだけでした。」


「周囲の安全を考えて家か王城のパーティでしたの。」


「愛されてらっしゃるのですね。」


「そうね、私は家族が大好きよ。」


「「「「可愛いっ!」」」」


「もう、皆さんはすぐにからかうのだもの…恥ずかしいからやめてくださいませ。」


「メイリン様が可愛らしいのが悪いのですわ!」


「そんな…私が悪いんですの?」


「そうです!その可愛らしさは罪ですわ!」


あんまりだ…


解せない。


褒められるのは嬉しいけど…


照れるだけで罪とか。


「そうそう、本当に罪だと思いますわ。男性達がメイリン様を見て赤くなる気持ちがわかりますもの。」


「え?どうしてですの?」


「だって、見た目も美しくて中身が純粋で可愛らしいなんて。私が男性でしたら、すぐに求婚しますわ!」


「褒めすぎです…」


褒め殺しってこういう事なのね。


「ふふふ、メイリン様ったら可愛すぎますわ(笑)」


「そういえば、話が脱線してしまいましたが来週の試験のお勉強はしますの?」


良かった、話が戻って。


「私は復習だけしますわ。」


「メイリン様も勉強なさるのですか?優秀だから勉強する必要がないと思っていました。」


「授業も教科書を見ているだけなんですもの。」


「予習はしてますのよ?」


「そうだったのですね。意外ですわ。」


「羨ましいですわ。私は苦手教科がありますもの…」


「そうなのですか?私で良ければ教えて差し上げますわ。」


「良いのですか?ぜひお願いいたします!」


「休憩のお時間でもよろしいですか?」


「はい、ご迷惑でなければ。」


「私達もよろしいですか?」


同じ優秀なクラスなのに苦手があるのね?


前世でも、今も含めてわかるまで勉強していたから苦手教科とかわからない。


嫌味に聞こえてしまうかしら?


「苦手な教科はありますの?」


「私ですか?…苦手な教科とか考えたことがありませんわね。」


「まあ!」


単純に驚かれているわ。


「なぜかしら。メイリン様が言うと全く妬ましく思えないのよね?」


「そうですわね。普通は妬み嫉みを感じますのに。」


「そうなのですか?」


「えぇ、全く。」


そうなのね。


やっぱり嫌味に聞こえるものなのね?


今まで一人で勉強していたからわからなかったわ…


「そろそろ授業が始まりますわ。」


「そうね。授業頑張りましょうね。」


まぁ、何も頑張ることがないのだけれど…


でも、みんなでお勉強するのは楽しいわね。



「お兄様!」


「メイ、今日も楽しそうだね。」


「うふふ、とても楽しいですわ。それにお兄様と昼食をとるのも嬉しいです。」


「あはは、私も嬉しいよ。」


「アーク、私もいるのだが?」


「あ、そうでしたね。うっかりしていました。」


「お兄様ったら(笑)」


「メイリンも私をのけ者にしないでくれ。」


「申し訳ありません、殿下。お兄様がいるとつい嬉しくなってしまって…」


「可愛いから許そう。」


「私も許してくれるのですよね?」


「お前、どんどん遠慮がなくなるな。」


「そうでしょうか?メイリンと呼び捨てるのも、メイに向かって可愛いと言うことすらも許して差し上げているのですが?」


「もうよい。」


「うふふ(笑)」


「そういえば、刺繍は終わったのかい?」


「あ、そうでした。一昨日終わったので、帰ったらお渡ししますね。」


「刺繍?」


「はい、ハンカチに刺繍をしてプレゼントするのです。」


「メイは編み物も刺繍も上手なんですよ。羨ましいでしょう?」


「くっ…」


「お兄様、殿下はたくさん素敵なハンカチをお持ちなのですから羨ましいはずがないでしょう?」


「メイ。メイの刺繍のプレゼントなんて、誰もが欲しいに決まっているんだよ?」


「そうなのですか?」


「そうだな、できることなら私も欲しい…」


「殿下も欲しいのですか?では、」


「メイ、絶対駄目だぞ。」


「なぜですか?」


「くっ…」


ん?


なぜ?


「では、お友達とかにも差し上げてはいけませんか?」


「友達なら…いいか。」


「では、なぜ殿下は駄目なのですか?お兄様のお友達ですが…」


「…友達。」


「いいだろう。では、誕生日だけ許そう。」


「アーク、酷くないか?」


「殿下、よく考えてください。メイが異性に刺繍したハンカチをプレゼントするのですよ?」


「なぜ…いや、うん。嫌だな。」


「えっ?異性だといけないのですか?」


「「絶対に駄目だ!」」


「お兄様も殿下もいけないと思うのですね…わかりました。異性にプレゼントするのはやめようと思います。」


「ところで、どんな絵柄の刺繍なのだ?」


「私は剣の刺繍をしてもらっています。」


「はい、お兄様達は剣でお父様は馬車です。」


「それはいいな。私もリクエストしてよいのか?」


「はい、大丈夫です。」


「では…王家の紋章はできるか?」


「紋章ですね、わかりました。」


「メイ、手を抜いていいぞ?」


「お兄様、いけませんわ。殿下はお友達なのでしょう?」


「そうだぞ?」


「殿下、調子に乗らないでいただけますか。」


「お前は本当にメイリンの兄なのか?優しくないぞ?」


「ふふふ、殿下。お兄様はちゃんとお兄様ですわ。」


「くっ…」


「はあ…自分の妹ながら可愛すぎる。」


「そういえば、殿下のお誕生日はいつですの?」


「再来週だ。」


「まあ!では今日から始めなきゃですわね。」


「メイ、むやみに笑顔を振り回してはいけないよ?」


「そうだな。」


「どうしてですの?」


「それはね、周囲を見てごらん?」


「はい…どういうことなのでしょう?周りの方がたくさんこちらを見ていますけど?」


「メイリンは鈍感なのか…」


「殿下、メイはようやく友達が出来たところなのです。周囲の思惑がわかるはずがないのですよ。」


「メイリンは友達がいなかったのか?」


「殿下、酷いです…」


「あっ、すまない。」


「今までメイの友達は小鳥とリスだったのです。」


「なんだと!?動物と友達なのか!?」


「う…はい。そうです。庭でバイオリンを弾いていると小鳥さんとリスさんが遊びに来てくれるのです。」


「くっ…」


「ね、可愛すぎるでしょう?」


「そうだな…アークが自慢するのがわかる気がする。」


「もう…皆さん私をからかって、酷いですわ。」


「からかわれているのか?」


「はい…お友達がいつも可愛いと言うのです。照れてると可愛いと言われてしまうのです。」


「「それは仕方ない。」」


この2人…仲良しなのね。


「毎日言われるので恥ずかしいのです。」


「私も毎日言っているけどね?」


「家族は慣れてますもの。それに、私はお兄様が素敵だと言っているではありませんか。」


「…アーク。」


「なんですか?」


「…羨ましい。」


「そうでしょう、そうでしょう。メイがどれだけ可愛いかわかったでしょう?」


「くっ…」


殿下は今日、


くっ…て言っているのだが?


どういう意味なのだろう?


「さぁ、メイ。もうすぐ昼食の時間が終わってしまうよ?」


「あ、はい。」


お兄様と昼食をとると必ず殿下が一緒にいる。


他に側近の方や護衛の方も一緒にいるのだが…


お兄様と殿下以外は一切喋らずにこちらを見ている。


少し怖いと思う。


視線はずっと感じているけど、目は合わない。


視線はたくさん感じるけど。


やっぱり怖い。


授業もそうだが、


教科書を読むことがある。


ものすごく視線を感じるのよね。


午後の授業はマナーの授業。


見られてしまうと緊張してしまうのでいつも通りに頑張ろう。






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