表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
ダブル婚約式へのカウントダウン
187/187

秘密が出来た悪役令嬢

絵姿の事がわかってから数日。


今日は婚約式のドレスを仕立てる事になっています。


お姉様とはまだ会えないそうですが、仕立て屋にドレスのデザイン画を用意してもらってお姉様が選んでくれるらしいです。


お姉様が選んだ後に、どの色にするかを私に聞きに来てくれることになりました。


私はまだ流行に疎いから、お姉様にお任せしたのです。


そういえば…絵師はどうなったかしら?


難民の件もあるから忙しいのでしょう。


本当によく私はトラブルの起因になるわね。


婚約式を終えたらトラブルは減るのかしら?


「メイ、どうしたんだい?」


「なんでもありません。ただお姉様とお話したかったな、と思っていました。」


「そうだな…直接ドレスの相談をしたかっただろう…」


「はい…」


本当はそれだけではなく、私のせいでお姉様とお母様に何かあったら…


すごく不安です。


「メイ、大丈夫だからそんな顔をするな。」


「はい、アークお兄様…」


「さぁ、少しお茶をしよう。」


「そうだな、落ちついたほうがいい。」


「ラルフ様…ありがとうございます。」


お兄様に手を引かれてソファに座りました。


「メイは心配性だな。大丈夫、何も問題ないよ。」


「そう…ですよね。」


そうよね。


お父様やお兄様達が頑張っているのだもの。


「そういえば、フルートはだいぶ上達したのだろう?」


「あぁ、メイド達が時間が合えば聴きに行っていたな。ここでは演奏してくれないのかい?」


「ここはお兄様やラルフ様がお仕事をしているもの。邪魔できないわ。」


「落ちついて仕事が出来るかもしれないよ。」


「それはありがたいな。」


「そうでしょうか?お兄様は大丈夫だと思いますが、ラルフ様は固まったりしませんか?」


「…あり得るな。殿下…早く慣れてよ?」


「それは…メイリンが美しいのだから仕方がないだろう?」


ラルフ様は話の途中で褒めてくれるのですが、予測していないから嬉しいけど照れてしまいます。


「だから殿下。部下の前で口説くなよ。」


「アークも褒めるではないか。」


「私は兄ですから。」


「うっ…」


「ではお仕事が終わった後なら…」


「アーク。早く仕事をするぞ。」


「チョロいな。」


「なんか言ったか?」


「いえ、別に。」


「ふふっ。」


本当に仲が良いですね。


私はお兄様とラルフ様がお仕事をしている間に読書をしています。


しばらくすると、アークお兄様が部屋を出ていきました。


「あの…ラルフ様。お兄様は?」


「コールマン公爵から呼び出されたので少し出てくると言っていた。」


「…何かあったのでしょうか?」


「どうだろうな?難民の件か絵師の件の情報交換ではないか?」


「そうですよね。」


「少しと言っていたのだからメイリンが気にするほどの事ではないのかもしれん。」


「はい。」


ラルフ様はそう言ってくださるけど、申し訳ないと思っているからどうしても気になってしまいます。


「メイリン、こちらへ。」


「はい。」


どうしたのかしら?


ソファに座り、横に座るようにぽんぽんと叩きました。


「ラルフ様?」


ラルフ様は手をとり指先に口づけをしました。


「何を…」


「メイリン、今は私の事を気にしてくれ。アークの事ばかり気にしているのは寂しいぞ。」


「寂しい…?」


「私の婚約者殿は私以外の者の事ばかり考えているのだ。少しは私の事を考えてほしいと思ってな。」


「…ラルフ様の事を?」


「嫌か?」


「いえ…ラルフ様の事も考える事もあります。」


「そうなのか?」


「はい。ラルフ様はいつもどのような事を?」


「あー…それは…」


「それは言いづらい事を?」


「…」


ラルフ様は顔を赤くしていました。


「ふふっ、お顔が赤いです。」


「うっ…メイリンはどんな事を考えているのだ?」


「はい。アークお兄様と仲が良いのを見ていると私といるよりも楽しそうだなとか。あとはラルフ様はどうしたら固まらなくなるのかしらと考えたりしていました。」


「あー…なるほど。固まらなくなるのはどうしたら良いかは思いつかないな。メイリンが会う度に美しくなるのだから。」


またさらっと口説かれているのかしら…?


「ありがとうございます。でも会う度にだとすると毎日ですが…?」


「もちろん毎日だ。」


そんなに変わらないと思うのですが…


「私は侍女達から着飾ってお会いするほうが喜んでくださると言われて…着飾らないほうがいいのですか?」


「いや、どんな装いでも美しいが…私の為に着飾ってくれるのはとても嬉しい。」


「そうですか?では今後も続けますね。」


「あー…可愛い。」


「あの…ラルフ様。なぜ抱きしめるのですか?」


ぎゅっと抱きしめられました。


ラルフ様の鼓動が聞こえて…


「ラルフ殿下。」


「お兄様!」


「変なこと、本当にしていないでしょうね?」


「大丈夫だ。」


「それで、今の状況は?」


お兄様が怒っている?


「アークもしているではないか…」


「私の妹ですから。」


「お兄様。用事はもう済んだのですか?」


「あぁ、大丈夫だよ。ただの状況報告だから。」


「…また何かあったのですか?」


「殿下。とりあえず離してくれない ?」


「…わかった。」


ラルフ様はゆっくりと離してくれました。


「絵師は他国の者かもしれません。それに複数いると思われます。」


「複数か…」


「とりあえず、婚約式は予定通り行います。」


「そうですか。 ドレスはどうしたらいいですか?」


「仕立て屋を複数人呼んで、メイとミリムの意向を聞いて相談しながら決めていくことになったよ。」


「仕立て屋が中間に入って決めていくのですね。わかりました。」


「難民についてはまだ交渉中みたいだね。」


「早く交渉が終わるといいですね。」


難民が望む結果が出るといいのだけれど…


私の絵姿よりも気になります。


それに仕立て屋さんは出入りしても問題ないのかしら?


気になる事が多すぎて頭がいっぱいいっぱいになってきました。


「メイは気にしなくていいよ。」


「私達を信じて任せておけ。」

 

「はい。」


お兄様とラルフ様がこう言ってくれているのだもの。


きっと大丈夫よね…


その後少しお話をして眠りました。






「……っ!!」


『メイリン様っ!大丈夫ですかっ!?』


「はぁ…ごめんなさい。夢を見てしまっただけよ、大丈夫です。」


『そうですか…汗を流して着替えましょうか。』


「えぇ…お願いします。」


お風呂に入って着替えました。


『メイリン様。ホットミルクです。』


「ありがとうございます。」


少し落ち着きました。


きっと不安だったから夢を見てしまったのね。


午後から仕立て屋が来るし、朝食を一緒に食べるのだから早く寝ないと。





『メイリン様、おはようございます。お目覚めですか?』


「おはようございます…やだ、お寝坊してしまったわ。」


『…昨夜遅かったですから。』


「そうね…お兄様達はもう朝食を?」


『いえ、メイリン様と朝食をとると言ってお待ちしています。』


「それでは、急がなくては!」


『はい、すぐお仕度をしましょう。』


急いで仕度を…


でも…いつものようにおめかしさせられました。


急いで食堂に向かいました。


「アークお兄様、ラルフ様お待たせして申し訳ありません!」


「メイ、おはよう。大丈夫だよ。」


「おはよう、メイリン。大丈夫、そんなに待っていなかったからな。」


「…ありがとうございます。」


アークお兄様もラルフ様もお腹空いていたのではないかしら?


ラルフ様は今日は固まらなかったし…


「今日は婚約式のドレスの仕立てだったか?」


「はい、午後からです。」


「どんなドレスでもきっと美しいだろうな。楽しみにしている。」


「はい、ありがとうございます。」


「あー…やっぱり心配だな。」


「心配…ですか?」


「仕立て屋は女性ではないのだろう?」


「そうですね。」


異性だから?


「メイはあまり近寄ってはいけないよ。」


「…わかりました?」


「メイリンはどんどん美しくなっているから用心するのだぞ。」


「…美しくなっている?ですか?」


「そうだよ。気をつけなきゃダメだよ?」


「はい。」


そんなに変わっていない気がしますが…


でも用心はしなければならないわね。


絵師のことなどまだまだ問題もあるから。


食後にアークお兄様とラルフ様はすぐにお仕事を始めました。


私はその側で読書をするようになりました。


お忙しいのに私を守る為に側にいてくださっているのです。


昼食後に仕立て屋さんがやってきました。


「メイリン、本当に私達がいなくても大丈夫か?」


「同じ離宮の中ですもの。侍女も護衛も近衛兵もいるのですから大丈夫です。」


少しして仕立て屋さんがやってきました。


「ラルフ様、アークお兄様。行ってきますね。」


「わかった。君達は必ずメイを守ってくれ。何かおかしな事があれば知らせるように頼むよ。」


『はっ!』


「アーク、やっぱり私が…」


「殿下は絶対に駄目です。」


「なぜだ。」


「婚約式のドレスですよ?当日まで待つべきでしょ?もし行くなら私が行くからね。」


「お兄様、大丈夫ですから。」


「わかったよ。」


心配してくれた事にお礼を言って客室に向かいました。


もうひとりの仕立て屋さんはお姉様の所に行っているそうで、

お姉様の希望を聞いてくるようです。


私の希望を聞かれたけれどあまり希望はないです。


それでも何かないかと聞かれたので、物語の挿絵のドレスを思い浮かべました。


一応その一着だけ話しました。


珍しいデザインのもので、すごく大人っぽいドレスです。


お姉様はきっと似合うと思いますが…


それから採寸をしました。


デザインを描いている所を見たら絵姿と同じ…


「あの…仕立て屋さん、その絵姿は…」


『うっ…』


「あなたが絵姿を描いていたのですか?」


『……』


「なぜ…」


『メイリン様!離れてください!』


「えっ?」


油断してしまいました…


後ろから縛られてしまい、護身術が使えません…


『メイリン嬢…初めてお会いした時のこと覚えていますか?』


「海に行く時のドレスをお願いした時ですか?」


『はい。あの時にあなたを飾りたいと思ったのです。』


飾るって…どういうことでしょう?


『メイリン様。もうすぐ殿下とアーク様が参りますから。』


「あ…はい。私を飾るということと絵姿は何か関係があるのでしょうか?」


『色々な格好をさせた絵姿を描きました。思いの外、素晴らしい出来だったので知り合いが買ってくれたのです。』


「ではお金になるから?」


『それもありますが…あなたの身体に触れて、好きなポーズをさせて鑑賞したいのですよ。』


「ポーズ?それで絵姿を?」


『はい。仕立て屋になってあなたに初めてお会いした時になぜあなたの事を知らなかった事が悔しかったのです。』


悔しい?


「なぜ悔しがる必要があるのでしょうか?」


『あなたの事を城下でも知られていませんでしたし、貴族の間でも情報が伏せられていると聞きました。ですが、あなたほど美しい方を隠して殿下の婚約者とするなんてずるいではありませんか!』


「ずるいのでしょうか?仕立て屋さんが知らなかったとしてもご迷惑はおかけしていないですよ?」


『これほど美しいのだから共有すべきです!』


えー…


どのように共有をするのでしょうか?


「メイっ!」


「メイリンっ!」


「アークお兄様!ラルフ様!」


「お前…仕立て屋がこんな事をして許されると思っているのか!」


『許し難いのはコールマン公爵家と王家ではありませんか。コールマン公爵令嬢を閉じ込めて独占するなんて…』


「ラルフ様、お兄様!この仕立て屋さんが絵師です。」


「メイ、動いてはダメだよ。」


「はいっ!」


アークお兄様とラルフ様が来てくれた…


『コールマン公爵令嬢はこの国で間違いなく一番美しい。それを妃にする為に隠し続けるのはおかしいではありませんか?』

 

「きゃっ!?」


「メイリンっ!」


「メイっ!」


『見てください!この美しい肌の色艶。こんなに吸い付くような肌と透明感。それにこの身体のライン。この胸の膨らみ…』


気持ち悪い…


「その手を離せ!」


身体をたくさん撫で回されて涙が…


『あぁ…涙もまた美しい…』


「メイリンっ!」


本当に気持ちが悪い…


『耳の形まで美しい…』


「やめろ!」


『あなたの肌はどのような味がするのでしょう?』


「メイ!しゃがんで!」


『うわっ!?』


「ジャンお兄様!」


『くそっ、後ろからなんて卑怯だな…』


「メイ、こちらへおいで!」


「はい!」


アークお兄様が手を引いてくれました。


「卑怯?仕立て屋の立場を利用してメイリンを縛りあげておいてどの口が言うのだ。」


『まぁ…私がもし捕らえられたとしてもメイリン様をこの手で触れる事が出来て満足したからいいか…』


「捕らえろ!処刑は免れないと思え。」


『処刑だと?絵姿を描いただけだろ!』


「王子妃になるメイリンを縛りあげたのだ。当然だ。」


怖い…

 

震えが止まりません…


「メイリン、大丈夫か?」


「メイ、ほら。大丈夫だよ?」


アークお兄様とジャンお兄様が抱きしめてくれて少し落ちついてきました。


仕立て屋さんは近衛兵に捕らえられて連行されていきました。


「メイリン…早くに助けられなくてすまなかった。」


「謝らないでください。ラルフ様もアークお兄様もジャンお兄様もアダム様も…助けてくださってありがとうございました…」


震えがまだ止まらなくてジャンお兄様が抱きかかえてくれました。


ラルフ様もアダム様も歯をくいしばっていて…


「ラルフ様、アダム様。お二人ともそんなに辛そうなお顔をしないで?」


拳も握りしめていて血が出てしまいそうだったので、手を開いてあげました。


「メイリン…すまない…」


「守ると約束していたのに…」


「それより、メイは身体を洗っておいで?」


「あ…はい。ラルフ様、あとでお話をする時間をいただけますか?」


先ほど身体をたくさん触られてしまいました。


こんな私では王子妃になんてなれないのではないかと心配になってしまったのです。


もしも、嫌だと言われたら…


不安になってしまったのでお話をしようと思います…


「…わかった。夕食後に部屋においで?」


「はい…」


やっぱり…


駄目かもしれません。


もしも駄目だと言われたら…


二度と結婚の話は断りましょう…


なぜかラルフ様じゃなければ嫌だと思ってしまいました。


泣きそうなのを我慢していると

ジャンお兄様がお風呂まで運んでくれました。


「メイ、大丈夫。心配いらないからな。」


「…ジャンお兄様。婚約は無くなってしまいますか?」


「メイはそれを気にしていたのか?」


「はい…身体をたくさん触られてしまいました。きっと嫌になってしまったと…」


「メイ。そんなことでメイとの婚約を無しにすると言われたら、仕事を辞めるからどこか遠くに行こう。私達はそんな薄情な主には仕えたくないからね。」


「はい…申し訳ありません…」


お兄様は頭を撫でて、部屋を出ていきました。


侍女を呼んで身体を洗ってもらい、ラルフ様のお部屋へ行くことにしました。


『メイリン様。先ほど身体を触られてしまったと言っていましたが、あれは事故です。そんなにご自身を責めないでください。』


「でも…」


『そんなことで婚約を白紙にするような方ではないと思いますよ。』


「…そうだといいのだけれど…」


夕食後にラルフ様のお部屋に行くと、ラルフ様以外はいませんでした。


「メイリン、今日は仕事を休む事にしたのだ。他の者達も休みにした。」


「申し訳ありません…」


「それよりこちらへ。」


「はい…」


『ラルフ殿下。お茶をお淹れしましょう。メイリン様のお気に入りのお茶を用意いたします。』


「頼む。」


『かしこまりました。』


『メイリン様、私達はお菓子をご用意して参りますね。』


「はい…お願いします。」


「話はお茶をしながらにしよう。」


「はい…」


お茶とお菓子が用意されて、侍女も執事も護衛や近衛兵も部屋から出ていきました。


「なぜふたりきりに?」


「メイリンは聞かれたくないのではないかと思ったのだ。ちゃんとコールマン公爵に許可はもらったから大丈夫だ。」


「…ありがとうございます…」


やっぱり婚約をやめるということよね…


「それで、メイリン。話とはなんだ?」


泣きそうなのを我慢してラルフ様に話を切り出しました。


「ラルフ様…婚約は解消されてしまうのですよね?」


「待て待て。なぜそんな話になったのだ?」


「あの後嫌そうな顔をしていたので…たくさん身体を触られてしまったからでしょう?」


ラルフ様はすごく驚いているけど…違うのでしょうか?


「私よりも先にあの者に身体を触られたのは悔しかったが…あれは事件でメイリンは被害者だ。」


「はい…」


「でもそんなことで婚約は解消しない。私は絶対にメイリンと結婚をしたい。メイリンはどうなんだ?」


良かった…


ラルフ様と結婚は出来るのね?


私が嫌なわけではなかった…


「メイリン…泣かないでくれ。」


ラルフ様は抱きしめてくださいました。


「メイリンがもしもう少し大人だったら危なかった…」


「どういうことでしょうか?」


「そうだな…抱きしめて口づけをして触られたところを私が触れて…あー…」


ラルフ様が…?


そんなことを考えていたなんて思っていなかったから恥ずかしくて思わず顔を隠しました。


私よりも大人だからでしょうか…?


大人はそのように対処するのかしら?


とりあえず…大人じゃなかったら私はラルフ様にたくさん身体を触られていた…?


「メイリン?」


「…大人じゃなくてごめんなさい。」


「それは気にしなくていい。」


「はい」


しばらくラルフ様に抱きしめられていました。


「メイリン…やはり少し触られていた所に触れさせてくれないか?」


「………」


え?


「消毒というか…あの男に触られたままでいるのは…」


一気に心拍数が上がった気がしますが…


これはなんてお答えすればいいのでしょうか?


たしかにまだ感覚が残っていて気持ちが悪いのですが…


「…メイリン?」


「あ…はいっ」


ラルフ様がとても心配してくださっているので、


考えていると…


「メイリン。顔をあげてくれないか?」


「…はい…」


顔をあげるとラルフ様のお顔が目の前に…


「目を閉じて?」


言われるまま目を閉じると口づけをされました。


前にもしましたが…


心拍数がかなりあがっていて痛いくらい…


ドキドキしているのですよね?


抱きしめられたままどうしたらいいのか答えられずにいると、


ラルフ様の手のが…


犯人が触った所を撫でて…


恥ずかしくていたたまれない…


「メイリン、今触られて嫌な気持ちか?」


「えっと…恥ずかしくて身体が熱くなっている気がします。」


「そうか…では目を開けてくれるか?」


「はい…」


ラルフ様はゆっくりと身体に触れていきます。


「婚約式をあげたら…少しスキンシップを増やしてもいいだろうか?」


「え?」


スキンシップを増やす?


今身体を撫でられながら言われたから、


今みたいに身体を撫でられるのかしら…?


それは婚約者なら普通…


妃教育で結婚初夜のことは教えられましたが、


婚約期間については教えて頂いていません。


「…すまない。少し欲が出た。あとはどこを触れられて気持ちが悪かった?」


う…


あと気持ちが悪かったのは耳や胸だけれど…


「言えないか…私が覚えている所に触れるから。」


恥ずかしくて心臓が壊れてしまいそうです。


あ…


「メイリン…好きだ。」


「え…」


急に言われて心臓がもっと壊れそうになりました。


「あの…ラルフ様。」


「どうした?」


「あの…もう…」


「この事は誰にも言ってはならない。」


「…言えません…」


「…そうだな。」


今のことは…秘密です。


そして恥ずかしすぎて誰にも言えません。


ドアを叩く音が聞こえました。


「メイリン…すまないが泣いていたことにしてくれ。」


「…はい」


『ラルフ殿下。メイリン様は大丈夫ですか?』


「あぁ。もう大丈夫だ。」


『では、お部屋に戻られても大丈夫ですか?』


「私が部屋まで連れて行こう。」


ラルフ様に抱えられてお部屋に戻りました。


「ではメイリン。おやすみ。」


「おやすみなさい、ラルフ様。」


私…こんな事をされたらラルフ様以外と結婚なんて出来ないと気づきました。


ラルフ様はわかっていてこのような事を…?


『メイリン様。ホットミルクをお持ちしました。』


「ありがとう…」


ホットミルクを飲んで眠りにつきました。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ