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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
ダブル婚約式へのカウントダウン
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新たなトラブルに巻き込まれた悪役令嬢

先日お父様から聞いた難民の件がとても気になっています。


コルンはともかく、カルミナの難民がどのくらい来ているのでしょう?


私に詳細が知らされないのはお忙しいからでしょう。


『メイリン様、アーク様とラルフ殿下がいらっしゃいました。』


「はい、お入りになって頂いてください。」


『かしこまりました。』


もうお茶の時間なのですね。


先日からお兄様とラルフ様はお茶の時間と夕食は必ず一緒になりました。


それがとても嬉しいです。


「メイリンは今日も綺麗だな。」


「ラルフ様、アークお兄様。ごきげんよう。ラルフ様、毎回褒めなくても…」


「今日も私の妹は美しいね。それと殿下。ボキャブラリーが少なくないですか?婚約者なんだからもう少し他の褒め方を考えたら?」


「アークはいつも同じではないか。」


「私は家族ですから、いつも通りに褒めるだけですよ。いつだって可愛くて美しいのだから。」


「ふふっ、アークお兄様もいつも素敵ですよ?」


「アークは素敵なのか…」


「ラルフ様も素敵です。」


「ついでのように聞こえるのだが…」


「殿下、拗ねないでくださいよ。」


「いつも、ラルフ様を褒めるタイミングがないのです。」


「タイミングがないとはどういうことだ?」


「お兄様と一緒にお話をしながら褒めたり、ご挨拶をすると固まってしまったりするので…」


「そうそう。殿下が状況を作ってるんだよ?」


「…そういえば、思い当たる節があるな。すまない、メイリン。」


「ふふっ、大丈夫です。」


「そうか、良かった。」


「ラルフ様とお兄様は今日もお忙しいのですか?」


「そうだね。難民の問題と侵入者を雇った国の問題がまだ解決していないからもう少し時間がかかりそうだよ。」


「だが、メイリンは心配しなくていいぞ。明日はミリム嬢と婚約式のドレスを作るのだろう?」


「はい、朝からお姉様とお母様と一緒なのです。」


「メイと姉上がふたりとも王家に嫁ぐ事になるなんてね…」


「まだ納得していないのか?」


「わかってますよ。メイと姉上以上の良縁がないのですから。でもねー。」


「お兄様はイヤなのですか?」


「うーん、どっちもかな。側近としては殿下にはメイが一番相応しいと思うけど、寂しいよ。」


「アーク…」


「お兄様、でも私は妃になってもお兄様の妹です。」


「わかっているよ。」


お兄様はぎゅーっと抱きしめてくださいました。


『メイリン様。先ほど料理長が焼き菓子を作ったようですが、お持ちしますか?』


「はい、ぜひお願いします。ラルフ様とお兄様も召し上がりませんか?」


「焼き菓子か、いいね。ぜひ食べたいな。」


「私もいただこう。」


「私のお誕生日の日に侍女やメイド達が料理長と一緒に考えて新しいお菓子を作ってくださったのです。」


「メイリンの為に?」


「はい。とても美味しいのですよ。」


「そうなのか。メイは侍女やメイド達にも愛されているんだな。」


「そうだな。時々羨ましいと思う。」


「ふふっ、ラルフ様も愛されていらっしゃると思います。」


「そうだろうか?私は誕生日に執事や側近達に何かしてもらったことはないぞ?」


「そうなのですか?」


「そういえば…ないね。まぁ、殿下が何かしてくれる事もないんだけど?」


「あー…それもそうか。」


「ふふっ、私に関わってくださる方達には感謝しかありません。」


『メイリン様…メイリン様、お持ちいたしました。先ほど焼けたばかりですよ。』


出来立てはとても美味しいのです。


「ラルフ様、お兄様。最近の私のお気に入りなのですよ。」


「そうか。…これは新しい!美味しいね。」


「では、私もいただこう。」


「はい。」


お兄様はとても気に入ったようです。


「これはとても美味しいな。今度から料理長に夕食後、この焼き菓子を用意してもらおう。」


「いいですね。執務が捗りそうだ。」


「あとで伝えておきますね。」


「あぁ、ありがとう。それにしても、メイリンの料理人は素晴らしいな。」


「ふふっ、一緒に新しいお菓子やお料理を考えて作るのです。お父様やお兄様達とラルフ様に喜んで欲しくて。」


「あー!もう、本当に可愛い!殿下にもったいない!」


「アーク。メイリンが可愛いのは当然のことだが、もったいないとはどういうことだ?」


「そのままだけど?」


お菓子をとても気に入ったようで、手が止まらないみたいです。


食べながら言い合いをしています。


「あ…すまない、メイリン。つい…」


「ふふっ。大丈夫ですけど、もう少しゆっくり召し上がってくださいね。」


「そうだね、ごめん。」


ラルフ様とお兄様がしゅんとしてしまいました。


「メイリン、フルートがだいぶ上達したのだろう?」


「近衛兵達が練習をしている部屋の前で感動していたよ。」


「さすがに仕事をしろと言ったが。」


「そうなのですか?まだまだです。でも、窓を開けて演奏していると小鳥さんとリスさんが来てくれるようになりました。」


「そうか。では、明日の休憩の時に聴かせてもらおうかな。」


「私も聴きたい。」


「わかりました。では、頑張って練習しなければ…」


まだまだ、上達していないと思うけれど…


喜んで頂けるなら。   


「メイリン、難民のことだが父上とコールマン公爵が片づけるようだ。」


「そうそう。政治がだいぶ絡みそうでね。」


「そうでしたか。」


「難民救済の事はきちんと他国との折り合いをつけるけど、それまでは難民の受け入れはしない事になったんだ。」


「それでは難民達はどのように生活をするのですか?」


「とりあえず、一度国に戻ってもらうそうだよ。」


「事情を話して納得させたらしい。このまま難民を受け入れ続けるとこの国も難民達の国と同じようになってしまうからな。」


そうよね…


難民が押し寄せてきても多くなればその分、国の負担は増えてしまう。


国民の負担も増えていく。 


無限ループ…


それでは意味はないでしょうね。


「そんな顔をするな。きっと父上とコールマン公爵が話をまとめてくれるはずだ。」


「はい。きっとお父様なら。」


「殿下、そろそろ執務に戻りましょう。殿下だけ夕食に間に合わなくなるから。」


「それは困る!今日もメイリンと夕食を食べたい!」


「執務は出来るだけ翌日に持ち越さないようにしないと時間の調整が出来なくなりますからね。」


「ふふっ、頑張ってくださいね。」


「こら。首を傾けると可愛すぎるから気をつけないと。」


「申し訳ありません…でも無意識なので少しは許してくださいね。」


「まぁ…わかっているんだけど殿下が固まるから気をつけて。」


「そうですね、気をつけます。」


ラルフ様…真っ赤になって固まってしまいました。


特に意識していないので、私にはどうすることもできないのですが…


出来るだけ気をつけます。


固まるラルフ様を横目にお兄様は焼き菓子を食べ続けていますが、いいのかしら?


「そういえば、メイは婚約式の準備は進んでるのかい?」


「ドレスをお姉様と仕立てるのですが、お姉様とお会いできないので…」


「あー…そうだった。あとで相談してくるから待っていて。」


「はい。」


「そろそろ殿下を連れて行くよ。ほら、殿下!」


「…あー…すまない。メイリンが可愛すぎてどうしたらいいのか考え」


「それは今はいいから執務に戻りましょう。」


「ふふっ。ラルフ様、アークお兄様。頑張ってくださいね。」


「頑張ってくるよ。また夕食の時に。」


「はい。」


「私も急いで執務を終わらせる。」


「はい、お待ちしています。」


ラルフ様はお兄様に引きずられるように部屋を出ていきました。


お兄様…無礼がすぎるのでは?


でもラルフ様は気にしていないようだからいいのかしら?


そうだわ。


明日フルートを披露することになってしまったから練習しなければならないわね。


その後は夕食の時間までフルートの練習をしました。






『メイリン様。そろそろ準備をしましょう。』


「あ…ごめんなさい。」


集中してしまったようでだいぶ暗くなってきました。


『メイリン様、先ほど城下に行ってきたメイドが…』


「…どうかしたのですか?」


『はい…連れてきてください。』


『わかりました。』


何があったのかしら…?


ふたりのメイドを連れて侍女が入ってきました。


『こちらのメイドがこんな物を見つけたようなのです。』


え…


絵ですか?


「こちらの絵がどうされたのですか?」


『よくご覧になってください。』


手にとってみると…


「これは…私ですか?」


とても私によく似ている女性の絵でした。


『はい。こちらの絵が路地で売られていました。』


「でも私…ではないのですよね?」


空想の絵ではないのかしら?


たまたま、とか。


『いいえ、メイリン公爵令嬢の絵姿として売られていたのです。』


『最近、城下で人気だそうです…。』


「絵師が私を見たということですか?」


『はい…』


「す、すぐにお父様を呼んでください!あとはアークお兄様にも…」


『かしこまりましたっ!』


どうして私が…


街に行ったのは一度だけ観劇に連れて行っていただいただけです。


「メイっ!何があったんだ!?」


「どうしたのだ?」


「アークお兄様、ラルフ様!」


何か恐ろしいことが起きている気がするのです。


侵入者…


「メイリン、何があったか落ち着いて話をしてくれ。」


「メイ、座ろうか。」


「はい。」


「実は先ほどこちらのメイド達が城下でこちらの絵を…」


アークお兄様とラルフ様にメイド達が買ってきた絵姿を手渡しました。


「メイ…そっくりだね?」


「メイリンそのものではないか…」


「はい」


メイド達が購入した場所の事や私の名前で売られていた事などを詳細に話してくれました。


「いつからこんな絵姿が?」


『詳しくはわかりませんでしたが、商人はあまりに美しい絵だった為に買い入れしたそうです。』


本物かどうかは疑いはしたものの絵画としては素晴らしかったので買い入れて販売した所、


思いの外人気が出たそうです。


あまりに人気があったからとたくさん仕入れたらしく、


他の店でも販売されるようになったと…


「メイリンの名前で出ているとすると…」


「絵師は間違いなく、侵入者だろうね。」


「でも…いつ私を知ったのでしょうか?」


「わからない。」


「とりあえず、街中で流通している絵姿を全て回収しよう。」


「「メイっ!!」」


「お父様、ジャンお兄様!」


「大丈夫か?」


「一体何があったんだ?」


お父様とジャンお兄様に同じ話をして説明しました。


「それにしても…本当に素晴らしい絵師だな…」


「回収したら私の部屋に飾ろう。」


「回収して絵師を捜索しなければならないな。」


「そうですね。城下でどれだけの者達がメイを知っているかの調査も必要だと思います。」


「私はまたトラブルを…」


「安心しろ。私達がついている。それに、これはメイリンのせいではないのだ。」


「そうだぞ。メイはトラブルを起こしたのではなく、巻き込まれただけだ。」


「必ずこの問題は解決してみせるから安心していなさい。」


「はい…」


侵入者、内通者などあらゆる事を調査するということになりました。


「メイリン、寝る時以外は私の部屋にいるようにしてくれ。」


「それなら私達も安心だ。アーク、必ず守ってくれ。」


「私も守ってみせるからな。」


「はい。ご迷惑をおかけして申し訳ありません…」


「メイ…」


ジャンお兄様が私をぎゅっとしてくれて安心させてくれました。


「とりあえず、私は陛下に報告してくるからアークはメイから離れるな。」


「はい、父上。」


「ミリムもアダム殿下と一緒に守ってくれ。」


「当然です。大事な妹達が危険に晒されるなど許し難い。」


「ジャンお兄様、お姉様を守ってくださいませ!」


「メイ、任せてくれ。」


「ジャン、シエルも頼むぞ?悔しいが私は難民問題があるからシエルを守ってやれないからな…」


「わかっていますよ、父上。」


そう言ってお父様とジャンお兄様は部屋を出ていきました。


「さあ、メイリン。私の部屋へ。」


「行こうか。」


「はい。」


ラルフ様とアークお兄様にエスコートされてラルフ様の部屋に向かいました。


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