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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
ダブル婚約式へのカウントダウン
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二度も着飾る悪役令嬢

部屋が一番上の階になり、庭やテラスに出られなくなりました。


やる事もなく、何かないかと考えてフルートを買いました。


フルートは初めてですが、図書室にフルートの教本があったので練習中です。


お仕事の邪魔にならないように、少し離れた部屋を練習部屋に使わせていただいています。


『メイリン様は本当にフルート初めてなのですか?』


「はい。なかなか難しいですね?」


『本当に美しい演奏です。上達が早くて驚きました。まだ6日しか経っていませんよ?』


「ふふっ、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです。」


『お世辞なんてとんでもない!ピアノやバイオリンは小さい頃からやっていたと聞きましたが、初めてでこんなに美しい演奏が出来るなんて驚きました。』


「そうですか?」


まだそんなに上手く演奏出来ていないと思うのだけれど…?


『フルートの才能があったのですよ!』


『そうね、きっとそうだわ。』


「大袈裟よ?」


気づいたら、メイドも護衛や近衛兵達も部屋にいました…


「皆さん、お仕事は良いのですか?」


『ふふふっ』


慌てて仕事に戻っていきました。


護衛と近衛兵は笑いを堪えているようで、肩が震えています。


「練習なんて面白いことなんて何もありませんけど…?」


『何を言っているのですか?2日前にはもう素晴らしい演奏が出来ていましたもの。』


『皆、聴きに来ているのです。』


「…ありがとうございます…」


すごく褒められました…


『たくさん練習していましたものね?』


「それは…練習しなくては上達しないでしょう?」


侍女達は努力を褒めてくれました。


努力を褒められるのは嬉しいけど、少し恥ずかしいです…


『メイリン様、そろそろ殿下とアーク様とお茶をするのでは?』


「まあ!どうしましょう?」


『すぐに準備をしましょう。』


慌てて部屋に戻って仕度をしました。


「こんなに着飾る必要は…」


『いいえ。メイリン様は殿下とお会いする時は美しくなければなりません。』


「隣のお部屋にいらっしゃるのに?」


侍女達にたくさん言われてしまいました。


どんな時でもお相手の方に綺麗な姿でお会いするべきなのだそうです。


隣にいるとわかっていても、好きな方に褒めてもらえるように…


好きな方…


なんだかとても恥ずかしくなりました。


『メイリン様、殿下とアーク様がいらっしゃいました。』


「は、はい!お通ししてください!」


最近は客室ではなく、お部屋でお茶をすることになっています。


ラルフ様のお部屋は側近の方達がいるので私のお部屋で、アークお兄様と休憩に来るようになりました。


「ラルフ様、アークお兄様。ごきげんよう。」


「メイ!今日もやっぱり美しいよ!」


「アークお兄様、お仕事お疲れ様でした。」


「仕事の合間にメイに会えるから疲れを感じないよ。」


「ふふふっ」


ラルフ様はまだ固まったままです。


「殿下。いい加減に戻ってくださいよ。」


ラルフ様はいつ慣れてくれるのかしら?


「あ。すまん。」


「ラルフ様、お仕事お疲れ様でした。大丈夫ですか?」


「メイリンに会えたから大丈夫だ。」


「メイに会うとすぐ固まるのはどうにかしないとね。」


「仕方がないだろう?会う度に美しくなるのだから。」


「それはそうだけどね。」


「そんなにすぐに綺麗になんてなれないと思いますけど…」


「絶対に綺麗になっている。それに…今日も美しく着飾ってくれたのだろう?」


「侍女達がラルフ様と会う時は美しく見えるようにと…」


「メイはどんな姿も美しいと思うよ。」


「お兄様、言い過ぎです。」


「メイリンは謙虚だな…だが、アークの言う通りだ。」


「ラルフ様まで…」


侍女達がお茶を淹れてくれました。


「そういえば、メイリンはフルートを練習しているのだろう?」


「はい。なんとか演奏出来るようになってきました。」


「メイがフルートを練習していると近衛兵や護衛達がそわそわしているよ。」


「ふふふっ。練習なんて面白くないと思いますけど…」


「そうか?メイドが絵師を呼ぶべきだと言っていた。」


「何か演奏出来るようになったのかい?」


「やっと一曲演奏出来るようになった所です。」


「でも、独学でよく演奏出来るようになったね?」


「ふふふっ、たくさん練習していますから。」


「まだ始めて10日も経っていないのに凄いな。」


「メイ、聴かせて欲しいな。」


「まだそんなに上達していないのですけれど…」


「メイリン、私も聴いてみたい。」


「本当にあまり上手ではありませんよ?」


「「構わない」」


フルートを持ってきてもらって緊張しながら演奏してみました。


本当にまだ練習中なのですが…


「うん、美しい音色だったよ。」


「ありがとうございます。緊張しました。皆が褒めてくれるので頑張って練習しています。」


「そうだろうね。でも、バイオリンやピアノの演奏も美しいけど、フルートの演奏している姿も綺麗だよ。」


「姿、なのですね。」


「いや、姿も演奏も美しいよ。」


「ふふっ、そんなに褒められると照れてしまいますね。」


「ほら、殿下は美しすぎて固まっているよ?」


「え?」


ラルフ様は固まってしまっているようです。


「殿下、そんなに固まるなら仕事させますど?」


「…待て待て!?まだそんなに時間は経っていないのに!?」


「だって固まってるから。」


「メイリンの演奏している姿が美しすぎたのだ!感動するではないか。」


「やっぱり、姿…なのですね。」


ラルフ様が焦っています。


「違っ、演奏も素晴らしいがつい見惚れてしまったのだ。」


お兄様がとても楽しそうです。


「やはり、絵師を呼ぼう。」


「そうですね。いつでもメイを見ながら仕事が出来ますから。」


「お兄様まで…」


そんなに見ていても飽きると思いますけど、本気のようです。


「そうだ。練習を時々見に行こうかな。」


「メイドや護衛や近衛兵達も見に来ています。」


「それは職務怠慢だな。」


「まぁ…今の演奏を聴けばそうなると思うけどね?」


「もう…」


上手に出来るようになってから聴いて欲しいのに。


やる事がないから朝から夕方まで練習してしまうのよね?


「素晴らしい演奏だ。本当に。」


「ありがとうございます…」


「メイのことだ。きっとフルートを始めてからたくさん練習しているのだろう?」


「ふふっ、やる事がなくて練習してしまうのです。」


「やっぱり絵師を呼んで描いてもらおう。ピアノとバイオリンとフルートと庭の花に囲まれた絵が欲しいな。」


「殿下の部屋に飾ろう。」


「恥ずかしいです…」


「美しいのだから部屋に飾って毎日見ていたい。」


「隣の部屋にいるのにですか?」


「そうだけど、メイを見ながら仕事をするのは悪くないと思うんだよね。」


「メイリンに毎日会えるなら絵は必要ないのだが…」


「私も一緒でいいのなら時間の調整するけど?」


「アーク、いいのか?」


ラルフ様とお兄様に毎日会えるなんて素敵ですね。


でも毎日着飾るのかしら?


大変だわ。


侍女達もきっと…


侍女達は嬉しそうです。


「本当は続き部屋ですぐに会えるようにして欲しいのだが?」


「殿下。メイはまだ14歳ですからね?まだ早いですよ。それに我慢できるの?」


「うっ…我慢出来るぞ。」


ふたりで揉めています。


「危険ではないのだから平気ですよ?」


「いや、メイを前にした殿下は我慢出来なくなると思う。」


我慢…?


何を我慢するのでしょう?


「お兄様、ラルフ様。お時間は良いのですか?」


「え?」


「もうこんな時間ですけど…」


「あー…、アーク。時間が短すぎる。」


「殿下がもう少し仕事を効率良く進めてくれたら長めにとりますよ。」


「頑張るか。」


「メイ、ありがとう。おかげで休まったよ。」


「そうですか、良かったです。…夕食はご一緒出来そうですか?」


「アーク!夕食は一緒に食べたいのだが!!」


すごく強調していらっしゃいます。


「アークお兄様もご一緒出来そうですか?」


「うん。一緒に食べよう。」


「アーク…私に対する態度と違いすぎると思うぞ?」


「殿下、当たり前です。」


「くっ…」


「では、料理長に一緒に夕食をとると伝えておきますね。」


「ありがとう、メイ。」


「はい!」


ラルフ様とアークお兄様は言い合いをしながらお部屋を出て行かれました。


『メイリン様、良かったですね!』


「はい!」


あ。


うっかり元気良くお返事してしまいました…


はしたないですね…


料理長にラルフ様とアークお兄様と一緒に夕食をとることを伝えてもらいました。


夕食の時にまた着替えるのかしら?


侍女達が嬉しそうにクローゼットに向かったようなので、また着替えるのですね…


前世で聞いたことのある結婚式のお色直しのようです。


でも、着飾るとラルフ様やお兄様達が喜んでくださるので着飾るのは悪くないのかもしれません。


お兄様と食事をするのはとても楽しいです。


ラルフ様と食事をするのはとても楽しいですが、いつも固まってしまうので最初に緊張します。


そういえば…隣国や難民の方達はどうなったのでしょうか?


噂に関しては牧師様とお父様が頑張って調査をしてくれているそうです。


お兄様達は私やお姉様を殿下達と守る護衛としての役割があるということもあり、調査にまわれないとか…


お父様に申し訳ないです…


お姉様は私よりも極秘にされているので、本当に離宮のお部屋から出られなくなったそうです。


アダム殿下は、婚約者が決まったから離宮で婚約者を待っているということになっています。


まだお姉様が婚約者ということは周囲に知られていないようで、だいぶ探られているようです。


お父様とお母様、お兄様達は別の離宮に入る事になっていて婚約式後に移るみたいですね。


『メイリン様、だいぶ考え事をされているようですが…』


「あ…ごめんなさい。難民の方達はどうなったのかって考えていました。」


『お優しい…牧師様に難民の方達の為、寄付をされたと聞きましたよ?』


「私にはお金はほとんど必要がありませんから…必要な所に使っていただくのが一番ですもの。」


『メイリン様はお買い物をあまりされませんからね。本当に聖女のようですわ。』


「そんなことはないと思います。現実的な夢のない人間なのでしょう。」


夢はありません。


どうなりたいとかどうしたいという事がないのです。


ただ…漠然と幸せになりたいだけです。


『そろそろ準備を始めましょう。ドレスはどうされますか?』


「そうですね…お兄様もいらっしゃるので、可愛いドレスでしょうか。」


『それでは、いくつかお持ちします。』


「ありがとうございます。」


少しして侍女達がドレスやアクセサリーを持ってきてくれました。


こんなに…


『申し訳ありません。メイリン様に着ていただきたいドレスが多すぎて…』


「ふふっ、驚いてしまいました。」


侍女達はドレスの推しポイントを説明してくれました。


すごく力説されていますが…


空色のドレスにしました。


『アクセサリーはどれになさいますか?』


「お母様からいただいたアクセサリーにします。」


『こちらとこちらのどちらに?』


あ…


ピンク色のアクセサリーのセットにしました。


お母様は私の好みに合わせて、あまり派手にならない物を選んでくれていました。


私の髪の色と瞳の色の2種類もありました。


お母様の誕生日には私もお母様の髪の色と瞳の色の2種類を贈りたいと思っています。


『では準備いたしましょう。』


「はい、お願いします。」


お風呂に入ったり、ドレスやアクセサリーで着飾って髪を整えてくれます。


え?


「あの…こんなに口がテカテカしているのは大丈夫なのでしょうか?」


『ふふっ、テカテカではなくてぷるぷるですよ?』


「そうなのですか…」


『最近の流行の化粧品です。メイリン様、とても美しいです。』


こんなのは見たことがないです…?


あ。


ありました。


前世でお姉ちゃんがつけていたのを見たことがありました。


なんとも思いませんでしたけど…


「…似合いますか?」


ラルフ様やお兄様はなんていうかしら?


あまりきちんと化粧をする事がないので心配になってきました。


『はい、とても美しくてお似合いですよ。』


とりあえず、侍女や護衛達がすごい勢いで美しいと褒めてくれたのでお化粧を続けてもらいました。






しばらくして夕食の時間になり、食堂に向かいました。


お化粧が気になってそわそわしますけど…


ラルフ様とお兄様はなんて言うかしら?


変だと言われたら…


「本当にお化粧は変ではないかしら?」


『大丈夫ですよ。いつもより少し大人っぽい美しいお姿です。』


「そう…」


大人っぽい…


以前からよく言われていたわね。


でも、老けて見えるということではないかと複雑な気分でした。


『メイリン様、ラルフ殿下とアーク様がいらっしゃいました。』


「ラルフ様、お兄様。お仕事お疲れ様でした。」


「メイ…なんて美しいんだ。」


お兄様が走ってきてぎゅうぎゅうと抱きしめられました。


「…ありがとうございます。侍女達が頑張ってくれました。」


「………」


ラルフ様は…


また固まってしまいましたね。


「メイが美しすぎて固まるの、本当にやめてほしい。」


「お化粧…変だったでしょうか…?いつもと違うお顔で固まってしまいましたが。」


「そうだね。でも、よく見たら真っ赤だよ。」


「…本当ですね?」


「でも、本当に美しいな。妹じゃなかったら絶対に誰にも譲らないくらい綺麗だよ。」


「褒めすぎです、お兄様。」


「メイのこの姿を兄上やアダム殿下が見れないのは可哀想だな。」


そんなに綺麗に見えるのでしょうか?


「それにしても、殿下はいつまで固まっているんだろうね?」


「はい。どうしたらよいでしょうか?」


「あはは。私がなんとかするから先に席についていていいよ。」


「はい。」


なかなかラルフ様が戻らないのでどうしたらいいかわかりませんでしたが、お兄様がいてくださって良かったです。


ラルフ様が固まってだいぶたちました…


「すまなかった、メイリン!今までで一番美しすぎて思考が飛びすぎた!」


「殿下、いい加減なんとかしてください。メイが困るんだから。」


「いえ…でも、慣れて頂けると嬉しいです。」


「そうだな。わかった。うん、メイリンに会う時は必ず、一番美しいメイリンに会うと心積もりをしてくる。」


「あはは。それでも固まるかもしれないから…そうだな。毎日夕食を一緒にとるようにしようか。」


「毎日…アーク!いいのか!?」


「そのかわり、私も一緒ですからね。執務を抜けて食事をするんですから。」


「お兄様、無理はしなくても…」


「大丈夫だよ。夕食を早めにとるだけだから。そのかわり、私達の後に執務をしている他の側近達もここで食事をとらせてもらえるかい?」


「料理長に聞いてきます!」


『ふふっ。メイリン様、私が伺って参りますよ。』


「あ…お願いします。」


はしたないわ…


嬉しくてつい…


「メイリン。私は毎日一緒に食事をとるのはとても嬉しい。」


「夕食だけですよ?朝は時間が難しいですし、昼はタイミングがありますから。」


「私も嬉しいです。お兄様とも一緒に夕食を食べれるのも嬉しいです。」


「メイリン、今はアークを抜きにして喜んで欲しかったのだが…」


ラルフ様が拗ねてしまったような気がします。


「申し訳ありません…でも、賑やかな食事はとても嬉しいです。」


「そうだね。私もあまりメイと食事をとることはなかったし。」


「そうなのか?」


「殿下次第でしたからね。」


「うっ…」


「ふふっ。」


夕食を3人でとりながら、今後のお話をして部屋に戻りました。

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