アークお兄様にお友達自慢する 悪役令嬢
お兄様の教室に声をかけに向かった。
自慢しながら一緒に帰るつもり。
上の階にあるお兄様の教室へ。
お兄様もちょうど終わったようだ。
誰かがドアを開けたので、会釈をして教室を覗き込んだ。
「すいません、中に入ってもよろしいのでしょうか?」
「え?え?コールマン公爵令嬢?」
「あ、あの…お兄様をお呼びしていただけると…」
「メイ!」
「メイリン嬢?」
「お兄様!あら?殿下?」
「お兄様!一緒に帰りたくて、来てしまいました…」
「ごきげんよう、メイリン嬢。本当に仲がいいのですね(笑)」
「ごきげんよう、殿下。お兄様大好きなのです。」
「殿下、メイとあまり近づかないでいただけますか?迎えに来てくれるなんて嬉しいよ。」
「アーク。心が狭いぞ?」
「あ、あの…お兄様?」
「あぁ、気にしなくていい。さ、一緒に帰ろう。」
「アーク、少しは私に気を使え。」
「嫌ですよ。メイが関わらないことなら気を使います。」
「お兄様、殿下に失礼なのではないのでしょうか?」
「メイリン嬢、アークは仲が良い友人なのだ。気にしなくていい。」
「申し訳ございません、殿下はお兄様のお友達だったのですね?知りませんでした。」
「本当に気にしなくていいよ?さ、帰ろう。」
「はい!では殿下、失礼いたします。」
第二王子はお兄様のお友達だった。
驚いてしまったわ。
「まさか、メイが教室に来てくれるなんて思わなかったよ。」
「緊張しました…」
「頑張って声をかけてくれて嬉しいよ。」
「でも、殿下とお友達なんて知らなくて失礼を…」
「だから気にしてないって(笑)」
お兄様と帰りの馬車に乗り込んだ。
「それで、どうだった?」
「そうです!私、お友達が出来たのです!」
「それは良かった。」
「4人もお友達が出来たのです。」
「そんなにたくさん出来たのか?本当に嬉しそうだね。」
「はい、小鳥さんやリスさん、以外で初めてです!」
「あはは(笑)メイがこんなに喜んでいて私も嬉しいよ。」
「嬉しかったので、お兄様に自慢したかったのです。」
「私は1年でもメイと同じ学院生活出来るのが嬉しいよ。」
「はい、私もお兄様がいると心強いですわ。行きも帰りもご一緒出来ますね。」
「あはは(笑)きっと私は明日注目されてしまうな。」
「どうしてですの?」
「もちろん、メイの事で注目されるからだよ。」
「そういえば、お兄様。私は高慢で身分をかざしたりする令嬢だと思われていたようですわ。」
「あ、それはね。私も殿下も否定しているけど、信じてもらえなかったんだ。メイに会う機会がなかったみたいでね。」
「そうでしたの…。でも、お友達がイメージと違って可愛いと褒めてくださったのです!」
お友達の話をしたり、噂になっていた話をしながら家に帰りついた。
お兄様はニコニコしながら話を聞いてくれた。
家に着くと、お母様とお姉様が待ってくれていた。
「ただいま帰りました。」
「メイ!どうだった?いじめられたりしなかった?」
「お友達は出来ましたの?」
「大丈夫です。お友達が4人も出来て、たくさん可愛いと褒められましたわ!」
「まあ!素敵なお友達が出来たのね?お祝いしましょう!」
「うふふ、ありがとうございます。」
「帰りの馬車の中でずっと友達の話をしていたよ。」
「そんなに仲良くなれたなんて!良かったわ。心配していたのよ?」
「はい、私もすぐにお友達が出来て嬉しいです。」
「そうそう。わざわざ私の教室に迎えに来てくれた。」
「あら?他の教室に行くなんてとても頑張ったのね。」
「私だけメイと一緒に学院に行けて嬉しいよ。」
「羨ましいわ。私が一緒だったら自慢しながら歩きますのに。」
「そうなのですか?私が自慢になるのでしょうか?」
「それはもう、自慢しまくりますわ!」
「私も明日は自慢するよ。殿下にはもう自慢して来た(笑)」
「お兄様ったら殿下とお友達でしたの。失礼な言動をしていて驚いてしまったわ。」
「私は殿下の側近だしね。」
「なんにしてもメイが可愛いということを理解してくれるお友達が出来て良かったわ。」
「はい!」
今日の出来事をたくさん話して自室に向かった。
夕食まで時間があるので、
庭に出てバイオリンを弾いた。
小鳥やリスが来てくれたので、お友達ができた事を話した。
少し、肌寒くなってきたので自室に戻ってお茶を淹れてもらった。
まだ夕食まで時間がある。
暇だったので、
ハンカチに刺繍をしていた。
今使っているハンカチは小鳥とリスの刺繍がされた水色のハンカチだ。
せっかくだから、薄紫のハンカチにも刺繍しようと思って。
お兄様にもあげようかしら?
夕食の時に聞いてみよう。
夕食時にダイニングに向かうとご馳走が用意されていた。
ケーキまで用意されていて笑ってしまったわ。
「メイ、入学おめでとう。もう友達が出来たって?」
「はい、お父様。お友達が4人も出来ましたの。」
「今日のメイはキラキラしているわね。」
「メイには初めての友達だからね。」
「はい、とても嬉しくて。お友達が私の事を可愛いってたくさん褒めてくださいましたの。」
「メイが可愛いって理解してもらえたのか。私も嬉しいよ。」
「お友達は私が高慢な令嬢だと思っていたらしくて、意外と奥ゆかしくて可愛らしいと言ってくださったのよ?」
「馬車の中でずっと友達の話をしていて私も笑ってしまいました。」
「なぜ?」
「メイからそんなに楽しく話を聞いたことがなかったからね。」
アークお兄様はとにかく喜んでくれた。
「私は卒業したことを後悔してしまったもの。」
「どうしてお姉様が後悔を?」
「決まっているじゃない。メイと学院に一緒に行けなかったし、自慢が出来なかったのよ?」
「それは羨ましいね。私も自慢したかったな。」
「ジャンお兄様もお姉様も私の自慢なんてしてどうするのですか?」
「可愛らしい事を知らしめて、羨ましいだろう?って言いたかったよ。」
「もちろん在学中にメイが優秀ですごく可愛らしい事を自慢をたくさんしていましたけどね。」
「そうそう、2人で布教活動をしていたな(笑)」
「まあ!そんなことをしていたのですか?」
「中にメイに婚約の打診をして断られた奴がいて、仲を取り持って欲しいと言われたよ。」
そんなことがあったのね?
ジャンお兄様とお姉様が学院でたくさん自慢をしていたことも驚いた。
でも、お父様が陛下や陛下の側近に。
ジャンお兄様が第一王子とその側近に自慢をしていることに驚いた。
現在進行形で自慢しているのよ?
「まあ、そんなに自慢しているなんて。」
「そういうお母様だってお茶会で自慢しては婚約の話を断っているじゃない。」
「え?」
お母様も自慢をしていたらしい。
「私の自慢だけですか?お兄様やお姉様だっていらっしゃるのに…」
「もちろん、ジャンもアークもミリムも自慢してますわよ?」
「そうそう。陛下に家族自慢をして、娘の自慢が一番悔しがるから楽しくてね。」
「私も殿下に妹自慢をして羨ましがられているよ。我が家の弟も妹も優秀で気立ても良くてってね。」
なんてことだ。
自慢をしている話でこんなに盛り上がるなんて(笑)
「あ、そういえばアークお兄様。今ハンカチに刺繍をしているのです。プレゼントしたら喜んでいただけますか?」
「いいのか!?ぜひ貰いたい!」
「ずるいわ!メイ、私も欲しいわ!」
「そうよ、私も欲しいわ。」
「なんの刺繍をするんだい?私も欲しいのだが。」
「そうだな、私も陛下に自慢するよ。」
「そうですね、喜んでくださるなら作りますわ。」
「じゃあ私は剣がいいな。」
「それはいいね。私も剣にしてくれるかい?」
「お父様は?」
「そうだな、私は馬車にしてくれるかい?」
「ふふふ、わかりましたわ。」
「あら、じゃあ私はメイと同じリスと小鳥がいいわ!」
「まあ、ミリムは欲張りね(笑)私はお花がいいわ。」
「わかったわ、可愛らしいのを作りますね。」
思いの外喜んでくれるようだ。
学院が終わった後の時間は有意義に過ごせそうだ。