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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
ダブル婚約式へのカウントダウン
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第二王子と夕食をとる悪役令嬢

離宮に戻り、自室でお茶をすることにしました。


『メイリン様、元気を出してくださいね。』


「ありがとう、でも大丈夫よ?」


『無理はしなくてもいいですよ?』


『そうですね。メイリン様は我慢をしすぎです。』


「そう…かしら?」


『内緒にしますから、愚痴などあれば聞きますよ。』


「ふふっ、ありがとうございます。」


『そうでした!メイリン様に私達から贈り物を。』


『喜んで頂けるといいのですが…』


『お誕生日おめでとうございます。』


侍女やメイドなどみんなで贈り物を用意してくれていたようです。


「可愛いクッキーですね!みんなで作ってくれたのですか?」


『はい。メイリン様からたくさん試食をさせて頂いていたので、みんなで味や食感を研究したのですよ。』


「ふふっ、ありがとうございます。うさぎさんも小鳥さんもとても可愛いです…もったいない気もしますね?」


『ぜひ食べてくださいっ!』


『そのために作りましたから。』


「そうですね。護衛のみんなもですか?」


『いえ…我々は、こちらを。』


「ありがとうございます。花の種かしら?」


この種はかすみ草のようなピンクの小さなお花だそうです。


「あとで種を撒きますので、お庭の確認をお願いします。」


『かしこまりました。』


お茶の準備がされて、早速クッキーを食べてみました…


え?


カ●トリーマ●ムのような柔らかいクッキーだわ!?


「とても美味しいです。小鳥さんとうさぎさんは少し違う種類なのですね?」


『はい。ミルクティーのような味とココア味を作ってみました。』


ふふっ、とても形が難しかったのね。


普通のクッキーというより、お煎餅に近い大きさだもの。


種はラルフ様が帰ってこられたら、夕食後に撒こうかしら。


「夕食後にラルフ様とお庭に出てもいいかしら?」


『大丈夫ですよ。それでは夕食中にお庭のチェックをしましょう。』


「ありがとう。では、お願いします。」


ラルフ様は驚くかしら?


魔法で数日後には咲くから、きっと驚くわ。


ふふっ、楽しみです。


でも、この後夕食まで何をしようかしら…


小さなお茶会をしようかと思ったけれど、お部屋から出ないように言われているし…


「窓を開けてバイオリンを弾いてもいいかしら?」


『では、庭に護衛を多めに配置します。少しお時間をいただければ。』


「ありがとうございます!」


『私達はバイオリンとブランケットの準備をいたしますね。』


本当に優しくていい人達に恵まれているわ。


用意が出来て窓際にテーブルと椅子を移動しました。


バイオリンを弾いていると、小鳥さんとうさぎさんの他にリスさんまで来てくれました。


「どうしましょう…リスさんのおやつは用意していなかったわ。」


『確かくるみがあったと思いますが…持ってきますか?』


「まあ!あるのなら、ぜひお願いします!」


リスさんはテーブルの上に上ってきて、目をくりくりさせていました。


ふふっ、屋敷にいたリスさんかしら?


お姉様もこちらの離宮にいるものね。


用意してもらった動物達のおやつを出して、また演奏を始めました。


しばらく演奏していると、お腹がいっぱいになったのかうとうとしています。


「眠くなってしまったのね。膝の上に来るかしら?」


『来ると思いますが、そろそろ日も暮れるので窓から離れませんと…』


「そうね…みんな、今日は来てくれてありがとう。私のお誕生日だったから嬉しかったわ。」


またね、と言ってお別れしました。


バイオリンもピアノも出来るようになってしばらくたつわね。


そろそろ、また何か楽器を出来るようにしようかしら…


何があるかしら?


チェロやサックス、フルートも存在するわね。


やりやすいのはフルートかしら。


私はあまりお金を使わないので、予算はしっかりあるわ。


せっかくだからフルートを買いましょう。


フルートは綺麗な音だもの。


小鳥さんの歌声にも合うわね。


ふふっ、やりたいことが出来たわ。


「明日商人を呼べるか確認をお願いします。」


『かしこまりました。』


『メイリン様がお買い物を?』


「はい。何か新しいことをしようと思っているのです。」


フルートを出来るようにしようと思っていると伝えると、侍女達は目をキラキラさせました。


『とても素敵です!』


『フルートを演奏するメイリン様…絵になりますね。』


『絵師を呼べたら描いてほしいです。』


「そんなに大したことではないのですが…」


絵師って…


写真の代わりに肖像画…


それが離宮に飾られたら恥ずかしいですね。


侍女達はきゃあきゃあと盛り上がっていました。


そんなに喜ばれることでもないのですが…


夕食まで少し時間があるので本を読もうかと思っていました。


『メイリン様、今日は料理長がお祝いに特別メニューを頑張って作っているようです。殿下とお食事されるのでしたらドレスアップをしましょう。』


「お料理は嬉しいですけれど、ドレスアップの必要は…」


ないと思いますが…


『お誕生日ですもの。ドレスアップしましょう?』


押し切られました…


まだ着たことのない夜会用のドレスを準備されました。


少し露出が多めだから着なかったのよね。


ラルフ様がやりすぎだと思わないかしら?


『きっとラルフ殿下は固まってしまうのではないですか?』


「それは困るわ。お話が出来ないもの。」


『そうですか?とても喜んでくださると思いますよ。』


そうかしら…?


なぜ夜会用のドレスで喜ぶのか全くわからないのですけれど…


でも、近衛兵や護衛達は頷いているから大丈夫よね。


仕度を終えると、香水をつけてもらいました。


「この香水は初めてね?」


どうやら、メイド達が城下で人気の香水を買ってきてくれたそうです。


『私達も買ったので、こっそりお揃いにしてしまいました。』


「そうなのですか?ありがとう。とてもいい香りだわ。」


バラの香水よね?


ふふっ、お揃いなんてお姉様としかもらったことがないから新鮮です。


ふふっ。


少しして、ラルフ様が帰ってこられたと聞きました。


『メイリン様。準備をしていますので少しお待ちください。』


「わかりました。」


ラルフ様の準備かしら?


きっとお仕事が忙しくて汗をかいたからお風呂かもしれないわね。


少しすると食堂に案内されました。


「まあ!すごく素敵!」


『ありがとうございます。今日は特別メニューですから、食堂もこだわって準備させていただきました。』


「ふふっ、とても嬉しいです!」


「メイリン、ただ…いま…」


「ラルフ様!おかえりなさいませ。」


ちょうどラルフ様が食堂に来られました。


けど、固まってしまいました。


今日はどのくらい待てばお戻りになるかしら?


侍女達は予想通りだったのでくすくす笑っています。


ラルフ様が戻るまで待っている私は、どうしていいのかわからないのですけれど…


ラルフ様の護衛や執事、私の侍女達はこちらを見てニコニコしています。


ずっと待っているのも気まずいので、再度声をかけてみることにしました。


「ラルフ様。お食事にされませんか?」


「…………」


ダメだわ。


どうしましょう…


「あの…ラルフ様?」


「…あ、すまない!あまりの美しさに思考が止まってしまった。」


「…ありがとうございます。今度からドレスアップするのは控えますね。」


「待て待て待て待てっ!嬉しいのだ!嬉しいが想像を上回るから、つい…」


「…そう、なのですか?」


周囲を見渡すと頷いているし、間違いではないのでしょうけれど…


「私はどのようなドレスを着ておけば良いのでしょうか?」


「メイリンは何を着ても美しいからな…何を着ていても思考が止まりそうだ。」


「それは困ります。いつも思考が止まってしまわれると…」


うーん…


ふたりで頭を悩ませていると…


『恐れながら、殿下。殿下がメイリン様に贈られてはいかがでしょうか?』


「私はこれ以上増えても…」


『メイリン様。それなら私どもが相談してご用意いたしますよ。』


「ラルフ様と相談を?」


『メイリン様の予算があるので、ラルフ殿下が常に贈られると大変でしょうから。』


「私はいくらでも贈るぞ。」


『殿下。予算は無限ではありません。一緒に選べばよいのでは?』


「そうか。では、相談して準備をさせよう。」


「たくさんあっても…せっかく頂いたドレスがいくつもありますので。」


『それでしたら、頂いたドレスの中からまた着たいドレスをお食事の時に着ますか?』


「また同じドレスを着たいです!」


「そうなのか?」


「はい。一番最初に頂いたドレスが一番好きです。」


「あー…あの妖精のような…」


『メイリン様はあのドレスを着たいのですね。では、あのドレスをメインに頂いたドレスで選ぶようにしましょう。』


「確かに、あのドレスを着たメイリンは本当に美しい…」


「ラルフ様…頂いたドレスをまた着てもいいですか?公務は予算内で準備いただけますし、お出かけする時だけ新調したいです。」


「そうか?」


『殿下。殿下の見立ては間違いないと思いますから、普段は贈られたドレスの中で着ていただきましょう。』


『メイリン様のクローゼットの8割はラルフ殿下の贈られたドレスですから。』


「わかった…」


「良かったです…新しいドレスが増える一方で着る機会が少ないので。」


「そうか、気に入ってくれていたのか。まぁ…何度見ても飽きることもないからな。」


納得してもらえました。


「では、食事にしよう。」


「はい。」


料理長達がたくさんの料理を持ってきてくれました。


「王城でもこんな料理は出ないぞ?」


「そうなのですか?料理長はたくさん新しい料理を作ってくれるのです。」


「そうか…今後は忙しくでも離宮で食事の時間を作ろう。」


「ぜひ!でも無理はしないでくださいね?」


「もちろんだ。忙しい時はアークも一緒に連れてこよう。」


「はい!」


お兄様とも食事が出来るのはとても嬉しいです。


ラルフ様とたくさんお話をしながら夕食を終えました。


「美味しかったですね。」


「あぁ。こんなに美味い食事はないな。」


「そうでした!ラルフ様、この後にお時間をいただけますか?」


「あぁ、良いが何かあるのか?」


「はい、近衛兵や護衛達から珍しいお花の種をお誕生日のお祝いにと頂いたので、お庭に撒きたいのです。」


「そうか、いいぞ。それにしても私は誕生日に贈り物など近衛兵や護衛達にもらったことはないのだが?」


『殿下。私達はメイリン様に殿下達の差し入れの度に試食をたくさんさせて頂いているのです。』


「なるほど。そのお礼もあったのか。そういえば、私は周囲に贈り物をしたことがないな…」


『ラルフ殿下、メイリン様は私達にとってとても大事な主なのです。』


「そうなのか。そうか…私より大事にされているのか…」


ラルフ様は拗ねているように見えました。


ラルフ様は別でしょう?


『ラルフ殿下。メイリン様はいつもラルフ殿下のことを私達に相談しているのですよ。』


「待ってください!それは言わないで…」


なんだかいたたまれない気持ちになってしまいました。


恥ずかしくて、思わず顔を隠してしまいました…


『とても愛らしい主でしょう?』


「これは…確かに大事な主だろうな。私のことを相談しているのか…」


言わないで欲しかったです…


「あっ…あの、お庭に行きましょう!」


ラルフ様はニコニコしてエスコートしてくださいました。


「メイリンは本当に花が好きだな?」


「はい。ほとんどを部屋で過ごすので、お花は癒しなのです。」


「そうか…それもそうだな。でも、メイリンが花に囲まれているのはさぞ美しいのだろうな。」


「そんなことはないですよ。」


花の種を植えると侍女や護衛達に後ろを向いてもらいました。


「なぜ見られないようにするのだ?」


「それはあまり見せてはいけないからです。」


少し屈んで魔法をかけました。


「魔法か?」


「はい。種を撒いて魔法をかけると数日後には咲いてくれるのです。」


「この魔法は…初めて見た。」


「この魔法は農業等で収穫をするなど役にたつでしょう?その分、私にとって知られると危険と判断してお庭の花にだけ使っているのです。」


「誰か知っている者は?」


「恐らく、お姉様と離宮や屋敷の侍女や護衛は知っているのではないかと思います。」


「そうか…知られないようにしなくてはならないな。」


「はい。ラルフ様には知っておいていただこうと思ってお見せしました。」


え?


今、何か物音が…


「メイリンどうした?」


「今、物音が…」


「近衛兵達は、離宮周辺の確認をしてこい!護衛はメイリンから離れるな!」


『はっ!』


「メイリン、中に入ろう。私から離れるな。」


「はい、ラルフ様。」


ラルフ様は私の手をとり、中に誘導してくれました。


あの物音はなんだったのかしら…?


「メイリン、大丈夫だ。」


「ラルフ様、ありがとうございます…」


思った以上に恐怖を感じていたのか、震えていることに気づきました。


それを気づいたのかラルフ様は手を握ってくださっています。


とても大事にして頂いている気がします。


『殿下、周辺に怪しい者はおりませんでした。』


「メイリンは物音がしたのだな?」


「はい。なんか気配があってそちらを見た時に葉っぱが動きました。」


「お前達は全く気がつかなかったのか?」


『…申し訳ありません。おふたりを見ていて周囲への警戒を怠ってしまいました。』


「…馬鹿者。明日からもっと訓練をし直せ。」


『…はっ!』


「わかったなら、他の者達と訓練の計画を検討しろ。あと、コールマン公爵の所に行って護衛と近衛兵の配置の見直しを頼んで来い。」


『承知いたしました。』


以前に攫われた時は、このように指示を出して救出してくれたのかしら…


『メイリン様、こちらを。』


「ありがとうございます。」


侍女達が心配して、落ち着くお茶を用意してくれました。


「少しは落ち着いてきたか?」


「はい…」


「本当は隣で手を握っていたいのだが…」


ラルフ様は周囲を見てため息をつきました。


「女性の護衛を用意しよう。」


そう言ってラルフ様が護衛のひとりを使いに出し、また隣に座って手を握りなおしてくれました。


私は安心したのですが、侍女達はなんだか興奮気味です。


「メイリン、護衛が準備出来たら休むといい。」


「はい。ラルフ様もお休みになりますか?」


「私は少し仕事が残っているから城に戻る。とはいえ…心配だな…」


「そう…ですか…大丈夫です。護衛も侍女達もいますのでお仕事に戻ってくださいませ。」


「少し待っててくれ。」


ラルフ様は執事に何かを伝えて、執事は走っていきました。


どうしたのかしら?


「気にするな。」


「…はい。」


しばらくすると、少し眠くなってきました。


「眠いのか?」


「少し…」


「そうか…」


うとうとしているとラルフ様に抱き上げられました。


「あの、重いですし歩けます。」


「重くないし、私が運びたい。」


「…はい。」


恥ずかしい…


ほんの数メートルだけなのに、心配しすぎなのでは…?


『殿下。女性の護衛を5人連れてきました。』


「メイ!」


「アークお兄様?」


「私が呼んだのだ。離宮で仕事をすることにした。」


「そう。メイの安心と安全が大事だからね。」


「…ありがとう、ございます。」


「じゃあ、メイは安心して休むといい。私達は殿下の部屋で仕事をしているから。」


「はい。ラルフ様、アークお兄様。おやすみなさい。」


「あぁ、おやすみ。」


「おやすみ。」


そう言って、ラルフ様とアークお兄様は部屋を出ていきました。


『メイリン様、寝支度をしましょう。』


寝支度をしてホットミルクを飲んでベッドに入って眠ることに。


また問題が起きてしまったことを申し訳なく思いながら眠りにつきました。





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