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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
ダブル婚約式へのカウントダウン
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誕生日パーティをしていた悪役令嬢

今日私は14歳になりました。


そして、今日からお姉様が離宮に移る日です。


お父様やお母様、お兄様達はもう少し先になるようです。


家族全員が離宮に住むなんて不思議な感じがします。


今日は家族と殿下達とお誕生日パーティをすることになっています。


『メイリン様。今日のドレスはどれがよろしいでしょうか?』


「そうですね…まだラルフ様から頂いたドレスで着ていないものはあるかしら?」


『ふふっ、もちろんございます。今お持ちしますね。』


「お願いします。」


たくさんドレスを頂いたのに、まだまだ着ていないドレスがたくさんあると思います。


アダム様にもたくさん頂いて着ていないドレスもあります。


アダム様から頂いたドレスは、アダム様やお姉様の誕生日やお会いする時に着ようと思っています。


今日は私の誕生日なので、ラルフ様から頂いたドレスにしようと思って…


侍女達がドレスを持ってきてくれました。


「こんなにあるのですか?」


『そうですよ。本当はもっとお出かけする機会があれば着れていたのに…』


『そんなことを言ってはダメですよ?』


「ふふっ、本当にもっとたくさんお出かけが出来ると嬉しいのだけれどお忙しいものね。」


『メイリン様はお出かけをしたいのですか?』


「もちろんです。数えるほどしか外に出たことがないもの。ラルフ様や家族ともお出かけしたいわ。」


『そうなのですね。どんな所に行きたいですか?』


「離宮に来るまでどこにも出かけたことがなかったの。だからどんな所でも嬉しいわ。」


『どこにもですか?』


「えぇ。王城には3回くらい行ったけれど、あとは洗礼を受けた時とお茶会とパーティに2回くらい出かけたことがあったわよ?あとはずっと屋敷にいたの。」


『それは…さぞ寂しかったでしょうね。』


「そうね。でもおかげで色々なことをお勉強出来たのよ?」


『メイリン様はお勉強がお好きなのですね。』


「する事が何もなかったもの。」


『そうなのですね。私はお勉強が嫌いなので尊敬しちゃいます。』


「ふふっ、でもあなた達は自由にお出かけ出来るでしょう?私は家族とお出かけするのもこないだの海が初めてだったから羨ましいわ。」


『そんな…家族ともお出かけ出来なかったなんて…』


「私はすごく目立つから…」


『美しいのも大変なのですね。』


『でも、そのかわりメイリン様はお肌も髪の毛もとても綺麗です。』


『お肌なんて透きとおるような美しさです。』


「ありがとう…ふふっ、照れてしまいますからそのくらいで。」


『承知いたしました。ではドレスはこちらなんていかがですか?』


「大人っぽいドレスね?」


『えぇ。肌の露出は少し多いですが、メイリン様の美しさが際立ちますよ?』


「露出が多いのは、少し恥ずかしいわ…」


『そうですよね…このようなドレスは殿下とお会いする時にしましょう。』


ん?


なぜかしら?


『ご家族と会うのですから可愛らしいほうが良いと思います。』



「これ…かしら?」


『とても美しいですね。まるで妖精のようになるでしょう。』


『メイリン様がお召になっている所をするだけでうっとりしてしまいますわ…』


「そうかしら?」


『こちらにしましょう。とても皆様喜ばれますよ。』


「そう…ではそちらのドレスでお願いします。」


『承知いたしました。』


お喋りをしていて時間があまりなくなってしまいました。


侍女やメイド達は最初遠慮をしていましたが、今は恋バナをたくさんしてくれるのです。


もちろん、流行に関しても教えてくれるのでたくさんのお姉様が出来たような感じかしら。


『はぁ…なんて美しいのかしら…』


『妖精と言うより女神のようだわ…』


「大袈裟ね…」


『そんなことはありません!』


『私は今までのドレスで一番美しいと思います。』


「ふふっ、ありがとう。」


『そろそろ殿下がお迎えに来られます。』


「あら…もうそんな時間?皆さんとお話しているとあっという間だったわ。」


『申し訳ありません…つい。』


「いいの。とても楽しいわ。」


『メイリン様…』


『殿下がお迎えに来られました!』


「すぐに行きます!」


離宮の門の前でラルフ様がお待ちになっていました。


「ラルフ様っ、お仕事お疲れ様でした!」


「メイリン…今疲れは吹き飛んだぞ。なんて美しい…あ、そうだった。14歳の誕生日、おめでとう。」


「ありがとうございます。」


「そのドレス…とても似合っているな…」


「ラルフ様に頂いたドレスです。」


「あぁ…まるで女神だ…」


侍女達と同じことを言われました。


でも、なぜかラルフ様に言われるととても嬉しいのはなぜかしら?


「独り占めしたいくらいに美しい…」


「ラルフ様、今日は…」


「わかっている。パーティのあとは私と一緒に過ごそう。」


「…はい。」


ラルフ様にエスコートされて、王城の一室に案内されました。




「メイリン、この部屋だ。ここは防音で特に聞かれてはならない特別な部屋だ。」


「聞かれてはならないのですか?」


「聞かれて困る内容はないが、メイリンとミリム嬢の婚約はまだ非公開だ。そのためにこの部屋でパーティをするのだ。」


まだ非公開だから…


そうよね、姉妹で婚約するなんて前例もないし…


「本当はすぐにでも婚約を広めたいのだが…」


そうよね、普通はすぐに公表するもの。


「ラルフ様、私は大丈夫です。」


「そうか…」


ラルフ様は私の頭をぽんぽんと撫でました。


「ラルフ様?私、子供ではありません…」


「あはは、わかっている。抱きしめられない代わりだ。」


「…そうなのですか?」


「もちろん、許可があれば抱きしめるが?」


「…今はちょっと…」


「わかっている。では入ろう。」


「はい!」


扉を開けるとお父様とお母様、お兄様達、アダム様もいらっしゃいました。


「メイ、お誕生日おめでとう!」


「お父様、お母様…ありがとうございます!」


あまりに久しぶりだったので思わず抱きついてしまいました。


「あら、メイはまた綺麗になったわね?」


「そうでしょうか?」


「母上、メイは成長期ですから。」


「そうですよ。それに(ラルフ殿下にとうとう恋心をもったようです。)」


「メイがっ!?」


「お父様?」


「そんな…」


「メイ、おめでとう。少しずつ大人になっていくのね…」


「それはそうだけど、メイのドレス姿も美しいな。」


「ふふっ、ありがとうございます。」


「まるで女神のようだ…」


「今日は侍女やラルフ様にも女神だと言われました。」


「それはそうだろう。こんなに美しい娘がいて私は幸せだ…」


「お父様、お酒を飲んでいるのですね?」


「これが飲まずにいられるか?娘達がふたりも王家に盗られるなんて…」


「そうね…でも他国の理由のわからない変なご子息と比べたらとても素晴らしい縁談よ。」


お兄様達までお酒を飲んでいるのね?


「メイ、殿下に変なことをされたりしていないか?何かあったらすぐに言うんだぞ?」


「そうそう。私はラルフ殿下の側近だから、いつでも言ってくれ。説教してやる。」


「メイリン、誕生日おめでとう。今日もとても美しいよ。」


「アダム様、ありがとうございます。」


「本当に私の妹は美しくて、こんなに可愛らしい…本当に素敵だわ。」


「そうだ、メイ。贈り物を用意したんだ。」


「贈り物ですか?」


「そうだよ。なかなか決まらなくてアークと相談して用意したんだ。はい、どうぞ。」


お父様、お母様、お兄様達にお姉様、アダム様やラルフ様もいるからなかなかお話ができないわ。


大勢でお話なんてする機会がないから…


「ジャンお兄様、アークお兄様。ありがとうございます。」


「開けてごらん?」


「はい。」


中を見ると…


「素敵なイヤリングですね!」


とてもシンプルだけど、耳元で揺れてキラキラ光って見えるイヤリングでした。


「少し地味ではないか?」


「アダム殿下。メイはあまり派手な物は好きではないんですよ。」


「メイ、つけてあげよう。こちらにおいで?」


「はい、ジャンお兄様!」


ジャンお兄様がイヤリングをつけてくださいました。


「すごく上品なイヤリングね。とても大人っぽくて素敵!」


「ミリムもこういうのが好みか?」


「私はもう少し装飾があったほうが好きですよ?」


「そうか。では今度ミリムに贈ろう。」


「ありがとう。」


「じゃあ、私からはこちらを。」


「お父様も?」


「私はメイにあまり贈り物をしたことがなかったからな。」


「ありがとうございます!」


中を見ると…


「素敵…」


プラチナの髪飾りでした。


「とても素敵ね?私もメイと同じような物が欲しいわ。」


「もちろん、今度シエルにも贈ろう。」


「楽しみにしてるわね。」


「じゃあ、私からはこちらを。」


「ありがとうございます!」


お姉様からは、とても素敵な帽子とショールでした。


「メイはどんな物も似合うけれど、帽子やショールは外に出ないから持っていないでしょう?」


「そういえば…ショールは自分で作っていました。」


「ね?これから公務で外に出るのだからあったほうがいいわ。」


「ありがとうございます、お姉様。」


とても実用的で、私の好みに合わせたものでした。


「それは思いつかなかったわ!」


「メイ、私からはこちらをどうぞ。」


「お母様も?ありがとうございます!」


これは…


「お母様、とても素敵です…」


アクセサリーだけどネックレスとイヤリング、指輪とブレスレットのセットでした。


それとエプロン。


「最近、揃いのアクセサリーが流行っているの。とても質の良い物を選んだのよ。」


「ありがとうございます。エプロンは?」


「時々、お菓子を作っていると聞いたからよ。」


「ふふっ、そんな風に考えて贈り物をするのですね。私は喜んでもらいたいから刺繍や編み物をしていました。」


「そういえば、メイリンは刺繍のハンカチを以前くれたが編み物はもらっていないな…」


「そうですね。お父様とお兄様達にはマフラーを作りました。お姉様とお母様にはストールを作りましたね。」


「あのストールもハンカチもお茶会で話題になったのよ。どこで手に入れたのかって。」


「そうね。お店を紹介してと言われたわ。」


「メイリン、私もマフラーが欲しい…」


「それを言ったら私は何ももらっていないぞ?」


そんなに気に入ってくれていたのかしら?


アダム様も欲しいのかしら…?


「お望みでしたらお作りしますね。」


「ぜひ頼む。」


先ほどまでラルフ様は少し不機嫌そうだったのに、もう機嫌が良くなった気がします。


「メイリン、私も欲しいのだが。」


「アダム様もですか?」


「私だけ仲間外れではないか。」


「ふふっ、そうですね。王妃様にも差し上げたので、陛下とアダム様にも作りますね。」


「待て待て。メイ、陛下にはあげなくていいからな?」


なぜかしら?


「アダム殿下にもあげなくていいよ?」


お父様もジャンお兄様もあげたくないのかしら?


「陛下に自慢出来なくなる。」


「私も同意見だ。」


「お前達、性格が悪いな…」


「今更でしょ?」


ふふっ、本当に仲が良いのね…


お友達がいるのはとても羨ましいです。


私にはお友達は出来ませんでした。


お友達とお話するのはきっと楽しいのでしょう。


私にはお友達なんてできません。


学院もすぐに卒業してしまったし…


お友達だと思っていたのは私だけだったようですから。


「メイリン?どうした?」


「いえ…なんでもありません…」


「そうか。私からの贈り物は離宮で渡そう。アークにからかわれてしまうからな。」


「アークお兄様が?」


「すぐにメイリンの話を自慢してからかってくるのだ。だから離宮で…」


「わかりました。本当にアークお兄様と仲が良いですね。」


「あー…あまり伝わっていないのか?」


「からかったり、からかわれたりするくらい仲が良いということですよね?」


「まぁ…」


「メイ。私はラルフ殿下をからかうのが楽しいんだ。」


「アーク。本当に性格が悪いな。」


『メイリン様。メイリン様あてにお誕生日のお祝いがたくさん届いておりますが…』


『情報が漏れているのでしょうか?』


「お父様…」


「祝いの品は私の執務室に運んでくれ。私が検分する。」


『かしこまりました。』


「メイ、心配しなくていい。また情報漏洩しているとなれば、王城での問題だ。私に任せなさい。」


「はい…」


「大丈夫だよ、メイ。殿下達のほうもしっかり見張りをつけて調査するから。」


「もしかしたらミリムの件も漏れたかもしれない。ミリム、護衛を少し多めにつけてもいいか?」


「はい、構いません。お願いします。」


「お姉様…大丈夫ですか?」


「私は大丈夫。とりあえず、しばらくは護衛をつけてもらって周囲の調査をしっかりやってもらうわ。」


「ミリム、私も調査するから安心していろ。」


「メイリンもアークとちゃんと調べるからな。」


「ありがとうございます。」


誕生日のことは調べればすぐにわかることかもしれないけれど、私とお姉様が婚約したということはまだ公表していません。


どんな情報が漏れているかもわかりません。


「メイリン、調査が終わるまでは離宮にいてくれ。」


「ミリムもだ。」


「わかりました。」


お父様とお兄様達は警備や調査についての話を始めてしまいました。


「メイのお誕生日パーティだと言うのに、仕事の話になってしまうなんて…」


「お母様、いいのです。私のためなのですから…」


「あら、それはそれよ?パーティが終わってからする事だもの。」


「でもお姉様。すぐにお仕事をしなくてはならないわ。」


「メイ、ごめんな?」


「アークお兄様。お姉様のこともあるもの。大丈夫ですからお仕事を優先してください。」


「メイ…すぐにかたをつけてみせるから、離宮で待っていてくれ。」


「はい、お父様。」


「ミリムはシエルと離宮に行ってくれ。シエル、ミリムと一緒に離宮で過ごしてもらえるか?」


「わかったわ。私も離宮に泊まるということかしら?」


「あぁ。すぐにこんな事になってミリムが心配だからな。」


「あら、メイはいいの?」


「不本意だが、ラルフ殿下がいてくれる。」


「コールマン公爵、不敬だぞ…」


「申し訳ありません。ですが、娘達を嫁にやらなければならない私としては…わかるでしょう?」


「うっ…すまない…」


「ラルフ様、大丈夫です。お父様達はわかっていますから。」


「メイリン…」


「耳の痛い話だな…」


「アダム様も気にしないでください。」


「わかっているよ。」


「もう…でもメイがやっぱり心配だわ。ね、アダム様。」


「そうだな…ラルフ。わかっているだろうな?」


「わかっていますよ!」


「それなら私が離宮で護衛に…」


「アーク、仕事を優先しろよ…」


「ふふっ、アークお兄様。大丈夫ですから気にしないでください。」


すごく気を使われて、申し訳ない気持ちです…


「メイ…ひとりで平気?」


「…平気です。いつもと変わりませんから。」


「メイリン、早く離宮に戻るから夕食は一緒に食べよう。」


「はい、ラルフ様。」


「くっ…」


「ラルフ様?」


「あー…アーク、今日は…」


「駄目ですから。それにメイやミリムの為なのに何もしない気?」


「いや…やる。メイリン、待っててくれ。」


「はい。いってらっしゃいませ。頑張ってくださいね。」


「…くっ…」


「お父様、ジャンお兄様、アークお兄様、アダム様も頑張ってください。」


「はぁ…頑張るよ。」


「可愛いメイの為だからね。」


「そうだな。ミリム、待っててくれ。」


「ふふっ、わかりました。」


あっという間にパーティはお開きになりました。


「メイ、落ちついたら一緒にドレスを選びましょうね。」


「はい、お姉様。楽しみにしています。」


お姉様達も離宮へ。


早く解決するといいわね…


お見送りをして私も離宮に戻りました。

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