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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
ダブル婚約式へのカウントダウン
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手紙を送った悪役令嬢


最近、お父様やお兄様達が忙しいようでしばらく顔を見ていません。


また何かあったのかしら…?


私のせいでご迷惑をかけてしまったのかしら?


詳細がわからないから何をすればいいのかもわかりません。


ラルフ様もどうしているのか…


手紙も来ないですし…


『メイリン様。どうかされましたか?』


「いえ…なんでもないわ。」


心配させてはいけないわよね。


ただでさえ眠る度に心配させてしまっているもの。


「バイオリンとお茶をお願いできるかしら?」


『かしこまりました。』


図書館から借りた本はもう読んでしまいました。


また何かを借りないと…


『メイリン様、テラスとお庭の確認を済ませました。テラスでお茶をどうぞ。』


「ありがとう。」


お庭の花を見ながらバイオリンを弾いていると少しだけ気持ちが軽くなります。


小鳥さんやうさぎさん達が来てくれるので穏やかな気持ちになれるのです。


もう少し小さなお茶会をしたらお手紙を書こうかしら…


ご迷惑にならないかしら?


寂しくなってしまったなんて言ったら駄目よね?


会いたいけど…


やっぱり、わがままだわ。


「私って駄目ね…」


『メイリン様、なぜですか?』


聞かれていたのですね…


「私は欲深いな、と…」


『メイリン様が欲深いですか?ありえませんよ。』


「そうかしら?」


『欲がなさ過ぎて心配ですもの。』


「欲はあるのよ?お父様やお兄様達、お母様やお姉様にもラルフ様にも会いたいもの。すごく欲深いでしょう?」


『それは欲ではないですよ?』


「そうなのですか?」


『はい。誰かに会いたいというのは、欲でも我儘でもありません。』


欲ではないの?


じゃあなんなのかしら?


『ふふっ、メイリン様はきっと寂しくなっただけです。』


それはそうだけど…


『メイリン様はいつも一人で過ごしていたのです。誰かと一緒にいる時間が好きなのだと思いますよ。』


「そうね。一人でいることが当たり前だったから、誰かが一緒にいることが幸せ…」


『それは愛です。』


愛?


そうなのかしら?


「お父様やお母様、お兄様達とお姉様に会いたいと想うのも?」


『そうですよ?ご家族ですもの。ラルフ殿下には会いたいと思いますか?』


「そうね…殿下達にも会いたいわ。」


『殿下達ですか?ラルフ殿下とおふたりで会いたいとかではなく?』


「うーん…もちろんラルフ様と会いたいけど、アダム様もたくさんお会いしていたから会わないと少し寂しい気がするわ。」


『離宮に来てからラルフ殿下とアダム殿下はたくさんお会いしてましたものね。』


「そうなの。私には幼馴染もお友達もいないから…」


お友達は一度出来ました。


でも、お友達だと思っていたけれど相手はお友達だと思っていなかったのです。


私は人を見る目がないのね…


そう思うと、家族や殿下達の存在はとても大きいのです。


殿下達は恋愛を抜きにしても大事。


贅沢だと思うけれど、もっともっとお会いしたいのです。


『メイリン様。会いたいと一言だけでもお手紙でお伝えしてはいかがですか?』


「きっとお忙しいわ。」


『ふふっ、大丈夫です。』


ラルフ殿下は隣のお部屋なのに会えていないのよ?


お忙しいに決まっているわ。


「…ラルフ様は嫌がらないかしら?」


『お喜びになると思いますよ。』


そうなのかしら…


「じゃあ…お手紙を書きます。」


『はい。便箋をご用意しますね。』


まずはお父様、お母様に。


それからお姉様。


お兄様達、アダム様。


最後にラルフ様。


嫌がられたりしないかしら…


7通のお手紙を書きました。


気がついたらもう夕方。


「あの…ではこのお手紙達をお願いします。」


『かしこまりました。』








少しして夕食の時間になり、食事をしていたら…


「メイリンっ!」


「ラルフ様?」


「すまなかった。寂しかったのだな?手紙を受け取って急いで帰ってきた!」


本当に急いで来てくれたようで、激しく息切れしていました。


「ラルフ様!?申し訳ありません…」


「いや、構わない。私こそすまなかった。」


ラルフ様は本当に優しい方です。


「お忙しいのに我儘を言って…」


「私は嬉しいぞ。最近、大量の執務をやらされていてメイリンに会う時間を調整してくれないのだ。」


「大量の執務ですか…そんなお忙しい時にごめんなさい。」


「嫌がらせだ。メイリンの隣に部屋があるのが気に入らないらしい。」


「そうなのですか?」


「あー…メイリンに手を出せないようにしているのだと思う。」


手を出す…


あ…


急に思いがけない事を言われて顔どころか体中が熱くなってしまいました。


「メイリン?」


これではいつものラルフ様やアダム様だわ。


「…すいません、少し驚いてしまいました…」


「あー…すまない。余計なことを言ってしまったな。」


「いえ…」


ラルフ様も赤くなっています。


『メイリン様、ラルフ様とお茶をされてはいかがですか?』


「ラルフ様…お仕事に戻られますか?」


「いや…今日は戻らない。メイリンと一緒にいる事にしよう。」


ラルフ様に気を使わせてしまいました…


「ありがとうございます…」


「食事の途中だろう?私も食事にする。」


席に着くと料理人達が急いで準備を始めた。


「メイリンはミリム嬢やアーク達と連絡をとっているか?」


「いえ。ラルフ様に手紙を書いた時に家族にも手紙を書いたばかりです。」


「そうか。最近、兄上やミリム嬢、ジャンも忙しいからな。」


ん?


お姉様が?


「どうかしたのですか?」


「聞いていなかったのか?兄上とミリム嬢が婚約するかもしれないのだ。」


お姉様とアダム様が?


「前例がないのでは?」


「もちろん、前例はない。だが、あの二人は元々仲が良いからな。」


アダム様がお姉様と…


なんだか複雑ね。


でもお似合いな気がします。


「前例がないだけで、決まりはないのだ。」


「そうなのですね。でも驚きました。」


「そうか?メイリンと会う前はミリム嬢と婚約の話が出ていた。だから不思議ではないと思った。」


「アダム様はお姉様を大事にしてくれますよね?」


「もちろんだ。兄上の初恋はミリム嬢だからな。当然大事にすると思うぞ。」


「初恋?」


「そうだ、小さい頃からな。まぁ、私もだけど…。」


「そうなのですね。お姉様はとても綺麗で優しいですもの…」


「メイリンは初恋は…?」


初恋…?


「私はお父様とお兄様達以外にお慕いする方はいなかったので…ラルフ様という事になるのでしょうか?」


「えーっと、家族は入れないでくれ…」


「私は家族以外とお話をする機会がありませんし、ちゃんとお話をさせていただいたのはラルフ様が初めてでした。」


「そうか…私が初めてか…」


初恋がどのようなものかはわかりませんが、


初めてお話をしたのはラルフ様でした。


お茶会やパーティで声をかけてくる方はいましたが、ちゃんとお話をした事はありませんでした。


すぐに会場から帰っていましたし。


食事を終えてお茶をしていると…


『メイリン様。アーク様とジャン様がいらっしゃいました。』


「お兄様達が?」


急いで客室に向かうとお兄様達がぎゅうぎゅうと抱きしめてくださいました。


「アーク、ジャン。私の前でよくも…」


「あ、ラルフ殿下。いたのですか?」


「当たり前だ。お前達こそどうしたのだ?」


「メイが手紙をくれたので会いに来たのですよ。」


「メイが寂しくて会いたくなったというからね。」


「メイリン…私だけではなかったのか?」


「はい。ずっとお父様やお兄様達も会えてなくて…」


「そうか…」


「あれからずっとお忙しいのでしょう?私の我儘でお邪魔してしまって申し訳ありません…」


侍女達は寂しくて会いたくなるのは我儘じゃないって言っていたけど…


「メイ、我儘じゃないし私は嬉しいよ。」


「ジャンお兄様…」


「私はいくらでも会いたい。」


「ラルフ様…」


「そうだよねぇ。私もメイにはいつでも会いたいな。」


「アークお兄様…」


「そうだ、メイ。ミリムとアダム殿下が婚約することになって今忙しいんだ。婚約式の準備があってな…」


「そうなのですね…お姉様とアダム殿下が婚約するとは思いませんでした。」


「そうか?」


「はい。でも、お似合いですね…」


「あぁ、私もそう思うよ。」


お兄様は複雑なのかしら?


苦々しい顔で笑っているもの。


「そういえば、お兄様達の初恋とはどんな方でしたか?」


「初恋かー…してないな。しいていうならミリムと母上だな。」


「そうなのですか?じゃあ、私はラルフ様ではなく、お兄様達とお父様ということでしょうか?」


「あー…メイ。本当は家族以外の話なんだよ。だから、メイはラルフ殿下ということになるんだよ?」


「そうですか。ではお兄様達は?」


「はぁ…メイやミリムが可愛すぎて他の令嬢は霞むんだよ。」


お兄様達は大きなため息をついていました。


「そうだ。メイは来週の週明けには誕生日だな?」


「はい、14歳になるのです。」


「…まだ14歳か…」


「殿下。もう14歳ですよ。あれから4年も経ったんですから。」


まだ子供っぽいということかしら?


「メイ、どうしたんだい?」


「あの…子供っぽいということでしょうか?」


「メイリンがか?」


「まさか。メイが子供っぽいなんてとんでもない。メイは大人っぽいと思うよ?」


「でも…まだ14歳なのでしょう?」


まだラルフ様と比べられたら子供なのでしょう。


「そういう意味ではないぞ!?」


じゃあ…どういう意味かしら?


頭を悩ませていると…


「メイ。殿下は結婚するまでにあと2年も待たなければならないという意味で言ったんだよ。」


「…そうなのですか?」


「もちろんだ。せっかく婚約したというのに、まだ2年も待たなければならないのだ。時間が経つのが遅すぎる!」


「ラルフ殿下。それはメイに言っても仕方ないですよ。」


「わかっている!」


お兄様達にはわかりやすいようだけど、私にはわかりにくいです…


「でも、離宮に部屋も準備しただろう?」


「だが、メイリンと会う時間もないではないか。」


「アダム殿下の婚約式が終わるまで我慢してくれないか?」


「お姉様の婚約式が終わるまで?」


「メイにはまだ時間があるからな。ミリム達は婚約式が終わって少しして結婚することになったんだ。」


「あのふたりは適齢期を過ぎてしまっているからな?」


そうよね…


アダム殿下は私より10歳は年上だもの。


「ではせめて私達と一緒に婚約式をするわけにはいかないか?」


「あー…陛下に言って。」


「わかった。すぐに言ってくる!」


ラルフ様は走って出て行ってしまいました。


「くくくっ。ラルフ殿下は必死だな?」


「それはそうだろうな。ただでさえメイは狙われているんだから。」


え?


私、狙われているの?


「メイ、そんな顔をするな。狙われているといっても、メイを手に入れたいとかラルフ殿下と婚姻を結びたい輩がいるだけの話だ。」


「そうそう。婚約を公表するまでは気が抜けないんだよ。」


「そうだったのですね…(なぜ私なのかしら…?)」


そもそも、公爵令嬢という身分だけでも手を出せないはずなのに。


そんなにこだわるのは、やはり殿下達が素敵だからよね?


悪役令嬢だという彼女はもういませんし、


危険はないと思うのだけれど…


「メイは心配しなくていい。それより4日後の誕生日、何か欲しいものや行きたい所とかあるのかい?」


「いえ、特にありません。一緒にいてくれたら、それだけで…」


本当にそれだけで嬉しいのです。


ドレスやアクセサリーも欲しいと思ったこともないし、


地理や特産物は知っているけど、外にどんな所があるのかもわからないもの。


「本当にメイは欲がないな。」


「そうですか?私は、お兄様達や殿下達、お姉様にお父様にもお母様にもたくさんお会いしたいのだから欲があると思うのですが…?」


「それが欲だと思うなら私達だってたくさん会いたいよ。」


「本当ですか!?」


本当ならとても嬉しい…


「当然だ。私達だってここに住んで毎日メイと会いたいと思っているのだから。」


「ふふっ、ジャンお兄様もアークお兄様も大好きですっ!」


思わず、お兄様達に抱きつきました。


お兄様達は嬉しそうに頭を撫でてくれます。


とても安心します…


それにしても…婚約式まで気を抜けないのね?


婚約式が終われば穏やかに過ごせるのよね?


お父様やお兄様達に心配されなくてすむようになれば、きっと安心してお仕事をできるわ。


ラルフ様も…


お仕事の邪魔はしたくないもの。


「アークお兄様、ジャンお兄様ありがとうございます…」


「私達こそ、メイが手紙をくれて嬉しかったよ。初めてじゃないかな?」


「そうだな。メッセージカードは別だからね。」


お兄様達は目を細めて嬉しそうに笑いました。


「殿下もしばらく戻らないだろうな。もう少しお茶をして帰ろう。」


「はいっ!」


お菓子を準備してもらってお兄様達とお茶を楽しみました。


仕事が忙しくて平日は無理だから、週末に一気に書くことにしました。


ある程度出来ていても、時間がかかるものですな…

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