表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
婚約式までのカウントダウン番外編
170/187

愚痴をこぼされた姉

【姉 ミリム】


メイが離宮に戻ってしまったわ。


なぜ成人でもないメイが離宮に住まなきゃいけないのかしら。


まぁ、メイを守るためにというのは理解できるけどね。


それにしても、事件が片付いて良かった。


でもメイの心が心配だわ。


お友達が出来たとあんなに喜んでいたから。


権力を狙って近づこうとする令嬢や子息達が多いから、


私も友達は慎重に選んだわ。


もちろん野心がないわけではないと思うけど、


それでも安心して付き合える友人はゼロではないから見極めないといけないもの。


『ミリム様。奥様がお呼びです。』


どうしたのかしら?


「わかったわ。今行きます。」


また何かあったのかしらね?


「お母様、どうしたの?」


「ミリム、またお茶会があるようなの。だからドレスを仕立てましょう。」


「まぁ…まためんどくさいお茶会なのね?」


「そうよ。ローレンス伯爵家。」


「あー…あの伯爵は押しが強くて苦手だわ。」


「本当に。ジャンとアークも招待されているけど2人は欠席。だから色々と聞かれるから派手に着飾りましょう。」


「そうね、わかったわ。仕立て屋はいつ?」


「午後になるそうよ。」


はぁ…


あの家の嫡男はしつこいのよね?


見た目はどうでもいいとは思っているけど…


生理的に無理なのよね。


ご令嬢は私の友人のひとり。


気が弱くて正直だから家の事情も教えてくれる。


本人は親に逆らえないから私に近づいて来たけど、


親に我が家の情報を探るように言われているみたい。


可哀想だから友人になってどうでもいい情報を伝えているの。


『ミリム様、ジャン様からお手紙です。』


「ありがとう。」


珍しいわね。


あら、アダム殿下と3日後にお茶をして相談にのってあげて欲しいとか…


婚約者選びなんて私だって相談したいわよ。


まぁ…いいわ。


お兄様には了承の手紙を送ってもらった。


なんだかんだ言って忙しいわね。


「3日後に王城に行くからドレスとアクセサリーを選ぶわ。」


『早くないですか?』


「あら、準備は早めにしておくのがいいのよ?」


『そうなのですか?』


「そうよ。準備しておけば、王城に行く日まで他の服を着ればいいもの。」


『なるほど…そうなのですね。かしこまりました。』


侍女達にいくつかよそ行きのドレスを持ってきてもらった。


うーん…


これは以前王城で着たわね。


こっちは…ちょっと可愛すぎるわね。


そうだわ!


「メイとお揃いの薄紫のドレスにするわ!」


侍女達にあとの準備を任せてお茶を飲むことに。


昼食が近いから軽くね。


日が暮れ始める前に仕立て屋が来たので、お母様と相談をして選ぶことに。


「ミリム、こちらのデザインなんてどうかしら?」


「え、私もう少し地味なものにしたいわ。」


「あら、なぜ?」


「ほら、ローレンス家の嫡男がいるからよ。あんまり着飾って目立つと…」


「あぁ、そうね。じゃあこっちなら良いじゃない?」


「本当に。派手好きのあの息子ならちょうどいいわ。」


「でもミリムも綺麗だから、それでもアプローチしてきそうだけど。」


「ふふっ。お母様はどうするの?」


「そうね…私は流行りのこちらのデザインにしようと思って。」


「素敵!えー…私もそのデザイン似合うと思う?」


「こっちの色なら似合うわ。」


「せっかくだからメイにも仕立てましょう。もうすぐお誕生日だもの。」


来週だったわ。


「きっと喜んでくれるわね!」


来週までにしっかりと仕立ててもらえるように頼みました。


夜お父様達が帰ってくると、機嫌が悪い…


どうしたのかしら?


聞いてもいいことかしら?


「(お兄様、お父様はどうしたの?)」


「(あー…)」


バツの悪そうな顔をして教えてくれた。


どうやらアダム殿下とお茶をする事が気に入らないらしい。


今は厳重な警備をしているから王城に入る為の許可申請を出さなければならない。


殿下が申請をしたけれど、お父様はそれを見て腹を立てているらしい。


「(ただ相談をされるだけなのに。)」


「(そうだけど、父上が陛下からミリムとの婚約の話をされたみたいで警戒しているんだ。)」


「(私が?まさか。)」


「(周囲に反対派がいたから問題ないと思うけどね)」


「(そうよね?姉妹で王家に嫁ぐなんて前例がないもの。)」


「(本当にね。)」


陛下の思惑通りに婚約させられると思っているのかしら?






これから王城に向かいます。


お父様も陛下もとにかく心配して近衛兵を随分と配備してくれていた。


「じゃあ、お母様いってきます。」


「えぇ、殿下によろしくね。」






王城に着くとアダム殿下が迎えに来てくれていました。


「殿下、ごきげんよう。」


「ミリム嬢。今日は来てくれてありがとう。今日も綺麗だね。」


「ふふっ、ありがとう。お兄様から話は聞きましたよ。」


「そうか、すまないな。では、行こうか。」


「はい。」


アダム殿下は幼馴染だけど、ちゃんと淑女として扱ってくれる。


本当に紳士だわ。


王家以外立ち入りが禁止されているという庭に案内してもらった。


「さて、殿下。婚約者を探すということですけど、正直な所で私の周囲も野心家だらけなので妥協点がないと…」


「妥協点か…ミリム嬢はどうなんだ?」


「あー…私も同じで野心家は嫌ですね。だから決められないんです。」


「そうだよな…」


「まぁ、殿下ほどは大変ではないと思うけど。」


「そうだな…将来王妃になるわけだから慎重にならざるを得ない。」


「そうですわね。国外の王家ではいなかったのですか?」


この国の王家は他国の王家と比べてカッコいいと思う。


普通に考えればどこの王家からも話はあるはず。


「あー…隣国の姫は結婚しているし、先日メイリンを攫った王家は論外だろ?姫は少ないし、かと言って侯爵令嬢も野心家がほとんどだったんだ。」


「殿下。言葉遣いが…」


懐かしいけどね。


「あー…、ミリムもたまにはいいぞ?」


ふふっ、許可が出たから普通に話すことにした。


「それなら、いいでしょう。で、実際はどんな状況?」


「あはは。メイリンとラルフの婚約式を延期して、私の婚約者探しを早急にしたいそうだ。」


「延期?早めたり延期したり随分と振り回すわね?」


「コールマン侯爵がだいぶ抑えてくれてるが、私の年齢では急がなければと周囲がね。」


「はぁ?いい人がいれば決まるけどいないじゃない。無理に選んでも問題よ?」


「そうなんだ。それでミリムの友人の中に野心がない令嬢はいるか?」


「そうねぇ…でも親に逆らえない娘なのよね。」


先日パーティの招待をしてきたあの家は色々と…


「親がね…」


「誰だ?」


「ローレンス伯爵よ。」


「あー…それは遠慮したい。」


「でしょ?気が弱いからコールマン侯爵家と王家の情報を聞き出すように言われていたの。」


「よく知ってるな?」


「パーティでやたらと聞いてくるから調べてもらって、ジェシカ嬢にお茶会で確認したもの。」


「よく喋ったな?」


「ジェシカ嬢は本当に気が弱くて、親に暴力を受けていたのよ。お腹や腰や太ももとか見えない所にね。」


「それじゃあ逆らえなくても仕方がないな。」


「助けてあげたくても現場を押さえないと無理だし。」


「確かにな。それにローレンスは以外と切れ者だからね。」


「そうそう。だから言っても問題ない情報をあげているの。」


「どんな?」


「最近婚約希望の貴族達が我が家に勝手に来ているとか、最近新しい宝石を手に入れたとか。」


「それは確かにどうでもいいが…」


「どうせお父様や陛下にお困り事はないですか?とか言って取り入ろうとしているのよ。」


「わかる気がするな…」


「そうそう。お兄様やアークの婚約者のことまで探り始めたみたい。」


「はぁ…なかなかいないものだな?ミリムも婚約の話は多いのだろう?」


「多くて困るわ。うちの財力と権力をあてにしようとしてるから腹が立つのよ。」


「そっちもそうか。」


「お兄様達のことも聞いているでしょ?」


「たまにな?」


「メイみたいに権力とかを気にせずに選べる相手がいないから他国の情報をお父様が調べさせているわ。」


「そうか…」


「役に立たなくてごめんなさい。」


「いや、相談出来ただけでも良かったよ。」


「私もなかなかこういう話ができないから、楽しいわ。」


私の2歳上だけど、話がとても合うのよね…


その後はメイの話やパーティの話をしてました。


「じゃあ、殿下。私はそろそろ帰りますわね。」


「ああ。今日はありがとう。いい気晴らしになったよ。」


「ふふっ、私もですわ。」


本格的に婚約者選びを始めるのね。


でもなぜかしら?


殿下は勘違いされてもおかしくないのに私を呼んだのかがわからない。


本当に陛下は私を王妃にと言ったのかしら?


それに、殿下は知ってるのかしら?


お父様はちゃんと断ったと聞いたけど…


そんな事を考えながら帰路についた。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ