お友達が出来て可愛いと言われた 悪役令嬢
入学式がようやく終わった。
とても緊張したわ。
家族みんなで見に来てくれていた。
余計に緊張したけど、
無事に終わって良かった。
教室に案内されていた。
前の端から成績順になっているらしい。
成績が落ちると席が替わるそうだ。
今日は自己紹介と、
学院の案内と、
今後の授業についてのお話だった。
自己紹介ではちゃんと出来ていたと思うけれど大丈夫だったかしら?
例のヒロインはクリス・ロイド。
ロイド男爵の一人娘だそうだ。
今から学院内の施設を案内してもらう。
学年のクラスも聞いて、
お兄様の教室も確認した。
帰りにお声をかけるかもしれないし…
本当は心細いだけ。
だって私はクラスの中で浮いているんだもの。
クリス様から声をかけられた。
「はじめまして、コールマン様。クリス・ロイドと申します。よろしくお願いいたします。」
ご丁寧にご挨拶をしてくれた。
「はじめまして、ロイド様。こちらこそよろしくお願いいたします。」
その後からたくさんのクラスメイトから声をかけてもらえた。
「皆さん、声をかけていただいて嬉しいですわ。」
「そんな、コールマン公爵令嬢はとても美しくてお茶会も参加させてもらえなかったと聞いておりますもの。」
「まぁ!そんなお話がありましたの?」
「えぇ、お茶会に出られても男性達に囲まれて動けなくなって帰ってしまうとか。」
「せっかくお友達になりたくても声を聞くことすら出来ませんでしたわ。」
「そうでしたの…私はお友達を作りたいと思ってましたわ。」
「では、今後はお友達になれますでしょうか?」
「えぇ!ぜひお友達になってくださいませ!」
学院内の案内中にお友達が4人も出来たわ!
クリスもお友達になれるなんて嬉しい!
女の子のお友達はできた。
男の子はすごくキラキラした目でこちらを見ている。
「男性の生徒の皆さんはコールマン様を見て赤くなっていますわね?」
「え…あまり見られるのは困るわ。」
「コールマン様は慣れていらっしゃるのではないのですか?」
「なぜですの?」
「いつも注目されていたではありませんか。」
「ふふふ(笑)いつもお家の中にいたから苦手ですの。」
お友達はみんな当たり前だと思っているという認識だった。
お友達はクリス・ロイド男爵令嬢と、
セイラ・ポートマン伯爵令嬢、
スカーレット・バーグマン伯爵令嬢、
シャロン・アルバ侯爵令嬢の4人。
「意外でしたわ。それにこんなに穏やかな方だと思いませんでした。」
「嫌ですわ。そんな風に思われていたのね?」
「すごく男性に囲まれてましたし、殿下方とお話していましたし…」
「それに美しくて高慢な方ではないかと。婚約の申込を全てお断りされていると聞いてましたので。」
「家にずっとおりましたし、お茶会もあまり参加させてもらえなかったので。男性も女性も何をお話したらいいかわからなくて…」
「「「「可愛い!」」」」
「え?なぜですの?」
「奥ゆかしいだけだったなんて!」
「お話が苦手で周囲と馴染めなかったのですね。」
「それに、顔を赤くして照れながらお話をするイメージがなかったのです。」
「えぇ、てっきり公爵令嬢だからと身分で対応していると思ってましたの。」
「そんなに敬遠されていたのね、悲しいわ…」
お友達から思ってもみなかったことを聞いて驚いたわ。
「皆さん、仲良くしてくれると嬉しいのですけれど…」
「「「「ぜひ!」」」」
「うふふ、学院生活がとても楽しみになってきましたわ。」
「私達こそ、コールマン様と仲良くなれるなんて嬉しいです!」
「えぇ、身分関係なく仲良くなれるだなんて思いませんでしたもの。」
「あら、なぜ身分を?」
「コールマン様は気にしないのですね?身分を気にしてお付き合いされる方が多いのですわ。」
「あぁ、たまにいますわね?仲良くなれる方がいればいいと思っていたわ。」
「素敵だわ!」
たくさん褒められてしまったわ。
「うふふ、あとでお兄様とお姉様に自慢できますわ(笑)」
「あら、なぜ自慢を?」
「今日学院に来るまでずっとずっと緊張していましたの。」
お友達にこんなに可愛いと言われて照れてしまったわ。
学院内の案内が終わり、
今後の授業に関するお話を聞いて終了になった。
「コールマン様はすぐお帰りになられるのですか?」
「お兄様と帰りたいので教室に声をかけに行きますわ。」
「仲が良いのですね?」
「うふふ、お話出来るのは家族だけでしたの。」
「「「「可愛いーっ!」」」」
「もう…可愛いはいいですわ…」
「可愛いものは可愛いのです。諦めてくださいませ(笑)」
「では、皆さんまた明日。」
嬉しい!
初めてのお友達!
早くお兄様にお話しなくては!