表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
婚約式までのカウントダウン
160/187

第二王子から連絡がなくて寂しくなった悪役令嬢

家族でお茶をしてから数日、


まだお兄様達やお父様からの音沙汰はありません。


それにラルフ様からのご連絡もありません。


経過がわからなくて落ち着かないわ…


『メイリン様、なんだか元気がないようですが…』


「あ…ごめんなさいね。少し心配事があって…」


『そうですか…』


『メイリン様、少しお休みになってはいかがですか?』


「心配してくれてありがとうございます。でも、大丈夫。」


『わかりました。それでは少しリラックスするお茶をご用意いたしますね。』


「ありがとう、お願いします。」


周囲に心配をかけてはいけないわね。


気をつけなければ…


お茶を飲みながら、歴史書を読み始めました。


少しして、メイドの1人が辞めるということで挨拶に来てくれました。


「そうなのですね…でもご家族は大事だもの。残念だけれど仕方がないわね?」


『急で申し訳ございません。』


「病気は突然だもの、仕方がないわ。ご実家は遠いの?」


『いえ、馬車で1日です。』


「そう…」


侍女にお願いして、少しお金を出しました。


「少しだけど、もらって?お母様が早く治るように祈っています。」


『ありがとうございますっ!』


涙ぐんで部屋を出ていきました。


いつも当たり前にいてくれる人がいなくなるのは寂しいわね…


婚約がなくなったらラルフ様ともお会いする事もなくなるのよね…


それはきっと、今のメイドとのお別れ以上に寂しくなるかもしれない…


…思っていた以上にラルフ様の存在が大きくなっている事に気づきました。


そう…これが恋愛なのね?


そう考えたら急にお会いしたくなってしまいました。


お会いしたいと言ったらご迷惑かしら?


でもお忙しいものね。


ため息をつきました。


少し落ち着いた頃、アークお兄様からお手紙が届きました。




ーメイへ


なかなか離宮に会いに行けなくてすまない。


調査を進めているけど、家族である私達や殿下達も含めておかしな噂を流されたようだ。


メイが送ってくれた関係図だが、だいぶ人物の特定が出来てきたよ。


それで、離宮で何か変わったことはないかな?


何かあれば、近衛兵に手紙を渡してくれ。


早く解決してあげるからね。


解決したらみんなでバイオリンを聴きに行くよ。


アーク






そう…


それであまり連絡が来ないのね?


変わったことは…


メイドが先程辞めてしまったことかしら?


でも、そんな噂があるということならすぐにお返事はしないほうがいいわよね…


差し入れも無理ね…


本当に私はトラブルばかりの疫病神みたいだわ。


なんだか少し疲れてしまいました。


「少し眠ってもいいかしら?」


『…はい、準備して参ります。その前に少しお茶を飲みませんか?』


「え?」


『先程辞めてしまったメイドがお詫びにとチョコレートを買ってきて置いていったのです。』


「そう…それなら少し飲もうかしら。」


『わかりました。お茶も準備しますね。』


「えぇ。」


少しだけお茶を飲んで落ち着こうと思い、


準備をお願いしました。


チョコレートは有名なお店のものだそうです。


少しチョコレートをつまむと…


何かおかしな味がしました。


「これはみんな食べたのかしら?」


『いえ、仕事が終わったら食べようかと…?』


頭がぐるぐるします…


「食べては駄目よ…」


『メイリン様!?』


「お医者さ…っ…」


また…


頭がぐるぐるとして立っていられなくて


『誰か!?誰かお医者様を!?』


『どうした!?』


『メイリン様が!』


『メイリン様っ!』


『すぐにっ…』


そこからはもう意識を保っていられませんでした…






【兄 アーク】


「メイが!?」


今、メイの侍女が来てメイが倒れたと…


「アーク?メイリンがどうした?」


話すべきか?


疑わしい側近がいるのだ。今話すのは難しいか…


「いえ…メイが体調が悪いというので席を外していいですか?」


「メイリンが!?」


「まぁ…とりあえず見舞いに行ってくるので、殿下は仕事をしてください。」


言えないから、殿下を睨む。


殿下は気づいたようだ。


「わかった…」


オロオロしている侍女と離宮に向かった。


すると、途中で父上と兄上と一緒になった。


「何か聞いているか?」


「メイが倒れたと…」


「侍女も王城ではメイの話は出来ないでしょうから。」


「嫌な予感しかしない…」


「…急ぐぞ。」


「「はい。」」


頼むから無事でいてくれよ?


離宮に着くと、侍女長が泣き崩れていている。


メイの部屋に案内されると医者が…


「どういうことだ…?」


『毒を盛られたようです。』


「毒だと…」


『はい。聞いた所、そちらのチョコレートを食べて倒れたそうです。』


「無事なのか!?」


『はい。見ていただければ…』


チョコレートが入っていたが食べかけがそこに残っていた。


『メイリン様が口にして置いたのです!倒れる際に食べては駄目だと…』


「離宮内にいる者を全員客室に集めて待機!」


「ジャン、近衛兵を5人連れて来い!」


「はい!」


「門番と離宮にいた近衛兵は?」


「全員客室だ!」


父上は怒りで拳が震えている。


それはそうだ。


全員が客室に入ったのを確認して近衛兵の到着を待った。


「父上、陛下には?」


「まだ内通者がわかっていないからな。知らせていない。殿下は?」


「私もです。体調が悪いとだけ。」


「それでいい。」


『猛毒ではなかったようです。少量で食べるのをやめたみたいですね。』


「命には…」


『強い毒ですが、少量だったようなので大丈夫です。苦しそうだったので少し眠らせましたが。』


「話は出来たのか?」


『いえ、身体が震えていて声も出せないようでした。』


「そうか…毒はいつ抜ける?」


「また前みたいに10日も眠ったりは…?」


『大丈夫です。メイリン様は毒に気づいて倒れかけた時にお茶を飲んだようなので。』


「お茶を?」


『恐らく薄めたのでしょう。』


「メイ…」


こんな時でも賢いな…


医者は目が覚めたら飲ませるようにと、


中和剤入りの水と薬を置いていった。


「父上、お待たせしました。」


「ああ。2人は門番の代わりに門の前に。1人は庭に。1人は客室前。1人は私達と一緒に1人ずつ聞き取りをする。」


「メイ…」


「父上、陛下や殿下達には?」


「聞き取りを済ませてからだ。」


「…わかりました。」


まずは近衛兵、門番、護衛、侍女長、侍女、メイド、料理長、料理人と聞き取りをする事にした。


近衛兵は侍女長が叫んでいたので護衛と一緒に室内に入室したそうだ。


門番は私達が来るまで騒ぎが起きていたが、その場を離れられなかったという。


護衛も侍女長の悲鳴で入室したらしい。


その後侍女とメイド達が慌てていて、


侍女長と侍女達が慌てて私達に知らせに来たようだ。


変わったことは、このチョコレートを持ってきたというメイドだ。


今朝急に辞めると言ってきたらしい。。


母親が病気になって辞める事になり、メイにそれを伝えた。


その後に城下でチョコレートを買って持ってきて離宮を後にしたらしい。


侍女達は仕事を終えたら食べるつもりだったようだ。


毒味はしなかったのか…


「チョコレートは全て医者の所に持って行って調べさせろ。」


『はっ!!』


近衛兵はチョコレートを持って城に向かった。


可愛いのも美しいのも罪だというのだろうか…


「すぐに毒だと気づいたのなら治癒魔法は使えなかったのだろうか?」


「それは許可がなければやらないだろう。」


「メイは真面目だからね…」


侍女長は、メイが倒れる間際に食べてはいけないと言ったと…


気づいて止めたのか。


そういえば…


「父上、辞めたメイドは!?」


「今、護衛と近衛兵に追わせた。すぐに見つけ出す。」


苛立ちと悔しさと悲しさでいっぱいだ…


父上も兄上も同じだろうな…


さて…


「メイはいつ目を覚ましてくれるだろうか…」


「今は薬で眠っているのだ。きっとすぐに…」


頼むよ…


神様が本当にいるのならメイのピンチを回避しておいてくれよ…


『コールマン公爵!』


医者にチョコレートを持って行った近衛兵が戻って来た。


父上は近衛兵から詳細を聞いて頭を抱えた。


「父上?」


「二箱全部に毒が入っていたそうだ。」


その場で全員が青ざめた。


それはそうだな…


メイじゃなくても誰かが毒を盛られていたのだから。


でもなぜメイが最初に食べたのだろうか?


『あの…』


ひとりの侍女が声を出した。


『私が彼女と一緒に受け取ったのですが、メイリン様はチョコレートがお好きだからお礼にと…』


「メイに渡せと言われたのか!?」


『は…はいっ』


「じゃあ本当はメイにだけだったのか?」


『はいっ…ひとりでこんなに食べないと言ったら、余ったら食べてと…』


まずはメイに食べさせてからなら他の者達は食べないということか?


なぜメイが毒を?


「とりあえず、ここにいた者達は離宮から出ないように。」


ラルフ殿下かアダム殿下と婚約がしたくて?


メイが殿下達と婚約を嫌がって候補の辞退をさせる為?


ただメイが妬ましい?


殿下達への嫌がらせ?


コールマン公爵家に対する報復?


何が目的なんだっ!?


腹が立つ。


メイドが犯人に脅された可能性が一番高いな。


犯人があの関係図のどこに位置するのか…


更に奥にも誰かがいるのか?


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ