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悪役令嬢にならないように頑張るご令嬢  作者: MEIMEI
婚約式までのカウントダウン
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第二王子を癒やす悪役令嬢

今日は朝から物語の本を読んでいます。


殿下達やお兄様達が調査を頑張ってくださっているから、


出来るだけ何かをしたいのです。


お菓子を差し入れる約束をしたし、お姉様には何か新しいものを送りたいのです。


もちろん、お父様とお母様や陛下と王妃様にもお力添えを頂いているのでお礼ができればと思っています。


なので、本を読んでネタを探しています。


何が喜ばれるかを考える時間がネガティブにならないようにしてくれているのです。


午後はラルフ様とお茶をする時間をもらえました。


あまり2人で会うのは控えるように言われていましたが、


時間が取れればラルフ様やアダム様、家族と会える許可をいただきました。


情報交換のためにみんなでお茶をする時間もあるのです。


内通者がいる可能性もあるからお茶をする許可が出たのではないかしら?


それにしても…


プリンとクッキーは作ったから次は何がいいかしら?


うーん…


マドレーヌとか?


ドライフルーツ入りのケーキとか?


ドライフルーツは他国で生産されている国があるようだけど、


この国では聞いたことがないわ?


後で料理長に聞いてみましょう。


お姉様とお母様、王妃様にはハンカチにしようかと思ったけれど…


他になにかないかしら?


少し暑くなってきたので編み物は嫌だし、


あまり見たことないのは編み物やパッチワークとか?


パッチワークは少しツギハギに見えてしまうのであまり喜ばれない気がするのよね?


やっぱり刺繍かしら…


レースで珍しい柄ならどうかしら。


いつも見るレースは薔薇と葉っぱのモチーフが多いけどそれ以外ならいいかもしれないわ。


デザイン系の本はあったかしら?


お姉様は可愛らしいものにして、お母様には綺麗なもの。


王妃様はどうしましょう…


王妃様は薔薇が好きなのよね…


薔薇の数が多いものを作りましょう!


レースは白か黒しかないから赤とピンク、水色に染めてもらって…


染める時間を考えると一週間くらいはかかるかもしれないわね?


商会を呼ばなければならないわ。


お父様にお願いをしましょう。


急いでお手紙を書いてお父様に届けに行ってもらいました。


調査が難航しているようだし、喜んでもらいたいわ。


少しして、ラルフ様がいらっしゃいました。


少しお待ち頂いて仕度を済ませて客室に向かいました。


「ラルフ様、ごきげんよう。」


「メイリン、今日もとても綺麗だ。」


「ふふっ、毎回褒めて頂かなくてもよろしいのですよ?」


「いや…つい口から出てしまうのだ。駄目だったか?」


「いいえ、嬉しいですけど聞き慣れてしまったら寂しい気がしただけです。」


家族にはたくさん言われて慣れてしまったのだもの。


あまり慣れたら寂しくなってしまいそうで…


大事な時に褒めていただけるといいのだけれど…


「慣れてしまったら、別の褒め言葉を用意するとしよう。」


「失礼しました。催促しているみたいになってしまいました…」


なぜか最近欲張りになってきた気がします。


「構わない。私はメイリンに好意を理解してもらえるだけで幸せだからな。」


「ふふっ。」


「くっ…」


口癖は治りそうにないわね。


「あー…メイリン。今日は散歩をしないか?この前はゆっくり出来なかったからな。」


あ、早朝にいらしたときかしら?


「はい、ぜひ。」


え…?


「ラルフ様?」


なぜ急に手を繋いだのかしら?


手を繋ぐ意味を理解できないのですがっ?


「あー…理由は特にないが繋ぎたくなったのだ。」


「…そうですか…」


何も話さないでいると、ラルフ様の手が汗をかいてきました。


なにかあったのかしら?


「ラルフ様?何かあったのですか?」


「あー…少しだけ弱音を吐きそうになってしまったから力をもらっている。」


「弱音…?」


「なかなか進展もなく、メイリンへの悪意のある噂が増えている。」


「増えているのですね…」


「あぁ…だんだん聞くに耐えなくなって会いに来てしまった。すまない。」


真面目な方ね…


「ラルフ様。今、私は離宮で皆さまから守っていただいているのです。外での噂に心を痛めることはありません。」


「それはそうだが…」


「ラルフ様達が外で大変な時に申し訳ありません。ですが、外からの情報のない私のことは気にしないでください。」


「だが…」


「噂はきっと精神的に苦痛かもしれませんが、ラルフ様達が真実を知ってくださっていれば私は構いません。」


私だけが外と遮断されていて辛い思いをしなくて済んでいます。


「だから焦らずに調査をしてくださって構いません。」


「メイリン…ありがとう。」


手を引かれて抱きしめられているようです。


どうしたらいいかわからず周囲を見ると…


見ないようにしてくれていました。


「ラルフ様、お疲れなのです。少しお休みになられてはいかがですか?」


「疲れてなどいないぞ!?」


「ふふっ、隈ができています。客室に戻りましょう。」


「だが…」


「私にできることはないでしょうか?」


ラルフ様は真っ赤になって下を向いてしまいました。


「客室にブランケットとハーブティーを用意してくれますか?」


『かしこまりました。』


「客室で少しお休みください。」


あまり褒められた行動ではないのですが、


お休みいただくくらいはいいわよね?


ラルフ様と客室に戻り、大きめのソファに横になってもらいました。


なかなか休めていなかったのでしょう?


目の下の隈はとても酷い有様でした。


「バイオリンを用意してくださいますか?」


『かしこまりました。』


「確かにメイリンのバイオリンは心地が良いから休まるな。」


いつもはあまり歌わないようにしているけれど、今日は特別に歌付きの演奏をしましょう。


「お兄様が迎えに来ると思いますけど、それまでお休みになってください。」


ラルフ様のために演奏するのは初めてね?


「メイリンの声はバイオリン以上に心地が良いな…」


「ふふっ、ありがとうございます。」


『メイリン様、動物達が…』


「ごめんなさいね?私が歌うとたくさん集まってきてしまうの。気にしないでね。」


「そうか…これは動物達が集まるのも無理はない。」


前世の歌は童謡や讃美歌は覚えているけど、ポップスや演歌はあまり聞かなかったのよね。


こちらの讃美歌と比較するとやはり神様が違います。


だから、あまり歌わないようにしていました。


何度か小さなお茶会で小鳥さんと歌うことはあったけれど、


人前では恥ずかしくてあまり歌わなかったのもあります。


少しして寝息が聞こえてきました。


『メイリン様はお部屋に戻りましょう』


「客室で一緒じゃなければいいのだからテラスにいるわ。アークお兄様にお手紙を持って行ってもらえるかしら?」


『手紙ではなくお呼びしたほうが…』


「そうね。では、お兄様も休んでいただきましょう」


『かしこまりました。』


お兄様を呼びに行ってもらっている間、窓を開けてテラスでバイオリンを弾きながら歌を歌っていました。


小鳥さんやうさぎさん、ここでは見かけたことのないモモンガまでいるのだもの。


せっかくだからテラスでお兄様を待ちました。


しばらくしてアークお兄様が来てくれました。


「アークお兄様、ごきげんよう。」


「殿下とお茶とは聞いていたけど…どういう状況なのかな?」


事情を説明して納得してもらいました。


「なるほどねぇ…メイの噂を聞くのは結構きつかったみたいだからね。」


「そうなのですね、申し訳ありません。」


「いや、メイに落ち度もないし、根拠もない噂だけど精神的に参ったんだろうな。」


「はい。ですから、ここで少し休んでいただているのです。」


「そうか。気を使ってくれたんだな、ありがとう。」


お兄様もお疲れのようね?


「お兄様も少しお休みください。休む暇もないのでしょう?」


「まぁ…そうなんだけど。」


お兄様の分のブランケットも用意してもらって横になっていただきました。


「いいのかなぁ…?」


「ふふっ、ラルフ様と一緒に少し休んでもいいと思いますよ。」


お兄様は頷いてくれました。


またバイオリンを弾いて歌を歌いました。


お兄様は私の歌を聞くのは初めてかもしれないわね?


「メイの歌も演奏もすごく心地が良くてすぐに眠れそうだ」


目を閉じて演奏を聞きながら気持ちよさそうに眠っていました。


テラスで動物達はうっとりと聞いてくれました。


2人はすごく疲れていたようで日が暮れるまで眠っていました。


そろそろ起こさないと…


流石に夜もここにいるのは良くないのでお茶を用意してもらって起こすことにしました。


「ラルフ様、おはようございます。」


「あ…?…え?あー…おはよう。」


「お茶を淹れましたのでどうぞ。」


「…ありがとう」


まだ寝ぼけているのかしら?


「アークお兄様、起きてください。お茶をお淹れしました。」


「おはよう、メイ。んーっ、随分眠ってしまったようだ。」


「はい、ぐっすりと。」


「アーク?なぜここにいるのだ?」


「ラルフ様に休んでいただくならお兄様もと思ってお呼びしたのです。」


「実際殿下が戻らないと仕事が進まないからね。」


「お休みいただいたほうが、スッキリするでしょう?」


「…すごく楽になった。」


「本当に疲れがとれたよ。ありがとう、メイ。」


「私に出来ることは少ないですから、このくらいで良ければ。」


ここに来たときのラルフ様やお兄様は目に見えてお疲れになっていたし、休めたなら良かったわ。


「メイの演奏はたくさん聞いたことがあるけど、歌声は聞いたことがなかったんだよね。」


「メイリンの卒業試験の音楽教師が天使の歌声だと言って興奮していたな。」


「そうなのですか?恥ずかしいのであまり聴かれないようにしていました。」


「そうなのか…毎日寝る前に聴きたいくらいだ。」


「…殿下、まだまだ先の話ですからね!?」


「わかっている!!」


「ふふっ。お兄様もラルフ様もバイオリンで癒やされるならまたお茶をしに来てください。」


「…毎日来ようかな。」


「アークが来るなら私も来るぞ。」


「構いませんよ?」


「そうだ、メイ。噂の事を教えてくれた友達のことを教えてくれるかい?」


「はい。…」


お友達の話で噂のことを知ったのだもの。


ひょっとしたら、何か手がかりを掴めるかもしれないわね?


お友達のことと、噂の話と睨みつけてきたご令嬢のことを話しました。


お兄様は冷静に聞いているけれど、ラルフ様は何か思い出したようです。


そのご令嬢は確か伯爵家のご令嬢だったはず。


「あの令嬢はしつこくて苦手だ。」


「そうなのですか?」


「あー…そうですね。私にも婚約の話を持ってきてました。」


「兄上やジャンにもだろうな?」


誰でもいいのかしら?


話を聞いていると容姿と地位を重要視しているように感じます。


私はそのご令嬢に変な噂を流されたのかしら?


「メイリンの噂は全ての者達が信じてはいない。だが、あまりにも噂が多すぎるのだ。」


「そんなにたくさん噂が流れているのですね…」


「でも、この前のパーティに参加をして噂と違うという認識をした者もいるんだよ。」


「たくさんの噂が周囲に広まり過ぎると、私達の婚約式が叶わなくなるかもしれないのだ。」


「だからこんなにお疲れになっていたのですね?」


「メイも心が痛むだろうから知らせたくなかったんだけどね」


「お兄様…大好きです。」


「うっ…私もメイが大好きだよ


「…ずるいぞ、アーク。」


「殿下。私は家族ですからいいんですよ。」


「それはそうなのだが…」


「ラルフ様。頑張ってくださってありがとうございます。」


「と…当然だ。私の大事な婚約者だ。」


「ふふっ。」


「では、メイ。私達は仕事に戻るよ。」


「はい、お兄様。」


「メイリン…ありがとう。癒やしてもらったのだ。頑張ってくる。」


「はい、ラルフ様。お兄様もラルフ様も、いってらっしゃいませ。」


「メイ、行ってきます。あー…メイに可愛く見送られるのは幸せだ…」


「私もだ…仕事が早く終わりそうだな。」


「そのまま調査も進められたらですね。」


「焦らずにじっくりとでいいですよ?」


「あぁ…そうだね。メイの言う通りだ。このままじゃ進まないから行きましょう。」


「では、メイリン。また会いに来る。」


「はい、お待ちしています。」


少しでも、気力が戻ったら良いのだけれど。


ラルフ様とアークお兄様を見送って自室に戻りました。


年内に終わらないですね。

やっぱり悪役令嬢出てこないと面白くない…

とりあえず、最終話はなんとなく決めていたけどその間の話の構想を変えてしまいました…

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