プレゼントと勉強を頑張る悪役令嬢
「メイ、商人から色々と買ったと聞いたけど何を買ったの?」
「秘密よ。」
「私にも教えられないの?」
「ふふふ、まだ秘密(笑)」
「まだってことはそのうち教えてくれるのかしら?」
「そうよ、ちゃんと教えるわ。」
「じゃあ楽しみに待っているわね。」
何を買ったのかは教えていない。
お母様は気にしてるようだけど、
プレゼントはサプライズが必須よね。
私は自分で買い物なんてしたことがない。
もちろん、前世でも。
必要な物は用意してくれるし。
ドレスもアクセサリーもお母様やお姉様が選んでくれるし、
勉強のための物もお父様が買ってくれている。
お兄様達も時々ピアスやネックレスをプレゼントしてくれる。
本当に買うものがなかったのよ
とりあえず、夕食まで少し時間があるので手紙の返事を書くことにした。
書きたくないけどね。
あれから毎日恋文が届いている。
何通か同じ人からも来ている。
全部には返事を書くのは大変だから、
お母様とお姉様が選別をしてくれたものにだけ返事をする。
今日購入した便箋で足りるかしら?
しばらく返事を書いて、
夕食の時までにようやく半分終わった。
はぁ…
疲れた。
「メイ、買い物をしたんだって?」
「はい、便箋と欲しい物があったので。」
「言ってくれたら買ってあげるのに。」
「ふふふ、ありがとうございます。」
「でもメイが買い物なんて珍しいね?」
「必要な物があったんです。」
「随分とたくさん買ったのだろう?」
「はい、初めてたくさん買い物しました。」
「シエルが買った物を教えてくれないって言っていたよ。」
「はい、便箋以外は秘密なんです。」
「私には教えて欲しいな、だめ?」
「だめ。」
夕食はずっと何を買ったか質問されていた。
サプライズだもの。
秘密にするわ。
夕食後にまた手紙の返事を書いた。
疲れる。
出来るだけ今日終わらせて明日は編み物をしたい。
疲れてしまったので入浴した。
流石に寝るまで恋文の返事はキツいから明日使う編み物の道具を準備して寝ることをにした。
朝早くに起きて図書室に行こうかな。
久しぶりの編み物、楽しみ。
勉強することは他国の歴史と言語以外はただの練習だけ。
だから午後は編み物をするようになった。
お父様とジャンお兄様とアークお兄様のマフラーは作り終えた。
お母様のショールは水色とグレーを使って落ち着いたデザインにして作った。
今はお姉様のピンクと薄紫の可愛いショールを編んでいる。
マフラーよりは編み目が少ない。
から思ったよりは早く終わりそう。
もうすぐ出来上がるからプレゼント出来そうね。
「マリーカ、これなら喜んでくれるかしら?」
「もちろん、喜ばれますよ。それにしてもお上手ですね。教えて欲しいくらいです。」
「プレゼントしたあとなら教えてあげるわ。」
「ありがとうございます。母に作ってあげようかと。」
「それは素敵ね!」
マリーカと少し話ながら、
ショールのデザインを一緒に考えた。
話をしながら編み物。
なんだか今までで一番楽しい時間を過ごしている気がするわ。
みんなが喜んでくれたらとても嬉しい。
私の大好きな家族ですもの。
夕食まで編み物をして、
とうとうお姉様のショールも編み終えた。
夕食後にみんなに座って待ってもらった。
「マリーカ、お願いね。」
「いったい何をするつもりなの?」
「お待たせいたしました。」
「秘密を明かそうと思って。」
「まぁ、やっと教えてくれるのね!」
「はい。」
それぞれラッピングをしてもらったので中身は見えていない。
みんなに喜んでもらいたいな。
「プレゼントよ。」
「メイ、これはどうしたんだ?」
「びっくりしましたか?これは私が作ったの。」
「素敵!」
「これは暖かそうだね。」
「そうでしょう?お父様やお兄様達は馬に乗ることがあるからマフラーにしたのよ。」
「メイの手作りのマフラーか、ありがとう!」
「お母様とお姉様はショールにしたの。可愛く出来たでしょう?」
「素敵ね!寒くなってきたし、こんなに可愛いショールは初めて見たわ!」
「本当に素敵。ダニエルと同じ色を使ってくれたのね?」
「少しだけお揃いでいいでしょう?」
「えぇ、お友達に自慢しちゃおうかしら。」
とても喜んでくれて私も嬉しくなった。
「明日から使おうかな?でももったいないから飾っておこうかな?」
「ちゃんと使ってくださいね。そのために作ったんだもの。」
「ふふ。お友達に羨ましがられてしまうわね、お母様」
「こんなに可愛いショール売ってないものね。」
「良かったわ。時間もあったし、図書室に編み物とか刺繍の本があったから作ってみたのよ。」
「そんな本があったのかい?」
「はい。図書室の本は全部読んだもの。」
「はーっ、メイは何をやらせても天才だな(笑)」
「お父様、それは言い過ぎよ?」
「言い過ぎなんてことはないよ。勉強だって学院の学習課程は終わってるって家庭教師が興奮して言ってたからね。」
「そうなの?じゃあ、最近はなんの勉強をしているの?」
「今は他国の言語と歴史を学んでいるの。」
「今度メイと一緒に勉強しようかな。」
「それはいいわね!メイが私の家庭教師なんて嬉しいわ。」
「剣術と体術も体得しているそうだね?」
「はい、だいぶ身についたから今は訓練だけなのです。」
「何をやっても出来ちゃうから羨ましいわ。」
「歳が離れてて良かったよ。学院で一緒だったら比べられて卑屈になりそうだ(笑)」
「私だったら妬んでしまうかもしれないな。」
「まぁ、それは言いすぎよ?私はお兄様やお姉様がお勉強頑張っていたからなのに。勉強できる時間が多かっただけだわ。」
「ふふふ、みんな優秀で嬉しいわ!」
「私も陛下に自慢していたくらい優秀だ。」
家族で家族自慢をするとか不思議な感覚だわ。
前世の家族は普段の生活を話さないようにしていたもの。
勉強はベッドの上でたくさんしていたわね。
学校には全然行けなかったから、
学校にお願いして教科書を取り寄せていた。
いつか学校に行けるかもしれないと思って。
テスト問題ももらって、
教科書とか参考書をしまってもらって学校のテストを受けた。
中学3年生卒業までの勉強は全て終えて、
高校入試のテストまでやったわ。
入学は出来ないけど、
東大や早稲田合格をたくさん輩出する高校入試を受けて合格をもらえたのよ?
頑張る気力を勉強で補ってた。
何かをやっていないと生きることに執着出来なかったから。
こちらの世界でも勉強を頑張るのは当たり前に思っていた。
8年も勉強させてもらえたもの。