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望みを叶えてもらう悪役令嬢④


食事の準備が出来たということで、ジャンお兄様と向かいました。


「メイリン、大丈夫か?」


「はい、少し休んだので大丈夫です。」


「先程気づかなくてすまなかった。」


「いえ、ラルフ様の責任ではありませんから大丈夫ですよ。」


「ちゃんとメイを気にしてくださいよ?」


「わかった。」


「私ももう少し見ておくべきだったな。」


アダム様は、やっぱりお兄様のようです。


10歳も年上だからかしら?


「メイ、どうしたの?まだ体調が悪い?」


「いえ、少しぼーっとしてしまっただけです。」


「そう?ならいいけれど、無理しちゃ駄目よ?」


「はい、ありがとうございます。」


心配かけてはダメだわ。


ちゃんと笑顔で対応出来るようにしなければ…


食事は外で食べるからか、不思議といつもより美味しく感じました。


「メイはまた食が細くなったの?」


「そういえば、少し細くなったかしら?」


「そうですか?以前と変わらないのですが…」


そんなに細くなったかしら?


最近はちゃんと食べれていると思うけど…


「そうだ、メイリン。星が見たいのだったな?一緒に星を眺めるか。」


「はい」


「ラルフ殿下。私もご一緒しますよ。」


「2人で見ようと思っていたのに…」


「ふふっ」


「メイはまだ成人になっていませんからね。節度を守ってもらわなければなりませんから。」


「私がいつ…」


「調べましたからね?」


「何を調べたのですか?」


「それは言えないな。」


「(見られているのに何も知らないメイになんてことをしてるんですか?)」


「(うっ…仕方なかったのだ。)」


「(なにが?)」


「(可愛いと思っていたら、急に抑えられなくなったのだ。)」


「(まだ13歳なんですよ?兄としては認め難い)」


「アークお兄様、ラルフ様?どうかされましたか?」


「いや、なんでもない。仕事の話だよ。」


仕事の話なら聞こえない所にいましょう。


「メイ、どこに行くのかい?」


「はい、お父様の所に行こうかと。」


「そうか…父上。メイをお願いします。」


「あぁ、メイ。こちらにおいで?」


「はい、お父様。」


「(コールマン公爵とジャンは知っているのか?)」


「(知っていたら海に行く許可が出るわけがない。)」


「(そうだろうな…)」


「(どうせ殿下の事ですから水着の期待でもしていたのでしょう?)」


「(うっ)」


「(うわー…当たりかよ!だから2人きりはダメだと忠告したんですよ)」


「(…わかった。だが言うなよ?)」


「(殿下がちゃんとしてたらね)」


「で、ではあちらで星を見るか。」


「メイ!星を見に行くよ!」


「はい、お兄様!」


少し話が長かったけど…


お仕事大変なのね。


ここに来てまでお仕事の話をしなければならないなんて…


アークお兄様とラルフ様に連れられて、向かった方向は誰もいなくて真っ暗…


「お兄様、私!」


「はい、手を繋ごう。これなら大丈夫だろう?」


「ありがとうございます!」


お兄様と手を繋いで向かいました。


「アークお兄様。お仕事はもう良いのですか?」


「あぁ、ちゃんと指示も出したから大丈夫だよ」


「そうなのですね、お疲れ様でした。」


「ありがとう、メイ。疲れが吹き飛ぶよ。」


「ふふっ、大袈裟です。」


先に向かったラルフ様が、大きな岩の上にハンカチを敷いてくれました。


「メイリン、こちらに座るといい。」


「ありがとうございます。」


「メイ、気をつけて。」


「はい」


「メイリン、私の手を掴むといい。」


「ありがとうございます、ラルフ様。」


ラルフ様が手を引いてくれて岩の上に座りました。


あまりにも暗いので少し震えが…


「メイ、大丈夫だよ。反対側は殿下に握ってもらおうか。」


「手を握ればいいのか?」


ラルフ様と手を繋ぐと自分の手がすごく冷たかったことに気づきました。


「こんなに手が冷たくなっているではないか?」


握った手をポケットに入れてくれました。


「さぁ、メイ。上を見てごらん?」


言われるままに上を見上げると…


すごくたくさんの星が…


すごい…


「お兄様!ラルフ様!とても美しいですね!」


「そうだね。」


「ぐっ…」


「こんなに空は広かったのですね。海とどちらが広いのかしら?」


「空のほうが広くて美しいぞ。だが、海は海で美しい。」


「そうなのですね。」


「お兄様、離宮に戻ったら星や空の関係の本を読みたいです。」


「そうか。じゃあ、城で探しておこう。」


「ありがとうございます。」


「メイリンはこうやって興味がある物を学び始めるのだな?」


「はい。知らない事を知れるのはとても楽しいです。」


「好奇心旺盛なんですよ。だけど、許可されなければやらないよね?」


「はい、ご迷惑やご心配をおかけするわけにはいかないですから。」


「剣術や体術や魔法も許可をとったのか?」


「はい」


最初は反対されたけれど、


護身と運動の為だと言うと怪我をしない条件で許可をいただきました。


「護身の為に少しやらせるつもりが…私達より強くなっていて驚いたよ。」


「そんなに、強くなってどうするつもりだったのだ?」


「ふふっ、気づかなかったのです。先生がすごく褒めてくださるので、つい。」


「そうそう。先生がメイリン様は天才ですって褒めていてお世辞だと思っていて。」


「それは…すごいな。」


怪我をしてはいけないけど、


怪我をしないようにしていたら先生が褒めてくださるから、つい頑張ってしまいました。


また上を見上げて星を見ました。


暗いけど、星空はこんなに輝いていて美しいのですね…


「メイリンが喜んでいて何よりだ。」


「そうですね、メイは本当にいつも我慢をしているから。」


「我慢ですか?」


「籠の中にいるようで、息苦しいだろう?」


「我慢だと考えたことはありません。」


仕方がないと思ったかもしれないけれど、


それを我慢だと認識をしていなかった気がします。


我儘だとさえ思っていましたが…


「メイはそれが当たり前だったのかもしれないね。」


「そうか…私は耐えられないな。」


「私もですよ。」


「ふふっ」


「とても綺麗だ…」


「本当ですね。」


「殿下、兄の前で口説かないでください。」


「そんなつもりはない…つい言葉が漏れてしまったのだ。」


「…星空のことだと思っていました…」


恥ずかしい…


両手が塞がっているので、お兄様の肩に額をつけて顔を隠すことにしました。


「あはは、メイ。そんなに恥ずかしがらなくていいよ」


「くっ…」


「殿下も照れるなら最初から言わないでくださいよ」


「いや…可愛すぎて」


もうやめて欲しい…


「メイリン、今日は眠れそうか?」


「わかりません…でもお姉様とお母様と並んで寝るので大丈夫かもしれません。」


「そうか…」


「私達は順番に近衛兵と近くに控えている。眠れなければ、声をかけるといい。」


「ありがとうございます。」


「そろそろ戻ろう。少し冷えてきたからな。」


「そうだね。行こう、メイ。」


「はい」


ラルフ様とアークお兄様に支えて頂いて岩から降りました。


「少し焚き火の前で温まろう。」


「そうした方が良い。」


「はい、そうします。」


アークお兄様が手を繋いでエスコートを?


なぜラルフ様ではないのかしら?


婚約者だからエスコートはラルフ様だと思うのだけど…


アークお兄様は何か考えての事なのよね、きっと。


焚き火の前につくと、お姉様とアダム様が待っていてくれたようです。


「メイ、おかえりなさい。初めての星空はどうだった?」


「はい、とてもキラキラして美しかったです。」


「メイは随分と気に入ったみたいだよ。」


「そうだな。帰ったら星に関する本を読むらしい。」


「ふふっ」


「メイリンは本当に勉強が好きだな?」


「はい、大好きです!」


「「くっ…」」


「メイは本当に可愛いわ!」


「姉上はいつもそれだ。」


「あら、アークはそう思わないの?」


「思ってますよ、常に。それにメイ以上の女性が存在しないと思ってますから。」


「そんなことはないと思いますが…」


「メイリンは自己評価が低すぎるのではないのか?」


「そうでしょうか?私は仕事もしていませんし、社交もしていません。評価は妥当だと思いますわ。」


だって、この生活は…


ニート。


でしょう?


「さぁ、それより疲れたでしょう?もう休みましょう。」


「お姉様は?」


「ふふっ、もちろん隣で寝るわ。」


「嬉しいです、お姉様!」


良かった…


お姉様がちゃんと隣で寝てくれるなら怖くないもの。


「さぁ、メイ。行きましょう。」


「はい。アークお兄様、ラルフ様、アダム様。おやすみなさい。」


お姉様とテントに入って布団に横になる。


「お母様はまだお父様とお話しているようね。」


「ふふっ、仲が良いです。」


「メイ、灯りは消す?」


「あ…」


「つけときましょうか?」


「はい、お願いします。」


「はー…メイが近くにいると嬉しいわ。」


「私もお姉様が一緒で嬉しいです。」


「さぁ、寝ましょう。メイ、おやすみなさい。」


「はい、お姉様。おやすみなさい。」


目を閉じると、少し怖くなりました。


「お姉様、まだ起きていますか?」


「メイ?」


「一緒のお布団に入ってもいいですか?」


「ふふっ、いいわよ。」


お姉様のお布団に入れてもらいました。


「メイは怖いのかしら?」


「はい、外は少し怖いですね。」


「そうよね。私も流石に野営は怖いわ。」


「でもお姉様がいるから大丈夫です…」


「私もよ。おやすみなさい。」


「おやすみなさい、お姉様。」


目を閉じるとすーっと意識が遠のいていきました。


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