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望みを叶えてもらう悪役令嬢③


あ…暗くなってきました。


少し手が震えている?


どうしようかしら…


お母様やお姉様には知られたくないわ。


「「メイリン。」」


「ラルフ様?アダム様?」


「寒いのか?」


「殿下、どうかしましたか?」


「いや、メイリンが震えていたから声をかけたのだが…」


「そうでしたか…メイ、少し向こうでお茶を飲もうか?」


「はい、お兄様。」


「ジャン、私達もお茶にしよう。」


「わかりました。では、行こうか。」


「はい。アダム様、ラルフ様、ありがとうございます。」


「いや…気づくのが遅くなってすまなかったな。」


「メイ。出来るだけ近くにいてくれるかい?」


「わかりました。」


すごく気を使われているのですね…


お母様やお姉様、お父様も一緒にお茶を飲みました。


「こうして家族でお出かけ出来るなんて嬉しいわ。」


「私も嬉しいです!」


「殿下達もいるがな。」


「お父様?ラルフ様と婚約したのです。アダム様も私のお義兄様になるのだからおかしくないでしょう?」


「うっ」


お父様は気に入らないのでしょうか?


なんだか元気が…


「メイ?少し顔色が悪いわよ?」


「え?そうですか?」


暗くなってきたからかしら?


暗くなった事を意識してしまったら震えてきてしまいました。


「風邪かしら?すぐ寝る場所に案内してもらいましょう。」


「では私が連れて行くよ。」


「お父様、大丈夫です。」


「震えているじゃないか。」


「まだ1人にはなりたくありません…」


「そうか…では羽織りを用意させよう。」


「ありがとうございます。」


そうよね、お父様とお兄様達は知っているから…


「メイ、平気なの?」


「はい、大丈夫です。それにまだお姉様とも一緒にいたいです。」


「ん〜、可愛いっ!!」


「私達とは一緒にいなくていいのか?」


お兄様達が後ろからぎゅーっと抱きしめてくれました。


「ふふっ、あったかいです、アークお兄様。」


少し肩の力が抜けました。


「本当に仲良しね。私は寝る時にメイとミリムと一緒だから、今は譲るわ。」


『お食事、そろそろお作りしてもよろしいですか?』


「はい。」


「そうね、少しお腹が空いてきたわね。」


「ふふっ、お姉様はお食事が気になるのですね。」


「あら、もうそろそろお食事の時間ですもの。」


「そうだな。メイリンも食べたほうがいい。温まるぞ?」


「はい、ではお食事の準備をお願いします。」


『かしこまりました。』


「野営でのお食事、どのようなものかしら?」


「スープとか割と簡単な物が多いかもね。」


「お兄様、お姉様、見に行きましょう?」


「メイは興味があるのか?」


「はい。どんな料理を作るか見てみたいです。」


「メイリンはなんでも知りたいのだな?」


「はい、色々な事を知るのは楽しいです。」


「メイは初めて知るものをキラキラした目で見るんだよね。」


「あら、そのキラキラした顔が可愛いのよ?」


「お姉様もジャンお兄様もそんなこと言わなくてもいいではありませんか…」


「あらあら、メイったら顔が赤いわよ?恥ずかしいの?」


「お母様まで…」


家族に色々と殿下達にバラされてしまいました…


何もそんなに話さなくてもいいのに。


「ふふっ、じゃあ見に行きましょう。」


「はい、お姉様。」


お姉様とお料理を見に行きました。


「焚き火?」


「そうね、すごいわ!」


「焚き火ってこんなに暖かいのですね。」


「熱いと思うけど、メイは暖かく感じるのね?」


「はい。お姉様は熱いのですね。」


なんだったかしら…?


焚き火で何か美味しい物があったわよね?


えっと…


カレー?


ご飯…


焼肉?


焼き芋!


焼き芋美味しかったってお兄ちゃんが言っていたわ!


「メイ?」


「あ…ごめんなさい。考え事をしてしまいました。」


「そうなの?急に黙ってしまうのだもの。少し心配してしまったわ。」


「ふふっ、焚き火で美味しく食べれる食材はなんだったか思い出していました。」


「メイリン。体調は大丈夫か?」


「ラルフ様。大丈夫です。」


「ラルフ殿下はメイと一緒にいたいのね。」


「当たり前だ。私の婚約者だからな。」


「でも、お兄様達が成人までは2人きりは駄目だって言っていました。」


「大丈夫よ。私もいるし。」


「アーク達はなぜそんな事を言ったのだ…」


「何かおかしな事なのですか?」


ラルフ様はバツの悪そうな顔をしていますが…?


お姉様はくすくす笑っていますし?


「そういえば、もう少しでメイは誕生日ね。」


「はい、14歳になります。」


「そうか…14歳か。」


「何か欲しいものはある?」


「なんでも好きな物を用意するぞ?」


欲しいもの…


欲しいもの…


欲しいもの…?


考えても何も思いつきませんね?


「すいません、思いつかなくて…」


「物欲がないからな。」


「そうね。メイは何も欲しがらないのよね…」


「では、メイリン。私が見繕ってもいいだろうか?」


「はい、ぜひ!」


ラルフ様は何か思いついたのかしら?


「じゃあ、私もメイに喜んでもらえる物を用意するわ。」


「はい。ありがとうございます、お姉様。」


何をもらっても、もらわなくてもお祝いして頂けるだけで嬉しいです。


「あ、メイリン。少し待っててくれるか?」


「はい。」


「私もお母様と少し話してくるわね?」


「えっ?」


急に1人になりました。


侍女や近衛兵がお料理をしたり、テントなどの準備をしたり…


1人でいるせいか、だんだん震えが大きくなってきました。


焚き火の前でしゃがみ込んでいると、


「メイ!」


「お父様…」


「大丈夫か!?」


「はい、お父様。大丈夫です。」


「大丈夫ではないだろう?テントで少し休もう。」


「はい、お父様…」


「ジャン!」


お父様に気づかれてしまいました。


「父上、どうしたのですか?メイ?」


「テントに連れて行って休ませてもらえるか?必ず側についていてくれ。」


「わかりました。メイ、行こう。」


「ごめんなさい、お兄様。」


「気にするな。」


「はい…」


ジャンお兄様とテントに向かいました。


私が横になると、隣に座った。


「メイ、まだ駄目だったか。」


「はい。大丈夫だと思っていたけれど…1人で暗い所にいると駄目みたいです。」


「そうか…食事までここで休もう。」


「はい」


「そういえば、なぜ1人だったんだ?」


「お姉様とラルフ様といたのですが、別の所に行ってしまったから1人になってしまいました。」


「ではラルフ様は説教だな。」


「なぜですか?」


「メイを1人にしないようにしなければならないからだ。」


「でも、アークお兄様が成人するまではラルフ様と2人きりになってはいけないと…」


ジャンお兄様は頭を撫でてくれました。


「時と場合によるかな。メイはまだ成人してないから、何かあってはいけないんだよ」


「何か?」


「まぁ…その恋人のような関係はまだ早いということだよ。」


恋人のような関係?


「よくわからないですけど…今まで通りなら問題はないという事ですか?」


「まぁ…そうだね。」


「わかりました。」


恋人…


婚約者は恋人になるのかしら?


「ジャンお兄様。トラウマの治し方はあるのでしょうか?今まで読んだ本にはトラウマに関して載っていなかったのです。」


「そうか…でもいつか治ると思う。それまでは…そうだな…色々と試してみようか。」


「はい…」


「メイはもう少し周りを頼って良いんだ。」


「でも、侍女達に頼りっぱなしで申し訳がなくて…」


毎日侍女が寝ずの番をしてくれている事を話しました。


「そこまで酷いのか…殿下達は知っているのか?」


「知っています。どこまで知っているのかはわかりませんけど…あまり話す時間がなかったので。」


「ラルフ殿下には話さなければいけないよ?婚約者なのだから。」


「はい。」


「まぁ、どちらにしてもラルフ殿下は説教確実だ。」


「なぜですか?」


「知っていたのに1人にしたではないか。浮かれているかもしれないしな。」


「でも、ラルフ様は待っててと言って私とお姉様を残して離れたのです。1人になる少し前までお姉様といたのです。」


「そうか…では説教は無しにして、この旅の途中でメイの側に誰がいつつくかを決めておこう。」


「ありがとうございます、ジャンお兄様。」


やっぱりジャンお兄様はとても素敵だわ。


優しいし、私の話をちゃんと聞いてくれる…


「母上とミリムには知られたくないのだろう?」


「はい、なかなか会えないから心配をおかけしたくありません。」


「そうか…では必ず私かアークか父上が側につこう。」


ジャンお兄様は私の頭を撫でて何かを考えているようです。


星が見たいけど、また震えてしまうのが…


お兄様なら手を握っていてくれるかしら?


「お兄様、後で星が見たいのです。手を握っていてもらえますか?」


「ラルフ殿下じゃなくていいのか?」


「ラルフ様じゃなくてもどなたかに手を握っていて欲しいのです。」


「私は構わないし、嬉しいよ。まさか、メイと旅をする日が来るとは思わなかったからね」


「はい、私もです。ずっと部屋から出る日は来ないと思っていましたから。」


嫌だと思ったことはなかったけど、


少しだけ不満に思った日もありました。


「メイを守るためとはいえ、やり過ぎだったな。」


「いえ、当たり前の日常だったから嫌だと思わなかったのです。ただ本当に少しだけ外に出てみたかったのです」


ジャンお兄様はまた頭をなでて、


「メイは本当に良い子だな。ミリムなら抜け出していたぞ?」


「そうなのですか?」


意外です。


「ミリムも可愛かったからね。メイみたいに外に出そうとすれば声をかけられていたな。」


「ではなぜお姉様は外出出来ていたのですか?」


「アダム殿下と私といつも一緒に遊んでいたし、ミリムは強気な性格だからね。」


お姉様はとても元気でサバサバした性格だから…?


「声をかけられても、すぐに断ってしまうから平気だったんだ。」


「お姉様はとても活動的ですもの。気に入らなければ、はっきりと断れたのでしょうね。」


「そういうこと。メイは小さい頃からたくさん勉強をして、貴族の婚姻の事も理解していたからね。」


「はい、すぐに政略結婚の事を知りました。」


「ミリムはイヤなものはイヤだとすぐ断る。」


「ふふっ」


「ね?メイを守る意味がわかるだろう?」


「はい、理解しました。」


「さて、そろそろ食事の準備が出来たようだ。行こうか。」


「はい、お腹が空いてきました。」


手を繋いでテントから出ました。



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