望みを叶えてもらう悪役令嬢①
今日は海に行きます。
本当に初めて見ます。
「メイリン様。準備が整いました。」
「はい。今、行きます!」
離宮を出ると殿下達やお兄様達。お父様、お母様、お姉様も待ってくださいました。
「「メイ!」」
「お母様、お姉様!」
「メイ、体調があまり良くないと聞いていたけどもういいの?」
「はい、お母様。大丈夫です。」
「メイ、そのドレスとても可愛いわ!」
「ありがとうございます!」
「アダム様、ラルフ様。ごきげんよう。お待たせして申し訳ございません。」
「大丈夫だ。今日も美しいよ、メイリン。」
「とても良く似合っている。」
「ありがとうございます。」
「メイ。今日もとても綺麗だよ。」
「そのドレスも似合うね。」
「殿下からもらったのかい?」
「いえ、海に連れて行ってくださると聞いて仕立てました。」
「そうか。とてもメイに似合っているね。」
「ありがとうございます!」
褒めていただきました。
とても楽しみにしていたので初めてちゃんと自分で仕立て屋さんにお願いしました。
「まぁ、メイを褒めるのはその位にして出かけよう。近衛兵も準備が整ったようだ。」
「はい。」
私はお姉様と殿下達と一緒の馬車です。
「さぁ、どうぞ。」
殿下達がエスコートしてくださいました。
「メイとお出かけなんて初めてだわ!」
「はい。とても楽しみにしていました!」
「本当に出かけたことがなかったのか…」
「アダム殿下やラルフ殿下はメイとたくさん出かけているのでしょう?」
「私達は…」
「ふふっ、お花畑や湖に連れて行っていただきました。とても楽しかったわ!」
「まあ!羨ましいわ!」
「メイリンとミリム嬢は仲がいいな?」
「当然です!こんなに美しい妹を持てて幸せだわ。」
「お姉様も私の自慢のお姉様です。」
「私達もミリム嬢やアークやジャンの幼馴染みなのにメイリンに会うことは殆どなかったな。」
アダム様はお姉様とも仲が良かったのですね。
アダム様はこんなに親しい話し方をしているもの。
私とはそんなに親しい話し方をしたりしたことがないわ?
「どうしたの?」
「いえ、なんでもないです。お姉様も仲が良いなら教えておいてくださっても良かったのに。」
「メイリンはミリム嬢と兄上が仲が良い事を知らなかったのか?」
「はい。お兄様達が側近なのは知っていましたけど、仲が良いと知ったのは最近でしたから。」
「そうね、メイが生まれた時にはもうお茶会に出ていたから遊んだりはしていなかったもの。」
「そうだな。メイリンが2歳の時に私は学院に入っていたし。」
「私はアークと遊んだりはしていたが、絶対に会わせないと言われたぞ?」
「ふふっ、幼馴染みとは仲が良いのものなのですね。」
「メイは殿下達に嫁にはやらないってお父様も言っていたもの。」
「あー…自慢だけして会わせないって言われた。」
「ふふっ、お父様ったら。」
「それより、メイのドレス素敵よね?急にどうしたの?」
「婚約して初めての外出なので…」
「決めたの!?」
「はい、ラルフ様と婚約しました。」
「メイリンは話していないのか?」
「はい。私からは話しておりません。」
「そうだったのか。」
「え?いつ?」
「はい、数日前です。」
「兄上は知っていたのですか?」
「メイリンから手紙をもらっていたからね。」
「そうですか…申し訳ありません。すぐに話すべきでした。」
「そう…ラルフ様と。おめでとう、メイ。」
「ありがとうございます!」
お姉様が少し嬉しそうです。
「じゃあ、アダム殿下はこれから大変ですわね?」
「なぜですか?」
「あー…兄上が婚約者選びを始めなければならないからね。」
「そうですよね…」
なんだか申し訳なくなってきました…
「メイリンはそんな顔をしなくていい。最初からどちらかを選べと言っていたのだから。」
「そうよ。メイが気にすることはないわ。」
「兄上…」
「それより、メイのドレスは随分と珍しいデザインね?」
話を変えてくれたのかしら…
やっぱりお姉様は素敵だわ!
「はい。他国の物語にあった挿絵のドレスが可愛かったから作っていただきました。」
「そうなのね。私は本が苦手だから挿絵なんて気にしたことがないわ。」
「メイリンは本が好きだな?飽きないのか?」
「外に出られないから本で外を知りたいのです。たくさん種類もありますし、飽きません。」
「そうか。」
「ラルフ殿下。メイは美しいから事件に巻き込まれやすいのです。必ず守ってくださいね。」
「あぁ。当たり前だ。」
「私も義兄として守るつもりだ。」
「アダム様…ありがとうございます。」
「メイが天才だと気づいた者達が大勢います。婚約したとしても安心出来ません。」
「お姉様…」
婚約しても狙われてしまうの?
「公務もあるからな…」
「メイリンと一時も離れないから大丈夫だ。」
「はい。」
そうよね。
公務はラルフ様と一緒ですもの。
きっと大丈夫よ。
「メイ、何かあったら相談するのよ?」
「はい、お姉様。」
でも、王家の事をあまり話すわけにもいかないから…
お姉様は私を肩にもたれさせて、頭を撫でてくださいました。
「海は遠いのですか?」
「少し遠い。今日は野営をするからな。」
「野営…」
「メイリンは夫人とミリム嬢と同じテントだ。護衛に周囲を固めるし、私達も近くにテントを張るから安心していい。」
「そうですか。お姉様とお母様と一緒なら大丈夫です。」
お姉様の肩にもたれて目を閉じました。
「メイ、眠い?」
「少し…」
「途中に休憩がある。それまで眠ってもいいぞ?」
「あら、少し隈が出来ているわ。眠れなかったの?」
「はい、目が冴えてしまって…」
「ふふっ、じゃあそのまま眠っていいわよ?」
「はい…」
お姉様がいるから安心してしまったのかしら…
馬車の揺れもあって、すぐに眠ってしまいました。
何話かにわけてます。
ちよっと変更をしながらなので、長くなります。
⑤までいくかも?