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第二王子と第一王子が思うこと。

【第二王子 ラルフ】


ようやく婚約が決まった。


メイリンは短かったと言っていたが、


私も兄上も2年前から婚約を望んでいた。


だから、すごく長かった…


先程報告を終えてからメイリンを離宮に送って来たが、


婚約者を選ぶ為に常に兄上と私のことを考えていたと聞いた。


常に考えていたとは思わなかったな。


もっと最近になってからだと思っていた。


離宮に来てからずっとどちらを選ぶべきか、


決めてもらえないだろうかと思ったりしていたそうだ。


決めてもらうというのは、離宮に来てからなんのアプローチもしていなかったからだが。


私達も決まるのを待つことしか考えていなかった気がする。


そう考えると、メイリンのほうがよっぽど婚約に関して前向きだった…


コールマン公爵も父上も複雑な顔をしていた。


何かそうなる事を予測していたように見えた。


兄上はなんて言うのだろうか…


元々譲る気はなかったけれど、


一番のライバルだった。


兄上に報告するべきだろうか?


どう伝えるべきだろうか…


メイリンと一緒に報告するか?


それは違う気がするな…


アークはすぐに気づいた。


私の顔でわかったらしい。


鋭すぎるのか、私がわかりやす過ぎるのか…


メイリンは気を許した相手にだけ感情を出しているようだ。


見ていた限り、顔に出さないことのほうが多い。


貴族令嬢として手本にすべき女性だ。


私はメイリンに釣り合うだけの努力が必要だな…


兄上には落ち着いてから話そう。


私も選ばれなかった時のことは何度か想像をした。


それはとても悔しく感じた。


2年前からずっと婚約者になって欲しかった。


兄上と被ってしまったから、ひょっとしたらメイリンと婚約出来ないかもしれない。


最初はそう考えていたのだ。


父上は兄上を次の王にすると決めている。


だから王妃にするなら、と言われたら引き下がるしかなかった。


2年前にメイリンと婚約をしたいと父上に言ったら、


兄上と対等にメイリンにアプローチをして婚約を決めろと言われた。


それまで対等になどと言われた事がなかったから驚いた。


アプローチをさせてもらうのは学院に入って落ち着いたら、


コールマン公爵から条件として言われていた事だ。


学院で見たメイリンは本当に優秀で、


とても可愛らしい令嬢だった。


やっとアプローチが出来ると思っていたら…


2、3か月で2度もメイリンをめぐる事件が起きてしまったので急遽卒業試験を受けて卒業する事になった…


まさか本当に卒業出来ると思わなかったな。


卒業すると流石に才女と言われて、


メイリンに婚約を迫る者がいると考えて離宮に居を移してもらった。


離宮に入ってからもメイリンに危険が何度もあった。


美しいのは罪深いのか、と思ったりもしたが…


つい最近は他国に攫われかけた。


その時の恐怖でトラウマまで…


絶対に守ってみせる。


兄上もそのつもりだろうが…


婚約の話…


海に行くまでに話すか。




【第一王子 アダム】


父上からメイリンはラルフと婚約することになったと聞いた。


やはりな…予測していたから、思いの外ショックは少なかった。


あの時にもし私が助けに行っていたら…


恐らく、まだ決まらなかったかもしれない。


「アダム殿下。メイから手紙です。」


手紙か…


あまり気が進まないな…


でも、読まなければならない。


キツイな…




ーアダム様


婚約の件ですが、


ラルフ様と婚約することに決めました。


ずっと悩んでおりました。


本当にギリギリまで決められなかったのです。


アダム様とラルフ様、どちらと結婚をしても幸せになれるとわかっていたので…


今度海に行くお約束でしたね?


その時に直接お話しようかと思いましたが、


先にご報告をするべきかと考えました。


ずっとずっとお待たせしていたのに…


離宮に来てから、アダム様とラルフ様の事を毎日考えていました。


本当に決めるのが難しくて、どちらかに結婚しろと言われたらそのまま結婚をしようかと思いました。


でも、どちらもそのようには仰ってくださらなかったので…


優柔不断ですよね…


本当にお待たせしておいて、このような結果になって申し訳ございません。


今後は、新しいお兄様としてよろしくお願いいたします。


今度の海では、アダム様とも一緒に星が見られたら嬉しいです。


メイリン・コールマン




…メイリンは本当にギリギリまで悩んでいたのだな?


今度の休みに海に行く事になっている。


コールマン公爵家とラルフと一緒だ。


正直…行くかどうか悩む。


諦める準備をしていたのに…


女々しいな。


ジャンやアーク、ミリム嬢は幼馴染みで大事な存在でもある。


やはり行くべきだろうか?


「殿下。無理して海に行かなくてもいいですよ。」


「よくわかったな?」


「長い付き合いですからね。」


「そうか…」


流石幼馴染みだな。


今後の事を改めて考えなければならないな。


異性としてメイリンは好ましい。


だが、妹となった場合を考えると…


別の意味で可愛い。


「ジャン、お前の気持ちもわかる気がする。」


「そうでしょう?妹じゃなければ間違いなく惚れてますよ。」


そうじゃなければとっくに婚約出来ているだろうな?


「アークも同じだろう?」


「はい。」


やっぱりそうか…


「まぁ…メイリンが妹っていうのも悪くないか…」


ジャンはとても優秀で、見た目も美しいから人気もある。


幼馴染みで優秀だからと側近にした。


父上もコールマン公爵を側に置いている。


この国は数百年の歴史のある国だ。


その中で、王家に連なるのがコールマン公爵家。


それが一番の理由だが、とにかく仕事も正確で理解力もある上に見た目も美しい。


歴史書に出てくる姫の絵姿を以前見たが、メイリンによく似たピンク色の髪色をしている。


メイリンには敵わないが、とても美しい女性だった。


余程血が濃かったのか、コールマン公爵家は全員が美しくて頭が良い。


父上が言っていたが、コールマン公爵の両親もまた美しい人だったらしい。


代々王家に次ぐ身分の最高位はコールマン公爵家。


特に血筋を気にしたわけではないが、


必ず側近にコールマン公爵家がいる。


ジャンもアークも側近だ。


贔屓と言われるが、一緒に働くと皆が黙るほど仕事が出来る。


だからこそ関係は良好でありたい。


コールマン公爵家とは付き合いが長くなっていくのはわかり切ったことだ。


やはり、海に行こう。


メイリンと長い付き合いになるからな。


それに…


メイリンの姿は見ておきたい。




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