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報告に行く悪役令嬢


今日は緊張しすぎて眠れませんでした。


朝イチで、陛下とお父様に報告しに行くためラルフ様が迎えに来ます。


朝食を食べて支度を始めました。


「今日は記念日になるのですね!」


「今までで一番美しくしてあげますよ!」


「いえ、そんなに頑張らなくても…」


「駄目です。報告しに行くのですから、婚約が決まった記念日です。」


「そうですよ、婚約式とは別の記念日は必要です!」


力説されています…


「ドレスはラルフ殿下に頂いたドレスの中から選びましょう。」


「それなら一番最初の妖精のようなドレスがいいのでは?」


「大人っぽいドレスのほうが良いのではないかしら?」


「メイリン様はどれがいいですか?」


「私ですか?」


油断していました。


「…昨日のドレスがいいのでは?」


「2日連続は駄目です。昨日汚れていましたし。」


「そう…昨日のドレスが一番気に入ったのだけれど残念だわ。」


「でしたら、こちらはいかがですか?」


薄い紫色に水色のオーガンジーが重ねられていて、


胸元にピンクのレースがついたドレスを提案されました。


「では、殿下の髪色と同じドレスはありますか?」


「まだ着ていないシャンパンゴールドの少し大人っぽいドレスがございますが。」


「では、そちらでお願いします。」


婚約の報告だから大人っぽくても平気かしら?


「アクセサリーはどうされますか?」


「では、一番華奢でシンプルな物がいいです。」


「かしこまりました。」


髪型もなんだか大人っぽい…


「やり過ぎではないかしら?」


「とんでもない!」


「記念日ですからこのくらいは当然です!」


「そうかしら?」


「メイリン様。ラルフ殿下がお迎えに参りました。」


「はい。本当に大丈夫かしら?」


「ふふっ、きっと固まってしまいますよ?」


「……」


言われた通りにしたけど…


でも、急いでラルフ様にご挨拶しなければ。


門まで急ぐとラルフ様がお待ちでした。


「お待たせいたしました。ラルフ様?」


固まってしまったわ?


「ラルフ様、おはようございます。」


大丈夫かしら?


あまりお時間がないと思うのですが…


「ラルフ様?」


「……」


まだ固まっているわ。


ラルフ様を覗き込んでもう一度声をかけました。


「っ!すまない!」


「ふふっ。今日は固まる時間が長かったですね。」


「メイリンが美しすぎるからだ。」


「ありがとうございます…」


「いつもよりも大人っぽいな?」


「そうですよね?でも侍女達が記念日だからと支度してくれて…」


「いや、おかしいわけじゃなくて…」


「おかしいのではないのですか?」


「あー…いや、その…今までで一番美しくて…美しすぎて」


「ありがとうございます…」


美しすぎて…


恥ずかしくて顔を覆ってしまいました。


「メイリン…行こうか…」


「はい」


ラルフ様と陛下の執務室に向かいました。




「ごきげんよう。陛下、お父様。」


陛下とお父様は目を丸くしています。


「父上、コールマン公爵。」


「あー…。おはようメイリン嬢。美しすぎて驚いてしまったよ。」


「おはよう、メイ。今日は一段と綺麗だ。」


「おはようございます。陛下もお父様もありがとうございます。」


「朝早くからお時間頂いて申し訳ありません。」


「いや、構わない。」


「ラルフ。メイリン嬢を連れて話したい事とはなんだ?」


「はい。メイリンに婚約者として選んでいただけたのでご報告に参りました。」


「メイリン嬢、ラルフに決めたのかい?」


「はい。」


「メイ…いいのか?」


「はい。たくさん悩みました。」


「そうだろうな…」


「すまなかったね、メイリン嬢。」


「いえ。私こそお時間がかかってしまい、申し訳ありませんでした。」


「そうか…」


「ラルフ殿下。我が家の天使を娶るのですから…しっかりと守ってくださいね。」


「わかっている。」


お父様…


「陛下、よろしくお願い致します。」


「メイリン嬢。今後は義父となる。こちらこそよろしくな。」


「陛下もメイを頼みますよ。なんかあったら恨みますからね。」


「わかっている。メイリン嬢ほどの娘はどこを探しても見つからない。」


「言い過ぎではないでしょうか?」


「メイは謙虚過ぎるんだ。その上、天使のように容姿も心も美しい。褒め言葉はまだ足りないくらいだ。」


「そうだな…メイリンへの褒め言葉の最上級が見つからない。」


「お父様、ラルフ様…恥ずかしいです。」


「くっ…」


「2人とも、婚約式まで時間が少しある。式の時に着る衣装の準備を始めなさい。」


「はい、陛下。」


「メイリン嬢。もうお義父様でいいぞ?」


「お義父様?」


「はー…夢のようだ。」


「おい。まだ結婚していないのだ。その呼び方はまだ駄目だ。」


「ふふっ。お父様、お兄様達のように言葉使いが荒くなっていますよ?」


「特にアークに似ているな?」


「ダニエル。もう家族になるのだ。許せ。」


「いや、まだ先だ。結婚式が終わるまでは呼ばせないからな?」


「コールマン公爵家はそっくりだな?」


「ふふっ、陛下も殿下達とそっくりです。」


「メイリン、私は父上ほど冗談は言わないぞ?」


「ラルフ、お前。意外とキツイな?」


「ふふふっ」


お父様と陛下とラルフ様は仲が良いのね。


「陛下、そろそろ仕事をしなければ…」


「そうだな。」


「では、父上失礼しました。コールマン公爵もありがとう。」


「陛下、お父様。お仕事頑張ってください。失礼いたしました。」


「あぁ、気をつけて戻りなさい。」


「ラルフ。任せたぞ。」


「はい。」


執務室を出て息をつきました。


「はー…コールマン公爵は本当にアークやジャンとそっくりだな。」


「ふふっ。はい。」


「これでやっと父上の圧力がなくなった…」


「圧力ですか…?」


「早く決めろと催促が毎日くるのだ。」


催促が来なかったら、決まらなかったのかしら?


本当に私で良かったのかしら?


「メイリン?」


「催促が来なかったらアプローチはされなかったのでしょうか?」


「ち、違うぞ?催促が毎日来ていてうんざりしていただけなのだ。」


「催促がなくてもアプローチはしていただけましたか?」


「当然だ。私も兄上もアプローチなどしたことが無いから悩んでいたけどな。」


ふふっ、そんなに焦らなくても…


「そうなのですね。」


「それで…メイリンはなぜ決められたのだ?あんなに悩んでいたではないか?」


「早く決めなければならなければと、毎日アダム様とラルフ様の事を考えていましたもの。」


「毎日考えていたのか?」


「はい。」


「そうか…」


話しながら離宮につきました。


「メイリン、また会いに来る。」


「はい、ラルフ様。お待ちしております。」


ラルフ様…


顔が真っ赤でした。




でも、アダム様に申し訳ないですよね…


ラルフ様と婚約するとお手紙を書きましょう。


私より素敵な方がきっといるはずよね?


お父様も陛下もなんだか複雑な顔をしていました。


そうよね?


どちらを選んでも複雑よね…


選ぶのもずっと悩んでました。


どちらを選んでも幸せになれるとわかっていましたから。


口説かれていたり、スキンシップがあったりする時に心拍数が上がるアダム様と、


口説かれていたり、スキンシップがあったり、話している時にも心拍数が上がるラルフ様。


侍女達に聞いた心拍数が上がる=ドキドキすると言う事に当てはめるとラルフ様でした。


アダム様…


ラルフ様やお兄様達と仲が悪くならなければいいけれど…


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