お茶会に行くことになった悪役令嬢
流石にそろそろお茶会に参加することになった。
誕生日のパーティ以外は出ていなかったのよね。
今なら、自己防衛のスキルもあるから安全。
そうそう、体術も学んだのよ。
剣術も魔法もだいぶ上達してしまったからやる事がなくなってしまったの。
色々考えて体術も学んでしまった(笑)
私、何を目指しているのかしら?
今日は王子主催のお茶会だと聞いている。
今日の為にドレスを新調していた。
今までは、誕生日以外は必要なかったから。
アクセサリーはあまりごちゃごちゃしたものは好きじゃない。
さり気なく、シンプルな物が好きだ。
「メイ、少し地味じゃない?」
「そうかしら?ドレスは少し明るめだし、私にはこのくらいが丁度いいと思うわ?」
「メイがいいなら。それにどんな格好でもうちの女神は目立つからね。」
「ジャンお兄様、女神なんて言い過ぎだと思う。」
「あー…やっぱりお茶会の参加辞めよう。」
「お父様、そろそろ参加しないと引きこもりと言われてしまうわ。」
諦めてもらって、お母様と一緒に侍女1人と護衛3人を連れてお城に向かった。
「王城ってすごいわね。歴史を感じる建造物だわ。」
「メイの視点は変わっているのね。」
「王城も随分昔に来たけど、当時は歴史を学んでいなかったもの。」
「そうね、2歳だったかしら?」
「えぇ、お父様やお母様がどんどん過保護になっていったわ(笑)」
「仕方ないのよ。2回くらい王城のお庭に連れて行ったら婚約させろって話が来たのだもの。」
「びっくりしたわ。」
「私達も驚いたわよ。いくら可愛くても2歳に婚約だなんて。」
「ふふふ、3歳の時にその話を聞いて怖くなったわ。」
本当に気持ち悪かったわ。
幼女趣味だなんて異常だと思ったもの。
「ここがお庭ね。とても綺麗だわ。」
「まだ少し時間があるわね。どうしましょう?」
「ご挨拶はまだいいのかしら?」
「殿下が来てからでいいわよ。」
「じゃあ、少しお庭を散策してもいいのね?」
「あまり奥には行かないようにするのよ?」
「はい。」
お母様の了承を得て庭の奥の木陰に向かった。
たくさんの薔薇が咲いている。
とても美しいお庭。
あら?
王城にも動物がいるのね。
「小鳥さん、あなたははじめましてね。いらっしゃい?」
小鳥が手の甲に飛び乗る。
「ふふふ、お茶会が好きなのかしら?(笑)」
ゆっくりとなでてあげると気持ち良さそうに目を瞑る。
今まで小鳥やリスなど動物のお友達ばかりだったから安心感があるわね。
お茶会なんてほとんど出ていないから緊張してしまう。
後ろから足音が聞こえた。
「マリーカ、大丈夫かしら?」
「3人ともちゃんと控えてますし、あちらは第二王子ですわ。」
第二王子…
絶対にまだ婚約はしないから。
「ごきげんよう。あなたはコールマン公爵令嬢ですよね?」
「ごきげんよう、メイリン・コールマンでございます。」
「メイリン嬢はこちらで何を?」
「はい、お茶会はほとんど参加したことがないので緊張をしていたのでお庭を散策しておりました。」
「ははは、確かメイリン嬢は3歳になった時にお会いしたことがある。」
「そうですね。」
このまま話をするのは危険かしら?
「そろそろお茶会が始まります。」
なんかエスコートされているのですが?
「殿下、もうここで平気ですわ。」
「いや、コールマン公爵夫人の所までエスコートするから遠慮しなくていい。」
遠慮していませんが。
出来れば目立ちたくないのですが?
あ、小鳥さんが肩に乗ったままだわ。
『小鳥さん、たくさんの人がいる所に行くからまたね。』
「メイリン嬢は動物に好かれるというのは本当なのだな?」
「ずっと家に籠もっていましたので、小鳥やリスはお友達なのです。」
「そうか。」
しばらく歩いて会場のお母様と合流した。
「殿下、エスコートありがとうございました。」
「構わない、また後ほど。」
はぁ〜…
もう疲れたわ。
「メイったら殿下にエスコートされるなんて。」
「緊張していたから奥で小鳥さんと一緒にいたところを見つかってしまったの。」
「まぁ、それは災難だわ。」
「お母様、不敬では?」
「ふふふ。」
そうね、婚約の打診をはぐらかしているのだもの。
あまり接触するのは良くないわよね。
「気をつけますわ。」
「他のご子息はもちろんだけれど令嬢にも気をつけるのよ?」
「では、出来るだけお母様と一緒にいてもいいかしら?」
「もちろんよ。」
お茶会が始まり、王子達とご挨拶をした。
お母様のお友達のもとへ向かう。
「シエル様、ごきげんよう。」
「あら、ジェニー様ごきげんよう。」
「そちらが噂のご息女?」
「はじめまして、メイリン・コールマンと申します。」
「本当に美しいのね!」
「ありがとうございます。お褒めいただき光栄にございます。」
「まぁ、素敵だわ。マナーもしっかりされているし、姿勢も美しいのね。」
「自慢の娘よ(笑)」
数人のお母様のお友達に褒められた。
お茶会にあまり出ていない為、マナーを褒められるのは初めてだった。
お母様と一緒にいたら、たくさんの方に囲まれてしまった。
「お母様、どうしましょう?」
「こんなに集まってしまうなんて…」
「こちらにいたら、お母様のお友達に失礼かしら?」
「そうね、あちらのドリンクをいただきに行きましょう。」
「はい。」
ドリンクを取りに行くと言ってその場を離れた。
ドリンクをいただいて、
お母様と端のほうへ行った。
「はじめまして、ご令嬢。」
お母様が声をかけられている隙に私も声をかけられてしまった。
「はじめまして。」
相手が名乗らないのだから、私も名乗る必要はない。
マナーを知らないご子息だわ。
「もしよろしければ…」
「コールマン公爵令嬢。」
「殿下?」
先ほどのご子息は睨みながらその場を去った。
「先ほどぶりだな(笑)」
「はい、ありがとうございました。」
「どうかしたのかい?」
「ふふふ、今いた方が名乗らないマナーのなっていないご子息だったので困っていたのです。」
「あー…有名な子爵令息だ。気にするな。」
「では、あの方が。」
「知っているのか?」
「いえ、直接の面識はございません。以前先触れもなく我が家を訪れていた方だと思います。」
「随分と失礼なヤツだな。」
「ラルフ!」
「兄上。」
「これはこれは美しいご令嬢ではないか。」
「はじめまして、メイリン・コールマンと申します。」
「貴方がメイリン嬢か。本当に噂通りのご令嬢だ。」
「兄上、不躾ではありませんか?」
「ふふふ、仲がよろしいのですね?どのような噂でしょうか?」
「あぁ、貴方が美しいから一目見ただけで惚れてしまうそうだ。」
「まぁ、そんな噂が?一目見ただけでなんてあるわけがありませんのに。」
「洗礼式まで家から出なかったそうではないか。その日の洗礼式後の一瞬で人攫いにあったのだろう?」
「あら、詳しいのですね。」
「そうなのですか?一瞬で人攫いにあうなんて。」
「あの時は衛兵の方にもご尽力いただいて助かりました。」
「な?そうなるとあながち噂ではあるまい。」
「ふふふ、ありがとうございます(笑)」
「メイリン嬢は笑顔も美しいな。」
「光栄でございます。」
めっちゃ褒められているのだが?
第一王子と第二王子に挟まれているのだが?
「メイ!」
「お母様!」
「あら、殿下方と一緒だったのね?」
「コールマン公爵夫人、先ほどメイリン嬢が評判の悪い子息に絡まれていたのだ。」
「そうなのですか。恐らく以前に我が家に来た子爵令息だと思います。」
「まぁ!ありがとうございます、殿下。あのご子息は先触れもなく、メイリンに会いに来たのです。」
「随分と失礼なヤツだな?」
さっきと同じですよ、殿下。
あえて言わないでおこうかしら。
「では、殿下方。私達は他の友人達にご挨拶して参りますので失礼いたします。」
「助けていただき、ありがとうございました。」
王子達にお礼を言ってその場から立ち去った。
「びっくりしたわ、急にメイが殿下方とお話しているのだもの。」
「不可抗力よ、お母様。」
「それに、彼はあの悪評の高い子爵令息ね。」
「えぇ、名乗りもせずに声をかけて来たのよ?」
「まぁ!確か学院の2年生だったと思うけど…教育がなっていないわね。」
「そうね、年上だと思っていたけど。名乗りもせずに声をかけられたから私も名乗らなかったわ。」
「マナーですもの。名乗るのは当然よ。」
学院で何を学んでいるのかしら?
「それにしても殿下方に挟まれてお話しているのだもの。驚いたわ。」
「私も驚きました。私の噂のお話もお聞きして更に驚きましたもの。」
「噂?」
「私を一目見ただけで惚れてしまうらしいわ(笑)」
「まぁ!そんな噂があったのね。」
「えぇ、本当に驚いたわ。」
お母様とお話をしていると音楽の演奏が始まった。
「メイ、逃げちゃいましょうか(笑)」
「ふふふ、お母様ったら(笑)」
こっそりと会場を出ようとしたら第二王子に声をかけられてしまった。
「メイリン嬢、ダンスを踊っていただけませんか?」
マジですか…
「お母様…」
「一曲だけ踊ってきたら?」
…逃げ出せなかった…
「では、一曲だけ。」
入学前なのですが?
「メイリン嬢はダンスが得意なのですね?」
「いえ、私はずっと家にこもってお勉強していただけでダンスはさほど。」
「そうは言っても美しいですよ(笑)」
「ありがとうございます。」
なんだか、ロックオンされている気がするわ。
「コールマン公爵が自慢しているのを何度も聞いていた。」
「まぁ!お父様が?」
「貴方が文武両道の自慢の娘だと言っていた。」
「親の欲目ですわ。」
「だから貴方と会ってみたいと思っていたのだ。」
「光栄です。」
「ダンス以外に何を学んでいたのかい?」
「剣術と魔法と体術とバイオリンです。」
「随分とたくさん…ご令嬢が学ばないものまで(笑)」
「自己防衛のためですの。」
「なるほど。」
曲が終わった。
「メイリン嬢、今日は楽しかった。またぜひお会いしましょう。」
「はい、殿下。機会があれば。」
…これは?
私、婚約したのって第二王子だったかしら?
「メイ!早く帰りましょう!」
「お母様?」
「メイが殿下方とお話したり、ダンスを踊ったとかで踊りたいと他のご子息からたくさん声をかけられたの。」
「では、逃げましょう!」
慌てて馬車に乗り込んだ。
ごめんなさい、「」がね、改行がね。間違っていたのです。
だいぶ意味合いが変わってしまう…
すいません、すいません、すいません!