お父様とお兄様達との食事会で衝撃を受けた悪役令嬢
今日は昼食をお父様とアークお兄様、ジャンお兄様とご一緒する事になっています。
先日作った花冠をプレゼントするのです。
数日経っていますが、魔法で枯れないように保存していました。
「メイリン様、まだお時間がありますので少し落ち着きましょう?」
「ふふっ、ごめんなさい。つい嬉しくて…」
まだ朝食をとっているのですが、
そわそわしてしまいました。
時間まで、本を読もうかしら?
でも私本を読み始めると集中しすぎてしまうから…
たまにはピアノでも弾こうかしら?
「久しぶりにピアノを弾くから窓を開けてもらえるかしら?」
「かしこまりました。」
ピアノの前に座り、
ピアノの演奏を始めました。
「メイリン様はバイオリンをよく演奏されていますが、ピアノも素晴らしいですね。」
「ありがとう。」
バイオリンもピアノもこちらの世界で学びました。
学んで得た知識はチートではなくて、
私自身の努力の成果だと神様は言っていました。
それを聞いてから、益々学ぶ事が好きになりました。
最近聞いたばかりだけど、
というか…
離宮に来てからまだ半年くらいだけど、
事件が起きすぎよね?
それでも、神様にも伝えた通りにとても幸せなのです。
バイオリンもピアノも家族がとても喜んでくれるから上達したのよ?
私の演奏はとても落ち着くそうです。
神様は私の声や音は魔力を帯びていて、
音の波長に動物達が集まってくると言っていました。
それが、家族にも伝わっているなら嬉しいわ。
「メイリン様の演奏はとても心地良くて優しい気持ちになれますね。」
「本当にとてもお上手ですし、こうして仕事中でもうっとりしてしまいます。」
「ふふっ、ありがとう!そんな風に言ってもらえて嬉しいわ。」
とてもお上手…ふふっ
何曲か弾いて満足しました。
まだ時間があるわね。
「お茶をお願い出来るかしら?」
「はい、かしこまりました。」
お茶を飲んで、少しだけ本を読む事にしました。
集中しすぎないように、短編小説を読む事に。
短編小説ってなぜこんなに間を省略するのかしら?
読者の想像力を要求しているのかしら?
「メイリン様。コールマン公爵とジャン様とアーク様がいらっしゃいました。」
「まあ!すぐ支度をしなくては!」
「ふふふ。だいぶ集中されてましたね。」
「ごめんなさい。そうみたい。」
急いで支度をして客室に向かいました。
「お父様!ジャンお兄様!アークお兄様!」
「メイ、お洒落してくれたのだね?とても綺麗だ。」
「アークお兄様、ありがとうございます!」
「お洒落をしなくても美しいに決まっているだろう。」
「お父様ったら!」
「そのドレスは殿下達にもらったのかい?」
「はい、たくさんいただいてしまったのでたくさん着なくては。」
「それは気にしなくてもいいと思うよ。」
「ジャンお兄様は厳しいですね。」
「そうかい?」
「そうだよ、兄上。私も厳しいと言われるけど、兄上ほどではないからね。」
食堂に向かって、食事の支度をしてもらいました。
「そういえば、殿下達に舞踏会の話は聞いたかい?」
「舞踏会ですか?」
「全く、一体何をしているんだ。」
「他国から使節団が来るんだ。」
「そこにメイも参加しなくてはならなくなった。」
「メイが王家に嫁ぐ事を知らせなくてはならないそうだ。」
困ったわ。
私はまだ正式にどちらかと婚約はしていないのに…
「そうだな…面倒な事になりそうだから断りたいのだが、メイを見たいと客人から指名だ。」
「ミリムも一緒に紹介するようだ。」
「お姉様も?」
「あぁ。この国の美女を必ず呼ぶようにとね。」
「なんだか、嫌な気分です。」
これでは、合コンというものでは?
やった事はないけれど、雑誌で読んだことがあるわ。
「メイやミリムは殿下達がエスコートしてくれるそうだ。」
「それではまるで婚約者のようではないですか。」
「私達は反対したが、婚約者候補だと紹介するらしい。」
「そうですか…」
「大丈夫。私達も側近としてちゃんと側で必ず守ってみせるよ。」
「護衛達も配置をしっかりと決めるから安心しなさい。」
「はい。」
なんだか、随分と物々しいわ。
「明日ミリムが来るから、ドレスを2人で仕立てなさい。」
お姉様に会える!
「はい、わかりました。」
「あ、でもメイ。殿下達がメイにドレスを贈りたいらしいよ?」
「そうなのですか?」
「あー…そうだったな。まぁ、メイはミリムと相談するといい。」
「はい。」
ふふっ、お姉様とどんなドレスを仕立てましょう…
「楽しそうだね、メイ。」
「はい、お姉様と会うのは久しぶりですから。」
「そうだったね。姉上も楽しみにしているよ。」
「シエルも一緒に来るからな。」
「お母様も来られるのですか?」
「舞踏会は私とシエルも参加する事になっている。」
「嬉しいです。お母様にも会えるのですね。」
じゃあ、明日は家族で会えるのかしら?
「いいかい、メイ。他国の使節団が何を考えているかがわからない。」
「そうなのですか?」
「そうだよ。なぜ使節団が来るのか、メイや美女を呼ぶなんて怪しいだろ?」
「美女…?」
「美女を呼べなんて普通あり得ないからね?交流目的だけなら必要ないしね。」
「そうですね?それになぜ私は指名なのでしょうか?」
「婚約者候補がいるっていう話がどこから漏れたのかもわからないんだ。」
「世間一般にはメイは周知していないから余計に怪しいんだ。」
怖いですね…
「大丈夫。必ず私達が近くにいるからね。」
「殿下達とミリムとメイは常に一緒に動くように。陛下も了承してくれた。」
護身術も訓練しておこうかしら?
いざという時に備えて。
そういえば、その国は隣国から経済的支援や食料支援を受けているはず。
雨が降らずに野菜や果物、穀物の不作だったわよね?
それに何か災害があったと思うけど。
それなら使節団以外に目的があるとしか…
私?
そういえば、神様が私ではない悪役令嬢がいると言っていたわ。
それと関係あるのかしら?
「メイ、大丈夫?」
「あ、はい。」
「何か気になる事があるのか?」
「いえ、その国は隣国から経済支援や食料支援を受けていたと思うので使節団は他に目的があるのかと…」
「そうだったか?」
「はい、少し前に新聞で読んだ気がします。」
「ちなみに理由は覚えているかい?」
「はい。雨が降らずに食料不足で、その他にも災害がおきて大変だったようです。」
「災害は聞いた覚えがないな。」
「父上。」
「あぁ。メイ、ありがとう。ちょっと調べてみるから私達は城に戻るよ。」
「そうですか…」
「そんな心配そうな顔をするな。大丈夫だ。」
「はい。頑張ってください。」
お父様達は急ぎ足で離宮を出て行ってしまいました。
久しぶりに会えたのに…
自室に戻って、地理の本を出しました。
「ごめんなさい。申し訳ないけれど、3ヶ月前からの新聞をあったら持ってきてもらえるかしら?」
「かしこまりました。半年前までの新聞は保管してあるので大丈夫です。」
「そう、じゃあお願いするわね。」
「はい。」
これで災害地と地理を確認して、交流のある国を調べれば少しは状況を把握出来るはず。
「メイリン様、お持ちしました。」
「お茶もご用意してあります。」
「ありがとう。」
しばらく新聞と地理の本を読んでいました。
あったわ。
エメラルドの鉱山が落盤したのね。
それだと経済支援は必要ね…
あら?経済支援している国で失踪事件が起きているわ?
食料支援をしている国まで失踪事件が…
どの事件も成人前の若い女性ばかりなのね?
使節団が両方の国に行っているわ…
え、大丈夫かしら?
皇女様が婚約をしたのね。
皇女様は1人ではなく3人いるみたい。
もしかして、殿下達と婚約して経済援助を要請するのかも。
気になるのは失踪事件との使節団のタイミングが出来すぎね?
資源と経済援助、食料援助、使節団と失踪事件。
明らかに胡散臭いわ?
経済援助をしている国は、失踪事件が起きたのに、
なぜ皇女様と婚約を?
何を考えているのかしら?
それにこの国はなぜそれぞれ別の国に支援を求めているのかしら?
通常は一番強い結びつきがある国に支援を求めているけれど、
数カ国に支援を要請するなんて珍しいというよりも変よね?
それに、舞踏会を開催させて美女を必要とする理由が読めないわ。
何か裏があるように思えて…
援助に使節団、婚約に失踪事件。
どうしても疑問が出てくる。
お父様達が調べてくれるから大丈夫なはず。
私の指名に関しても謎だけど、
警戒だけはしておきましょう。
その後も、新聞と地理をにらめっこしながら勉強を続けました。